詐欺・なりすまし

有名人のAI動画の投資広告で、お金を払ってしまった。返金を求める手順は、払い方で変わる

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わかっている度 ★★☆ 中研究1本・公的資料など15件を整理
赤い布の上に並んだ硬貨
Photo: Astelus / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品の紹介や診断はしていません。出典は末尾)。

有名人が投資をすすめる動画の広告を見て、言われるままにお金を払った。あとで本人が関わっていない偽の広告だとわかった。いま、とても動揺していると思います。悪いのはだました側です。この記事では、払ったあとにできることを、払い方ごとに整理します。どの払い方でも、最初の一歩は今日のうちに警察と払った先の窓口へ連絡することです。

3行でわかる

  1. 返金を求める窓口は払い方で変わります。振込なら振込先の銀行、カードならカード会社、電子マネーなら発行会社です。どの場合も警察(#9110)に届け出ます。
  2. 2026年上半期のSNS型投資詐欺は5,893件・797.9億円で、最初の接触は「バナー等広告」が最も多くなりました(警察庁、暫定値)。
  3. 被害のあとに「お金を取り戻せる」と近づく連絡は、二次被害のおそれがあります。お金を払う前に188に相談します。

01 結論から言うと偽の投資広告で払ったお金は、取り戻せる?

払い方と、お金がまだどこに残っているかで変わります。確実に戻る方法はありませんが、口座の凍結やカード会社への申し出は早いほど意味があります。気づいた今日のうちに動くのが基本です。

国民生活センターは2026年9月にも、SNSで著名人がすすめる投資話のトラブルについて注意を呼びかけました。いったん振り込むと被害の回復は難しく、高額になりやすいとしています。

それでも、何もしないより、連絡したほうが道は残ります。振込なら口座にお金が残っている間に止められる可能性があり、カード払いならカード会社に相談する道があります。

この記事は、払ったあとのことだけを書きます。広告の段階での見分け方は、BOHANのディープフェイクと「見たから信じる」の落とし穴や、デジタル探偵の有名人が勧める投資広告は本物?で整理しています。

02 研究とデータでわかっていること払い方ごとに、どこへ何を求める?

SNS型投資詐欺の約7割は口座への振込で、次に多いのが暗号資産の送信です。振込は銀行と警察、カードはカード会社、暗号資産と電子マネーは警察と消費生活センターや発行会社に、早めに連絡します。

797.9億円2026年1〜6月のSNS型投資詐欺の被害額。前年同期より444.9億円多い(警察庁、暫定値)
2,330件同じ期間に、最初の接触が「バナー等広告」だった件数。手段別で最多(全5,893件中)
69.3%お金を口座への振込で渡した割合(件数)。暗号資産の送信は21.9%
62%米国の郵便詐欺の記録で、2回以上勧誘に応じていた被害者の割合(2025年の研究)

警察庁(2026年7月公表) [1][2]

2026年上半期のSNS型投資詐欺は5,893件、被害額は797.9億円でした。最初の接触はバナー等広告が2,330件で最も多く、前年同期の2.6倍あまり(+165.1%)に増えています。お金の渡し方は、振込が4,084件(69.3%)、暗号資産の送信が1,288件(21.9%)、現金の手渡しが430件(7.3%)、その他が91件(1.5%)でした。

対象: 全国の警察が把握した件数(暫定値)。2026年からSNS型投資詐欺は特殊詐欺の手口の1つとして数えられています / 限界: 広告がAIで作られていたかどうかの区分は、この資料には見当たりませんでした。

AIとの関わりについては、2026年8月、警察庁・金融庁・消費者庁・デジタル庁など7府省庁が、大規模なSNS事業者に対策強化を合同で要請しました。デジタル庁は、ディープフェイクで著名人の顔や声を無断で使ったなりすまし広告を含む詐欺広告が広く出回り、投資詐欺の被害が広がっていると説明しています。

払い方ごとの窓口と、公的機関や業界団体の説明をまとめると、次のようになります。

払い方まず連絡する先公的機関などの説明
銀行口座への振込振込先の口座がある銀行と警察口座にお金が残っていれば、振り込め詐欺救済法で支払いを受けられる可能性がある。SNS型投資詐欺も対象(金融庁)
クレジットカードカードの発行会社条件を満たす後払いなら、支払いの停止を申し出られる(日本クレジット協会)。カード会社の協力で解決した例も多い(国民生活センター)
暗号資産の送信警察、消費生活センターいったん送ると被害回復は極めて困難。不審に思ったらすぐ相談を(国民生活センター)
電子マネーの番号電子マネーの発行会社と警察回復は難しい場合が多いが、発行会社が今後の悪用を防げる場合がある(国民生活センター)

振込の場合は、振込先の銀行と警察へすぐ連絡し、口座を止めてもらいます。救済法の流れと申請のしかたはAIの声の電話で振り込んでしまったときの記事で詳しく書いています。

カードの場合、日本クレジット協会の案内では、商品やサービスが提供されないなどの問題があるとき、クレジット代金の支払いを止められる場合があります。ただし、割賦販売法の対象でない契約や、総額4万円未満(リボ払いは現金価格3万8千円未満)のときは止められません。大阪府の案内では、対象は支払い期間が2か月を超えるクレジットです。まず相手に連絡し、解決しなければカード会社に申し出るのが手順で、申し出は書面が一般的です。

支払いの停止の対象にならない場合でも、カード会社に相談する意味はあります。国民生活センターが起業・副業のトラブルを調べた2023年の報告では、カード払いは、相手が交渉に応じなくても、カード会社などの協力で解決に至る例が多いとされています。一方で、売上を取り消す「チャージバック」はカード会社どうしの手続きで、利用者に請求する権利はないとも説明しています。契約から数か月たつと解決が難しいという指摘もあり、相談は早いほど有利です。

Langtonら(2025) [16]

約20年間に営業していた4つの詐欺グループの記録を調べると、郵便の勧誘に2回以上応じた被害者が62%いました。20回を超えて応じた人は8.8%で、平均1,771ドルを失っていました。著者らは、くり返し被害を防ぐため、早い段階で手を打つ必要があるとしています。

対象: 米国の郵便による詐欺の被害者 / 限界: SNSや投資の詐欺、「取り戻せる」とうたう二次被害そのものを調べた研究ではありません。一度被害にあった人がくり返し狙われうることを示す、近い分野の結果です。

03 まだわかっていないことAIの偽広告による被害は、どれくらい戻っている?

わかっていません。AIで作られた広告による被害の件数も、払ったお金がどれだけ戻ったかも、今回調べた公的資料では確認できませんでした。

  • 警察庁の統計は「バナー等広告」の件数を示していますが、そのうちAIで作られた動画や画像がいくつあったかの区分はありません。
  • SNS型投資詐欺の被害のうち、救済法やカード会社の対応でどれだけ戻ったかをまとめた公的な数字は、今回の調査では見つかりませんでした。
  • 日本で、被害者が「取り戻せる」という二次被害にどれくらいあっているかを調べた研究は見当たりませんでした。上の米国の研究は郵便詐欺のものです。

04 今日からできること払ってしまった今日、何から始める?

払った先への連絡、警察への届け出、記録を残すこと、「取り戻せる」という連絡を断ること。この4つを今日から始めます。窓口への相談は無料です。

1

払い方に合わせて、払った先の窓口に連絡する

振込なら振込先の口座がある銀行、カードならカード会社、電子マネーなら発行会社です。「投資詐欺の被害にあった」と伝えます。

目安 気づいたらすぐ、1件10分

2

警察に届け出る

最寄りの警察署か、警察相談専用電話の#9110に連絡します。金融庁も、トラブルにあったら金融サービス利用者相談室に情報を寄せ、警察に相談するよう案内しています。

目安 当日中に

3

広告とやりとりの記録を残す

広告の画面、誘導されたアカウント名、メッセージ、振込明細やカードの利用明細、暗号資産の送金記録を保存します。相手とのやりとりは消さずに残します。

目安 30分

4

「取り戻せる」という連絡には払わない

消費者庁は、「返金手続を代行する」「国の救済制度で返金を受けられる」などと持ちかけ、金銭を求める例を挙げて二次被害に注意を呼びかけています。国民生活センターの名をかたる返金の連絡もあります。迷ったら188に相談します。

目安 連絡が来たら、その場で返事をしない

だまされた自分を責める気持ちが強いときは、AIを使った詐欺にだまされて、自分を責めてしまうときの記事も読んでみてください。

困ったときの相談先
警察相談専用電話 #9110: 被害の届け出や相談に。身の危険を感じるときは110番。
消費者ホットライン 188: 近くの消費生活センターにつながります。相談は無料で、通話料がかかります。
金融庁 詐欺的な投資に関する相談ダイヤル 0570-050588(平日10時〜17時、IP電話は03-6206-6066): 投資の勧誘についての相談や情報提供に。

05よくある質問

「お金を取り戻せます」という連絡が来たら、頼んでもいい?

すぐに頼まず、お金も払わないでください。消費者庁は、被害回復のためとして金銭を求められたり、新たな投資を勧められたりした場合は、二次被害のおそれがあるとしています。きっぱり断り、迷ったら消費者ホットライン188に相談します。

広告がAIで作られた動画だったかどうかで、手続きは変わる?

金融庁の説明では、振り込め詐欺救済法の対象は、詐欺などで口座への振込みが使われた被害です。SNS型投資詐欺も、口座への振込みで被害にあった場合は対象になります。手続きで大事なのは、広告の作られ方より、どの方法で払ったかです。

カードの1回払いでも、カード会社に相談していい?

相談はできます。割賦販売法の支払停止の抗弁は、支払い期間が2か月を超える後払いなどが対象で、1回払いは対象外になりやすいとされています。ただ、国民生活センターの調査では、カード払いはカード会社の協力で解決した例が多くありました。どう扱われるかはカード会社の判断になるため、早めに伝えます。

暗号資産で送ったお金は、戻ってくる?

国民生活センターは、いったん送ってしまうと被害回復は極めて困難だとしています。それでも、警察や消費生活センターへの相談は早いほど役に立ちます。送った日時や送り先の情報を残して、#9110か188に連絡します。

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出典

  1. 警察庁「令和8年上半期における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(暫定値)」(2026年7月31日) https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/sos47/new-topics/260731/01.html
  2. 警察庁「令和8年上半期における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(暫定値)」資料1・資料2 https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/sos47/assets/img/new-topics/detail/260731/01/01.pdf / https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/sos47/assets/img/new-topics/detail/260731/01/02.pdf
  3. デジタル庁「SNS等におけるなりすまし詐欺広告に関する対策強化のための7府省庁合同要請の実施」(2026年8月7日) https://www.digital.go.jp/news/b96e34b8-0af0-4fe3-b6b5-2191726c8cc5
  4. 国民生活センター「SNSで著名人が勧める“もうかる方法” それって本当!?金融商品・サービスのトラブルにご注意!」(2026年9月1日) https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20260901_1.html
  5. 金融庁「振り込め詐欺等の被害にあわれた方へ」 https://www.fsa.go.jp/policy/kyuusai/furikome/index.html
  6. 日本クレジット協会「支払停止等の抗弁に関する手続きについて(ご案内)」(2025年5月) https://www.j-credit.or.jp/customer/consult/download/siharai_teisi_koben.pdf
  7. 大阪府「通っているエステサロンが倒産した。続けてクレジットで代金を支払う必要があるのか。」(お問合せ集) https://www.pref.osaka.lg.jp/faq/faq_000099.html
  8. 国民生活センター「消費生活センターにおける解決困難事例の研究 ~起業・副業をめぐる消費者トラブルの被害救済を中心に~」調査報告書(2023年3月) https://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20230322_2_2.pdf
  9. 国民生活センター「そのセキュリティ警告画面・警告音は偽物です!「サポート詐欺」にご注意!!」(2022年2月24日) https://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20220224_2.pdf
  10. 国民生活センター 見守り新鮮情報 第530号「SNSで勧誘される詐欺的な暗号資産の投資話 被害回復は困難です」(2025年12月11日) https://www.kokusen.go.jp/mimamori/mj_mailmag/mj-shinsen530.html
  11. 消費者庁「投資系トラブルの二次被害にご注意ください!」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/caution/caution_045/index.html
  12. 国民生活センター「国民生活センターをかたる電話やメール等にご注意ください!」(2025年4月17日更新) https://www.kokusen.go.jp/soudan_now/data/kokusen_katari.html
  13. 金融庁「SNS・マッチングアプリ等で知り合った者や著名人を騙る者からの投資勧誘等にご注意ください!」(2025年4月17日更新) https://www.fsa.go.jp/ordinary/chuui/sns.html
  14. 金融庁「金融サービス利用者相談室」 https://www.fsa.go.jp/receipt/soudansitu/index.html
  15. 消費者庁「消費者ホットライン」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/local_cooperation/local_consumer_administration/hotline/
  16. Langton, L., DeLiema, M., Brannock, D., & Preble, E. (2025). Using Scammers' Data to Estimate the Impact and Importance of Preventing Repeat Mail Fraud Victimization. The British Journal of Criminology, 65(1), 163-181. https://doi.org/10.1093/bjc/azae033