心の疲れ・比べて落ち込む

SNSで事件や事故の生々しい動画を見てしまい、場面が頭から離れない。研究では、繰り返し見ないことが先で、パズルゲームで浮かぶ回数が減った実験もあるが、家で一人で試す形では確かめられていない

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わかっている度 ★☆☆ 低研究6本・公的資料1件を整理出典照合済み(2026-10-18)
夜のナイトテーブルを照らすスタンドの明かりとグラス
Photo: Brad Coy / CC BY 2.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品の紹介や診断はしていません。出典は末尾)。

おすすめに流れてきた動画を、止める間もなく見てしまった。事件や事故の生々しい場面が、仕事中や寝る前にふっと浮かんでくる。見てしまった自分を責める必要はありません。見た後にできることと、まだわかっていないことを研究から整理します。

3行でわかる

  1. 生々しい映像を見た後に場面が勝手に浮かぶことは、健康な大人でも起きることが実験で確かめられています。まずは同じ動画や関連の動画を繰り返し見ないことです。
  2. 英国の病院で交通事故の後の71人を調べた試験では、事故から6時間以内にブロックを並べるパズルゲームをした組で、1週間に浮かぶ回数が62%少なくなりました。
  3. ただし、スマホで各自がゲームをした実験や、別の研究室の実験では差が確かめられませんでした。家で一人で試す方法としては、まだ効果がわかっていません。

01 結論から言うと見てしまった後、まず何をすればいい?

まず、同じ動画や関連の動画を見返さない・探さない・広めないことです。場面が浮かぶのは珍しい反応ではありませんが、つらさが2週間以上続くときは相談先があります。パズルゲームの研究は、まだ家で試せる方法として確かめられていません。

けがや死の場面を含む映像を見た後、その場面が自分の意思とは関係なく頭に浮かぶことを、研究では「侵入記憶(勝手に浮かぶ記憶)」と呼びます。英国の研究では、こうした映像を見てもらうと健康な大人でもその後の1週間に場面が浮かぶため、実験の題材として使われてきました [1][2]。

一方で、事件の報道を長く見た人ほどストレスの症状が強く、それが次の出来事のときの見すぎにつながる、という研究があります [6]。気になって検索したり、同じ動画を見返したりするのは自然な気持ちですが、最初の一歩は「これ以上見ない」ことです。見る前の備えは生々しい動画が流れてきそうで怖いときの記事で整理しています。

02 研究とデータでわかっていること浮かぶ場面を減らす方法は、研究で見つかっている?

見た後の数時間以内に、ブロックを並べるパズルゲームのように目と手を使う作業をすると、浮かぶ回数が減った実験があります。ただ、その後の実験では差が出なかったものもあり、結果は分かれています。

62%少ない交通事故から6時間以内にゲームをした組の、1週間に浮かんだ回数(英国の病院の71人、2014〜15年)
4時間後映像を見た4時間後にゲームをしても、浮かぶ回数が減った(英国の実験)
差なし各自がスマホでゲームをした94人の実験では、1回のゲームで22%少なかったが、偶然の差と区別できなかった(アイルランド、2025年)

Holmes ら(2009)[1]

けがや死の実際の場面を集めた12分の映像を見た30分後に、10分間ブロックを並べるパズルゲームをした組は、何もしなかった組より、その後1週間に場面が勝手に浮かぶ回数が少なかった。見た内容を思い出す力(記憶のテスト)は、2つの組で差がなかった。

対象: 英国の18〜47歳の40人(各組20人) / 限界: 実験室で映像を見た健康な人の結果で、本当の事件や事故にあった人ではない。人数も少ない。

Holmes ら(2010)[2]

映像を見た30分後に、ブロックのパズルゲームをした組では浮かぶ回数が減ったが、言葉で答えるクイズのゲームをした組では、何もしない組よりかえって増えた。別の実験では、映像の4時間後にパズルゲームをしても、浮かぶ回数が減った。

対象: 英国の18〜60歳の60人(1つ目の実験、各組20人)ほか / 限界: 実験室の結果。気をそらすなら何でもよいわけではない、という点は大事だが、日常の場面で同じことが起きるかは別の問題。

Iyadurai ら(2018)[3]

交通事故の後に救急外来に来た人に、事故から6時間以内に、事故の場面を短く思い出してもらった後、約20分パズルゲームをしてもらった。活動の記録を書いた組と比べ、その後1週間に事故の場面が浮かんだ回数は62%少なかった。ただし1か月後には、ほかの症状で差は見られなかった。

対象: 英国オックスフォードの救急外来の18歳以上の71人 / 限界: 効果を確かめる前段階の小さな試験。研究者が付き添い、病院の中で決まった手順で行った。

Broughill ら(2025)[4]

映像を見た後、各自がスマホでゲームをする形で試した。1回15分のゲームをした組は、しなかった組より浮かぶ回数が22%少なかったが、偶然の差と区別できなかった。3日続けてゲームをした組は、むしろ13%多かった(これも偶然の差と区別できない)。

対象: アイルランドの大学の研究に参加した94人 / 限界: 研究者の付き添いがなく、著者は「管理されていない場面では効かない可能性もある」と書いている。

van Schie ら(2026)[5]

映像を見た後に、パズルゲームだけをする組、場面を思い浮かべながらゲームをする組、何もしない組で比べた。思い浮かべながらの組では場面の鮮明さと不快さが下がったが、1週間に浮かんだ回数は、3つの組で差がなかった。

対象: 90人(1つ目の実験) / 限界: これまでの研究と手順が少しずつ違い、著者は「どの要素が効くのかを確かめてから、治療に使うべきだ」としている。

ここまでの研究を、試した場面ごとに並べると次のようになります。

03 まだわかっていないこと家でゲームをすれば、場面は浮かばなくなる?

わかっていません。効果が出た研究はどれも研究者が付き添った場面で、各自がスマホで試した研究では差が出ませんでした。SNSで動画を見てしまった人を対象にした研究も見つかりませんでした。

  • SNSで偶然流れてきた動画を見た人を対象に、ゲームなどの効果を調べた研究は見つかりませんでした。研究の多くは、実験室で決まった映像を見た人の結果です。
  • 病院の試験では、ゲームの前に事故の場面を短く思い出す手順がありました。この手順を一人で行ってよいかは確かめられていません。
  • 何時間後までなら意味があるのか、何分続けるとよいのかも、研究によって条件が違い、答えが出ていません。
  • AIで作られた偽の映像だったとわかった場合に、浮かび方が変わるのかもわかっていません。

04 今日からできること浮かんできたとき、どう過ごせばいい?

これ以上見ないための設定をし、浮かんだ回数を短く記録し、気をそらすなら言葉より目と手を使う作業を選ぶことです。2週間以上つらさが続くときは、相談先を使えます。

1

同じ動画と関連の動画を、これ以上見ない

見返したり、続報を求めて動画を探したりしないと決めます。似た動画が続けて出てくるときは、その投稿に「興味なし」などの合図を出すか、しばらくそのアプリを閉じます。共有もしません。

目安 その日のうちに1回

2

浮かんだ回数を、1週間メモしておく

研究でも、浮かんだ回数を日記に書いて変化を見ていました。「何日の何時ごろ、何回」と短く残すと、減っているかどうかがわかり、相談するときにも伝えやすくなります。

目安 1日1分を7日間

3

気をそらすなら、言葉より目と手を使う作業を選ぶ

英国の実験では、言葉で答えるクイズのゲームで浮かぶ回数がかえって増えました。片づけや手を動かす作業など、目と手を使うことに時間を使うのが一つの選び方です。ただ、ゲームなどで浮かぶ回数が減るかは、家で試す形ではまだ確かめられていません。

目安 10〜20分

4

2週間を一つの区切りにして、相談先を確かめておく

眠れない、仕事や家事が手につかない、同じ場面が何度も浮かぶといった状態が2週間以上続くときは、一人で抱えず、医療機関や公的な相談窓口に相談できます。メモした回数を持っていくと伝えやすくなります。

目安 窓口を確かめるのに3分

AIが作った偽の災害画像の見分け方や広め方の注意は地震や大雨のときのAIの偽画像の記事、AIに悩みを話して不安になったときのことはAIに「うつの可能性がある」と言われたときの記事でも整理しています。

05よくある質問

動画の場面が何度も浮かぶのは、おかしいこと?

珍しいことではありません。研究では、けがや死の場面を含む映像を見てもらうと、健康な大人でもその後の1週間に場面が勝手に浮かぶことが確かめられており、実験の題材として使われてきました。ただし、2週間以上続いてつらいときは相談先があります。

気をそらすなら、どんなゲームでもいい?

そうとは限りません。英国の60人の実験では、ブロックを並べるパズルゲームでは浮かぶ回数が減った一方、言葉で答えるクイズのゲームではかえって増えていました。また、目と手を使うゲームでも、各自がスマホで試した実験では差が確かめられていません。

AIで作られた偽の動画だったとわかった。それでも頭から離れないのは変?

変ではありません。偽物だとわかった後の心の反応は、まだ研究がほとんどありません。PNASの論文の著者も、AIで作られた映像への反応は今後の課題としています。本物のときと同じように、繰り返し見ないことから始めます。

眠れない日が続く。どこに相談できる?

つらい状態が2週間以上続くときや、日常生活に支障があるときは、医療機関や、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)などの公的な相談窓口に相談できます。

つらい状態が2週間以上続くときや、日常生活に支障があるときは、医療機関や、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)などの相談窓口に相談できます [7]。
「心の疲れ・比べて落ち込む」を順に読む
備える → 起きたとき(この記事)
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出典

  1. Holmes, E. A., James, E. L., Coode-Bate, T., & Deeprose, C. (2009). Can playing the computer game "Tetris" reduce the build-up of flashbacks for trauma? A proposal from cognitive science. PLoS ONE, 4(1), e4153. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0004153
  2. Holmes, E. A., James, E. L., Kilford, E. J., & Deeprose, C. (2010). Key steps in developing a cognitive vaccine against traumatic flashbacks: Visuospatial Tetris versus verbal Pub Quiz. PLoS ONE, 5(11), e13706. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0013706
  3. Iyadurai, L., Blackwell, S. E., Meiser-Stedman, R., Watson, P. C., Bonsall, M. B., Geddes, J. R., Nobre, A. C., & Holmes, E. A. (2018). Preventing intrusive memories after trauma via a brief intervention involving Tetris computer game play in the emergency department: a proof-of-concept randomized controlled trial. Molecular Psychiatry, 23(3), 674–682. https://doi.org/10.1038/mp.2017.23
  4. Broughill, M., Commins, S., & Hyland, P. (2025). Testing a dose-response effect of the visuospatial game Tetris on intrusive memories. Journal of Traumatic Stress, 38(6), 997–1008. https://doi.org/10.1002/jts.70000
  5. van Schie, K., Kessler, H., & Engelhard, I. M. (2026). Effects on intrusive memories of playing Tetris with or without simultaneous and deliberate memory recall. Journal of Traumatic Stress, 39(5), 897–908. https://doi.org/10.1002/jts.70104
  6. Holman, E. A., Garfin, D. R., & Silver, R. C. (2024). It matters what you see: Graphic media images of war and terror may amplify distress. Proceedings of the National Academy of Sciences, 121(29), e2318465121. https://doi.org/10.1073/pnas.2318465121
  7. 厚生労働省「電話相談窓口(まもろうよ こころ)」 https://www.mhlw.go.jp/mamorouyokokoro/soudan/tel/