心の疲れ・比べて落ち込む

AIのカロリー計算アプリで毎日記録したいけど、数字に追われて疲れそう。研究では、1か月の記録で心の不調は増えなかったが、AIの見積もりは平均3割以上ずれ、大盛りほど少なく出ていた

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わかっている度 ★☆☆ 低研究5本を整理出典照合済み(2026-10-25)
まな板の上の切った野菜
Photo: Pigup / CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(商品の紹介や診断はしていません。出典は末尾)。

食事の写真を撮るだけで、AIがカロリーを出してくれるアプリが増えました。手で入力するより楽なので、毎日続けられそうです。でも、数字が気になって食べるのが楽しくなくなったり、記録できない日に落ち着かなくなったりしないか、心配になる人もいるはずです。研究では、記録そのものが心の不調を増やすとは確かめられていない一方、AIの数字にはかなりのずれがあり、記録の目的によって結びつきが変わることも見えてきました。

3行でわかる

  1. 27件の研究をまとめたレビューでは、記録アプリを使う人ほど食事の悩みが多い傾向が調査で一貫して見られました。ただ、記録アプリを使ってもらう実験では、同じ傾向は確かめられていません。
  2. 食事の写真52枚を使った研究では、一般向けの対話型AI2種が出したエネルギー量は、実際の値から平均で約36%ずれ、量が多い皿ほど少なく見積もられていました。
  3. 始める前に「目的と期間」「数字を目安として見ること」「やめる合図」「始めない方がいい時期」の4つを決めておくと、数字に追われにくくなります。

01 結論から言うとAIで食事を記録すると、心が疲れる?

記録すること自体が心の不調を増やすとは、今の研究では言えません。ただ、体重や見た目への悩みが強い時期は、記録が負担になりやすい傾向があります。AIの数字はずれが大きいので、目安として使うのが無難です。

食事の記録は、食べ方を見直す手がかりになります。一方で、数字は一度見始めると気になりやすいものです。

研究を見ると、記録する人の中に、食事の悩みを抱える人が多いことはわかっています。でも、記録したから悩みが生まれたのか、悩みがある人が記録を選びやすいのかは、まだ区別できていません。

そこで大事になるのが、始める前の決めごとです。何のために、いつまで、どの程度の正確さで記録するのか。先に決めておけば、数字に振り回されにくくなります。AIに献立や食事の計算を頼むときの注意はAIに献立やダイエットの食事を作ってもらっても大丈夫?に、健康の記録をAIに渡すときの確かめ方はスマートウォッチや健康アプリの記録を、AIに分析させても大丈夫?にまとめています。

02 研究とデータでわかっていること記録アプリと食事の悩みは、どう結びついている?

調査では、記録する人ほど食事の悩みが多い傾向がありました。ただ、悩みの少ない女子大学生200人に1か月記録してもらった試験では、心の状態に差は出ていません。AIの写真の見積もりは、平均約36%ずれていました。

27件記録アプリと食事の悩みの関係を調べ、レビューにまとめられた研究の数(2024年9月までの論文、2025年発表)
89.1%米国の女子大学生が、1か月の試験の期間中に食事を記録した日の割合(2019年実施)
約36%一般向けの対話型AI2種が食事の写真から出したエネルギー量の、実際の値との平均のずれ(35.8%、2024年9月に分析)
20人中9人1か月の記録のあと、いやな気持ちが増えたと話した女子大学生の数(よい気持ちが増えた人は7人)

Moodyら(2025)[1]

運動や食事の記録アプリと食事の悩みの関係を調べた27件の研究をまとめました。ある時点で調べた調査では、記録する人ほど食事の悩み、食べる量を強く制限すること、運動のしすぎが多い傾向が、比較的一貫して見られました。一方、記録アプリを使ってもらう実験(くじ引きで組を分けたものを含む)では、この傾向は確かめられませんでした。体重や体型を理由に使う人では、健康や体力づくりを理由に使う人より、食べたものを吐くなどの行動が多いという調査もありました。

対象: 主に19〜25歳の女性が中心の研究 / 限界: 実験は数週間と短く、リスクの高い人を除いたものが多い。記録が原因かどうかは、まだ結論できないとされている。

Hahnら(2021)[2]

過去1年に食事を記録しておらず、食事の悩みのリスクが低い女子大学生200人を、くじ引きで2組に分けました。片方は人気の記録アプリで約1か月、食事を記録しました。記録した日は平均89.1%と高い割合でしたが、記録しなかった組と比べて、食事の悩みのリスク、不安、落ち込み、体への満足度、生活の質に差は出ませんでした。

対象: 米国の1つの大学の女子学生(AIではなく手入力のアプリ) / 限界: 食事の悩みのリスクが高い人は最初から除いている。記録した組だけで途中でやめた人がいた。

Hahnら(2021)[3]

上の試験で記録した女子学生20人に、1か月の感想を聞きました。いやな気持ちが増えた人が9人、よい気持ちが増えた人が7人、その両方の人が2人と、受け止め方は人によって大きく違いました。体重や体型が前より気になるようになったと話した人は10人いました。参加者は、記録が「やめられないほどになる」ときや「自分の体を好きになれない」ときには害になりうると話していました。

対象: 米国の女子大学生20人への聞き取り / 限界: 人数が少なく、感想を整理した研究で、割合を一般化はできない。

Fridolfssonら(2025)[5]

重さを量って栄養を計算した食事の写真52枚を、一般向けの対話型AI3種に見せて、重さやエネルギー量を見積もらせました。成績のよかった2種でも、エネルギー量のずれは平均35.8%でした。どのAIも、量が多い皿ほど少なく見積もる傾向がありました。研究チームは、自分で書く食事の記録と同じくらいの正確さで手間は少ないが、正確な数字が必要な場面にはまだ向かないとまとめています。

対象: スウェーデンの大学が用意した食事の写真52枚(2024年9月に分析) / 限界: 皿やスプーンが写った条件のよい写真で、AIは更新されるため、今のアプリで同じずれになるとは限らない。

記録の目的との関係を示す調査もあります。ドイツ語圏のフィットネス系の発信者のフォロワー5,902人の調査では、男女どちらでも、やせたい気持ちが強い人ほどカロリーを記録している傾向がありました。記録している人ほど、主に運動のことで日常生活に支障が出ている傾向もありました。[4] ただし、ある時点の調査なので、どちらが原因かはわかりません。

03 まだわかっていないことAIの写真記録で、心への影響は変わる?

AIで写真から記録するアプリが、手入力のアプリと比べて心の負担を増やすか減らすかを調べた研究は、今回調べた範囲では見つかりませんでした。今ある実験は短く、リスクの高い人を除いています。

  • 写真を撮るだけで記録できる手軽さが、記録を続けやすくするのか、数字を気にする回数を増やすのかは、まだ調べられていません。
  • 記録してもらう実験の多くは数週間で、自分の意思で長く続けた場合の影響はわかっていません。
  • 研究の多くは若い女性が対象で、男性、中高年、10代に同じことが当てはまるかは、確かめられていません。
  • AIのずれの大きさは、使うAI、写真の撮り方、料理の種類で変わるとみられます。日本の家庭料理で調べた研究は、今回は見つかりませんでした。

04 今日からできること始める前に、何を決めておけばいい?

記録を始める前に「目的と期間」「数字は目安として見ること」「やめる合図」「始めない方がいい時期」の4つを決めておきます。どれもお金はかからず、5分ほどで書き出せます。

1

目的と期間を、先に1行で書く

「野菜が足りているか2週間だけ見る」のように、何を知りたいかと終わる日を決めます。体重や体型を変えるためだけに使う人では、食事の悩みに関わる行動が多いという調査がありました。終わる日が来たら、続けるかどうかを改めて決めます。

目安 始める前に5分

2

AIの数字は「だいたい」として見る

写真からの見積もりは平均3割以上ずれ、大盛りや量の多い皿ほど少なく出やすい傾向がありました。1食ごとの数字で一喜一憂せず、1週間の傾向だけを見るようにします。数字のために食事を減らす、という使い方はしません。

目安 週に1回ふり返る

3

「やめる合図」を決めておく

「記録できないと落ち着かない」「数字を見て食べるのをやめた日があった」「食事が楽しくなくなった」のどれかが続いたら、記録を休むと決めておきます。研究の参加者も、記録がやめられないほどになるときは害になりうると話していました。

目安 合図を3つ、メモに書く

4

体型の悩みが強い時期は、始めるのを待つ

やせたい気持ちが強い人ほど記録している、という調査がありました。体重や見た目のことで頭がいっぱいになっている時期は、記録を始める前に、信頼できる人や医療機関に話してみる選択肢もあります。

目安 始める前に自分に問いかける

睡眠のスコアなど、ほかの健康の数字で不安になったときのことは、スマートウォッチの睡眠スコアが悪くて、一日中だるく不安になったにまとめています。

困ったときの相談先
こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556): 食べることや体型の悩みで気持ちがつらいとき。住んでいる都道府県の窓口につながります(受付時間は都道府県によって違います)。

05よくある質問

カロリーを記録すると、摂食障害になりやすい?

記録が原因になるとは、今の研究では言えません。27件の研究をまとめたレビューでは、記録をする人ほど食事の悩みが多い傾向が調査で一貫して見られた一方、記録アプリを使ってもらう実験では同じ傾向は確かめられませんでした。ただ、実験の多くは数週間で、リスクの高い人を除いていました。

AIが写真から出すカロリーは、どのくらい正確?

スウェーデンの研究では、一般向けの対話型AI2種が食事の写真52枚から出したエネルギー量は、実際の値から平均で約36%ずれていました。どのAIも量が多い皿ほど少なく見積もる傾向がありました。1食ごとの数字ではなく、だいたいの目安として見るのが無難です。

記録をやめたら、不安になってしまった。どうすればいい?

急に全部やめるのがつらいときは、記録する日や項目を減らしていく方法もあります。食べることへの不安が強い、食事を抜くことが増えた、という状態が続くときは、一人で抱えずに医療機関や地域の相談窓口に相談してください。

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出典

  1. Moody S, Ross L, Opitz MC, Hemmings A, İnce B, Bryson C, Kuehne C, Douglas D, Phillips M, Langhorne V, Schmidt U, Sharpe H (2025). Associations Between the Use of Fitness and Diet Tracking Technology and Disordered Eating Behaviour: A Systematic Review. European Eating Disorders Review. https://doi.org/10.1002/erv.70006
  2. Hahn SL, Kaciroti N, Eisenberg D, Weeks HM, Bauer KW, Sonneville KR (2021). Introducing Dietary Self-Monitoring to Undergraduate Women via a Calorie Counting App Has No Effect on Mental Health or Health Behaviors: Results From a Randomized Controlled Trial. Journal of the Academy of Nutrition and Dietetics. https://doi.org/10.1016/j.jand.2021.06.311
  3. Hahn SL, Linxwiler AN, Huynh T, Rose KL, Bauer KW, Sonneville KR (2021). Impacts of dietary self-monitoring via MyFitnessPal to undergraduate women: A qualitative study. Body Image. https://doi.org/10.1016/j.bodyim.2021.08.010
  4. Slama FA, Halioua R, Claussen MC (2026). Calorie tracking and energy balance: links to body image-related factors and functional impairment in a fitness sample. Frontiers in Nutrition. https://doi.org/10.3389/fnut.2026.1732255
  5. Fridolfsson J, Sjöberg E, Thiwång M, Pettersson S (2025). Performance Evaluation of 3 Large Language Models for Nutritional Content Estimation from Food Images. Current Developments in Nutrition, 9, 107556. https://doi.org/10.1016/j.cdnut.2025.107556