AIに献立やダイエットの食事を作ってもらっても大丈夫?研究では、栄養の偏りやカロリーの計算のずれが見つかり、数字は自分で確かめてから使う

「1日1,800kcalで1週間の献立を作って」。AIに頼むと、数秒で品目と量まで並んだ表が返ってきます。手軽で助かる一方、その数字や栄養のバランスが本当に合っているのかは、見ただけではわかりません。AIが作った献立を、管理栄養士の計算や国の食事の目安と比べた研究から、使う前に確かめたい点を整理します。
3行でわかる
- 3つの対話AIに35日分の献立を作らせた研究では、国の健康的な食事の目安9項目のうち、1日に満たした数は中央値で5〜7項目で、全部を満たしたAIはありませんでした。
- 持病に合わせた献立の研究では、AIが書いたカロリーが実際の計算より平均531kcal多いAIがあり、同じ頼み方でも作り直すたびに中身が変わりやすい傾向がありました。
- AIの献立は「下書き」として使い、量はグラムで出してもらい、主なカロリーと主食の量を自分で確かめます。持病や妊娠、アレルギーがある人は医師や管理栄養士に相談します。
01 結論から言うとAIの献立は、そのまま使って大丈夫?
たたき台にはなりますが、そのまま使うのは勧められません。研究では、AIの献立は栄養の偏りやカロリーの計算のずれがあり、作るたびに中身が変わりやすいことがわかっています。数字は自分で確かめてから使います。
AIの献立がまったく役に立たないわけではありません。研究では、肉の加工品や甘いものを控え、野菜と果物を入れるといった基本はおおむね守られていました。
問題は、表に書かれた数字がもっともらしく見えても、実際に計算すると合わないことがある点です。カロリーの合計、たんぱく質や炭水化物の割合、食べ物の量。どれも整った表で示されるので、間違いに気づきにくくなります。
体重を減らしたい、持病に合わせたいなど、数字が大事になる場面ほど、AIの答えをそのまま信じる前の確認が必要です。
02 研究とデータでわかっていることAIの献立には、どんなずれがある?
国の食事の目安は一部しか満たされず、全粒穀物の不足や炭水化物の少なさなど偏りが見られました。カロリーの数字は、AIによって数百kcalずれることがあり、写真からの量の見積もりも少なめになりがちでした。
Dobrowolski ら(2026年)[1]
広く使われている3つの対話AIに、1日2,000・2,500・3,000kcalの35日分の献立を、それぞれ作らせました。ポーランドの健康的な食事の目安9項目のうち、1日に満たした数は、AIによって中央値で5〜7項目でした。肉の加工品や甘いものを控える項目はおおむね守られた一方、「毎食に全粒穀物を入れる」はどのAIもほとんど満たせず、全項目を満たしたAIはありませんでした。
対象: 3つのAIの無料版、ポーランド語で作った計315日分の献立(2026年5月) / 限界: ポーランドの目安での評価で、日本の食事の目安とは項目が違う。頼み方を工夫した場合の性能は調べていない。
Çalık ら(2026年)[2]
ホルモンの病気(多嚢胞性卵巣症候群)がある女性6人の情報をもとに、4つのAIの無料版に3日分の献立を作らせ、AIが書いた栄養の数字を栄養計算ソフトの値と比べました。どのAIも、すべての栄養素で誤差が小さいわけではありませんでした。あるAIは、カロリーを平均531kcal多く表示しており、実際には表示よりかなり少ないカロリーの献立になっていました。多くのAIで、同じ頼み方で作り直すと中身が変わりやすい傾向もありました。
対象: 1つの病院の6人の情報から作った216日分の献立(トルコ語、2026年3月) / 限界: 人数が少なく、特定の病気の人向けの献立に限った研究。
Ozlu Karahan ら(2025年)[3]
体重を減らしたい架空の18人について、AIに減量用の献立を作らせ、管理栄養士の献立と比べました。一般的な減量の献立では、AIの献立はたんぱく質が約28%と多く、炭水化物が約23%と少なめでした(管理栄養士の献立はそれぞれ約16%と約52%)。カルシウムやビタミンB1などが不足しがちで、体格や活動量を変えても献立はあまり変わらず、時期を変えて同じ頼み方をすると中身がばらつきました。
対象: 架空の18人分、計54の献立(2024年8〜12月) / 限界: 1つのAIだけで、実際に食べた人の体重の変化は調べていない。
O’Hara ら(2025年)[4]
アイルランドの全国調査でよく食べられていた食事を、研究のために撮った写真114枚をAIに見せ、食べ物の種類と重さ、栄養素を推定させました。食べ物の93.0%は正しく見分けましたが、写真の76.3%で重さを少なく見積もり、量が多い食事ほど合いませんでした。16の栄養素のうち13で、実際の値と10%以上のずれがありました。
対象: 38種類の食事を3つの量で撮った114枚 / 限界: カロリーは全体の中央値ではほぼ合っていたが、1食ずつのずれは大きく、日本の料理では調べていない。
AIに健康のことを聞くときの全体的な注意は、AIに病気や薬のことを聞いても大丈夫?で整理しています。
03 まだわかっていないこと日本の食事でも、同じずれが出る?
まだ確かめられていません。研究はポーランド、トルコ、アイルランドの食事で、日本語で頼んだ和食の献立を調べたものは見当たりませんでした。AIは更新が早く、新しい版で結果が変わる可能性もあります。
- 日本語で頼んだ献立が、日本の食事の目安をどのくらい満たすかを調べた研究は見当たりませんでした。
- AIの献立を実際に何週間か食べた人の体重や健康の変化を追った研究は、ほとんどありません。
- 頼み方を詳しくすれば、ずれがどのくらい減るのかは、研究によって条件が違い、はっきりしていません。
- 研究で使われたAIの版はすでに更新されているものがあり、今のAIで同じ結果になるとは限りません。
04 今日からできることAIの献立を使う前に、何を確かめる?
量をグラムで出してもらい、主なカロリーを食品の栄養成分表示などで確かめます。主食と野菜が毎食あるかを見て、1回の献立を正確な計算として扱わないことが基本です。持病などがある人は専門家に相談します。
量を「グラム」で出してもらう
「ごはん1杯」のような書き方では、カロリーを確かめられません。食材ごとの量をグラムで書くよう頼み、量があいまいな品目は聞き直します。
目安 頼むときに1行足す
カロリーの大きい品目を3つだけ確かめる
主食・肉や魚・油を使う料理など、カロリーの大きい品目を3つ選び、パッケージの栄養成分表示などで計算し直します。AIの合計とずれていたら、合計の数字は使いません。
目安 1日分につき10分
主食と野菜が毎食あるかを見る
研究では、AIの献立は全粒穀物が足りなかったり、炭水化物が極端に少なかったりしました。毎食に主食・主菜・野菜のおかずがそろっているかを、まず目で確かめます。
目安 1日分につき2分
写真のカロリーは「少なめに出る」と考える
食事の写真からのカロリーの見積もりは、量が多い食事ほど少なく出やすい研究があります。大盛りや外食のときは、AIの数字を下限くらいに考えます。AIの答えの一般的な確かめ方はAIの答えの確かめ方にまとめています。
目安 写真で記録するたびに
持病がある、薬を飲んでいる、妊娠中、食物アレルギーがある、急に体重を減らしたい。こうした場合は、AIの献立で決めず、かかりつけの医師や管理栄養士に相談してください。
AIの答えに古い情報が混ざることもあります(AIの答えに古い情報が混ざっていた)。
05よくある質問
AIが作った献立のカロリーは信じていい?
目安にとどめるのが安全です。持病に合わせた献立の研究では、AIが書いたカロリーが実際の計算より平均で531kcal多いAIがあり、AIによって誤差の大きさも違いました。体重の管理に使うなら、食品の栄養成分表示などで主な数字を確かめます。
食事の写真をAIに見せれば、カロリーがわかる?
食べ物の種類はよく当てますが、量の見積もりはずれやすいとする研究があります。114枚の食事写真の実験では、AIは食べ物の93.0%を正しく見分けた一方、写真の76.3%で重さを少なく見積もり、中くらいと大盛りの食事で合いませんでした。
ダイエット中なら、AIの献立をそのまま続けてもいい?
そのまま続けるのは勧められません。体重を減らしたい人向けの献立の研究では、AIの献立は管理栄養士の献立より炭水化物がかなり少なく、カルシウムやビタミンB1などが不足しがちでした。持病がある人、妊娠中の人、食物アレルギーのある人は、医師や管理栄養士に相談してください。
出典
- Dobrowolski H, et al. (2026). Compliance of large language model generated meal plans with polish dietary recommendations: a real-world evaluation under average user conditions—3(LM)Diet study. Frontiers in Public Health, 14, 1949700. https://doi.org/10.3389/fpubh.2026.1949700
- Çalık A, Demiray PE, Bilen AB, et al. (2026). Nutrient Calculation Accuracy, Expert-Rated Clinical Appropriateness and Safety Indicators, and Reproducibility of Large Language Model-Generated Diet Plans for Polyendocrine Metabolic Ovarian Syndrome. Nutrients, 18(19), 3205. https://doi.org/10.3390/nu18193205
- Ozlu Karahan T, Kenger EB. (2025). ChatGPT-4o for Weight Management: Comparison of Different Diet Models. Food Science & Nutrition, 13(7), e70639. https://doi.org/10.1002/fsn3.70639
- O’Hara C, Kent G, Flynn AC, Gibney ER, Timon CM. (2025). An Evaluation of ChatGPT for Nutrient Content Estimation from Meal Photographs. Nutrients, 17(4), 607. https://doi.org/10.3390/nu17040607


