SNSのおすすめに見た目の投稿が増えて、比べて落ち込みそう。研究では、おすすめは「いいね」より見続けた時間に反応している可能性があり、見ない合図をはっきり出すことが備えの候補になる

SNSを開くと、細い体や整った顔、ダイエットや筋トレの動画が、前より目につくようになった。探したつもりはないのに増えていく。このまま見続けたら、自分と比べて落ち込みそう。そう感じたときに、先にできる備えを研究から整理します。
3行でわかる
- TikTokのおすすめは機械学習(AIの一種)で選ばれ、「いいね」だけでなく、見続けた時間や見返しなどの目立たない反応も手がかりにしています。
- TikTokの約103万本の動画を分析した研究では、摂食障害のある人に届いたダイエット動画は対照の人より335%多く、「いいね」の差(23%)よりずっと大きいものでした。
- 研究者が挙げる備えは「興味なし」などで見ない合図をはっきり出すことですが、効果はまだ確かめられていません。見た目以外の投稿を自分で選ぶことと組み合わせます。
01 結論から言うとおすすめに見た目の投稿が増えるのはなぜ?
おすすめのAIが、あなたが見た時間や見返した回数などから「関心がある」と読み取っている可能性があります。「いいね」をしていなくても増えることがあるので、見ない合図をはっきり出すことと、見る投稿を自分で選ぶことが備えの候補になります。
TikTokのおすすめは、つながりのある人の投稿を時間順に並べる仕組みではありません。研究者の整理では、「いいね」やコメントのような目に見える操作に加えて、見ていた時間、最後まで見たか、見返したか、指を止めたかといった細かな反応も手がかりにして、大規模な機械学習が次の動画を選んでいます [1]。
つまり、気になって手を止めただけの見た目の動画も、「この人はこれに関心がある」という合図として扱われうる、ということです。比べてつらくなる投稿ほど目が離せない、ということは珍しくありません。そこで、落ち込む前に「おすすめが何を手がかりにしているか」を知り、自分から合図を出し直すのが、この記事の備え方です。
02 研究とデータでわかっていることおすすめの偏りは、気分に影響する?
摂食障害のある人のおすすめには、見た目やダイエットの動画が大きく偏って届いていました。日常の記録では、見た目を磨くよう促す投稿を見た後ほど、気分が下がり体への不満が高い傾向がありました。ただし多くは関連を示した研究です。
Griffiths ら(2024)[2]
本人から提供してもらったデータで、1か月にTikTokで届いた約103万本の動画を分析した。摂食障害のある人のおすすめには、対照の人と比べて、見た目に関する動画が146%、ダイエット動画が335%、運動の動画が142%多く届いていた。一方で、ダイエット動画に「いいね」をする見込みの差は23%にとどまり、偏りが強い人ほど症状も重い傾向があった。
対象: 摂食障害のある42人(76%が神経性やせ症)と、ない49人 / 限界: 著者自身が「予備的な証拠」としており、おすすめが症状を悪くしたという因果は確かめられていない。摂食障害のない人どうしの差はわからない。
Griffiths ら(2026、文献の整理)[1]
TikTokと摂食障害の研究を整理した論文。おすすめは「いいね」のようなはっきりした操作より、見ていた時間のような受け身の反応に強く反応している可能性があるとした。「いいね」を控えるだけではおすすめは変わりにくいと考えられ、「興味なし」の機能、投稿者のブロック、ハッシュタグの報告、おすすめの更新が候補に挙がっていた。
対象: 既存の研究を絞って集めた整理(網羅的なまとめではない) / 限界: 挙げられた対策は、効果がまだ確かめられておらず、偏りが時間とともに戻ることもあると著者は書いている。
Schönhals ら(2026)[3]
7日間、写真や動画中心のSNSで見た投稿と、そのときの気分をスマホで記録してもらった。体を鍛える・やせることを称える投稿を見た後は、幸せな気分が低く、体への不満が高く、体への感謝の気持ちが低い傾向があった。この結びつきには「自分より上の人と見た目を比べること」が関わっていた。体の前向きさを打ち出す投稿には、はっきりした良い変化が見られず、見た目から離れて体を受け止める投稿の後には、体への感謝の気持ちが高めだった。
対象: 神経性やせ症または過食症があると自己申告した女性62人と、ない女性81人(ドイツの大学の研究) / 限界: 見た時間や回数は記録しておらず、投稿の種類の分け方は本人の判断。関連であって因果ではない。
Copez-Lonzoy ら(2026、系統的レビュー)[4]
SNSを使って体のイメージの悩みを減らす試みを調べた8件の研究をまとめた。Facebookのグループで、理想化されていない見た目の写真などを届けた研究では、体への不満と見た目を比べる傾向が下がっていた。全体として、効果はあっても小さめだった。
対象: 13〜30歳の参加者を含む8件(計4,975人、多くが女性、高所得国中心) / 限界: 方法や期間がばらばらで比べにくく、半数ほどで割り付けの方法に不安があった。
研究からいえるのは、おすすめは「見たもの」を手がかりに似たものを届けやすく、見た目を磨くよう促す投稿は気分の低さと結びつきやすい、ということです。だから「流れてきたものを全部見る」状態を少し変えるだけでも、備えになりえます。
03 まだわかっていないことおすすめを変えれば、落ち込まずに済む?
まだわかっていません。見ない合図を出す操作で、おすすめと気分がどのくらい変わるかを確かめた研究は見つかりませんでした。おすすめの研究の多くは、摂食障害のある人を対象にしています。
- 「興味なし」やおすすめの更新で、届く投稿や気分がどのくらい変わるかを試した研究は見つかりませんでした。偏りが戻ることもあると研究者は書いています [1]。
- おすすめの偏りを調べた研究は、摂食障害のある人と対照の人の比較です。それ以外の人に同じ大きさの偏りが起きるかは、わかっていません。
- おすすめの仕組みはアプリごとに違い、外からは詳しく見えません。TikTok以外のアプリに同じことが言えるかは、確かめられていません。
- 日本の利用者を対象にした研究は見つかりませんでした。
04 今日からできること落ち込む前に、おすすめとどう付き合う?
まず今のおすすめの中身を数えて、偏りに気づきます。つらくなる投稿は手を止めずに離れ、「興味なし」などで見ない合図を出します。そのうえで、見た目以外の投稿を自分で探して見る時間をつくります。どれもお金はかかりません。
おすすめを20本だけ数える
おすすめを開いて上から20本見て、体型・顔・ダイエットなど見た目が中心の投稿が何本あったかをメモします。数字にすると、なんとなくの不安が「今のおすすめの偏り」として見えてきます。月に1回くり返すと変化がわかります。
目安 5分、月1回
つらくなる投稿は、手を止めずに離れる
おすすめは見ていた時間も手がかりにしている可能性があります。比べてしまう投稿が出たら、じっくり見る前に次へ進むか、アプリを閉じます。「いいね」をしないだけでは足りないかもしれない、と覚えておきます。
目安 その場で数秒
見ない合図をはっきり出す
研究者が挙げているのは、「興味なし」のような機能、投稿者のブロック、おすすめの更新です。名前や場所はアプリによって違うので、使っているアプリの公式ヘルプで確かめてください。効果は確かめられておらず、戻ることもあるため、手順1の数え直しと組み合わせます。
目安 気づいたときに1回ずつ
見た目以外の投稿を、自分で探して見る
料理、自然、趣味、体を動かす楽しさなど、見た目の評価から離れた投稿を検索して、いくつかフォローします。日常の記録の研究では、見た目から離れて体を受け止める投稿の後に、体への感謝の気持ちが高めでした。
目安 10分、フォロー3〜5件
AIが作った人物の画像と比べてしまうときの備えはAIで作った人物の画像と比べて落ち込みそうに、AIの出す候補に考えが寄っていく仕組みはAIの文章の候補を使っていると、自分の意見まで変わる?にまとめています。
05よくある質問
見た目の投稿に「いいね」をしなければ、おすすめは減る?
それだけでは減りにくいかもしれません。TikTokのデータを分析した研究では、摂食障害のある人の「いいね」は対照の人より少し多いだけでしたが、届いた動画は大きく偏っていました。研究者は、見続けた時間などの目立たない反応がおすすめに効いている可能性を指摘しています。
おすすめをリセットすれば、もう落ち込まない?
そうとは言い切れません。研究者は、興味なしの操作やおすすめの更新を候補に挙げていますが、効果はまだ確かめられておらず、偏りが戻ることもあると書いています。一度で終わりにせず、時々おすすめの中身を見直すのが現実的です。
体を前向きに受け止めようという投稿なら、見ても大丈夫?
ドイツの大学による7日間の記録では、体の前向きさを打ち出す投稿を見た後に、はっきりした良い変化は見られませんでした。体の見た目から離れて、体の働きや見た目以外の話をする投稿の後には、体への感謝の気持ちが高めでした。
見た目のことで落ち込む日が続く。どこに相談できる?
食事や体重のことが頭から離れない、落ち込みが2週間以上続くといったときは、医療機関や、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)などの公的な相談窓口に相談できます。
出典
- Griffiths, S., Hondrogiannis, S., & Brittain, N. (2026). TikTok and Eating Disorders: A Narrative Review. International Journal of Eating Disorders, 59(9), 1863–1868. https://doi.org/10.1002/eat.70119
- Griffiths, S., Harris, E. A., Whitehead, G., Angelopoulos, F., Stone, B., Grey, W., & Dennis, S. (2024). Does TikTok contribute to eating disorders? A comparison of the TikTok algorithms belonging to individuals with eating disorders versus healthy controls. Body Image, 51, 101807. https://doi.org/10.1016/j.bodyim.2024.101807
- Schönhals, K., Lalk, C., & Vocks, S. (2026). Fitspiration, Thinspiration, Body Positivity, and Body Neutrality Contents on Image-Based Social Media: Associations With Body Image, Mood, Self-Esteem, and Disordered Eating Behavior. International Journal of Eating Disorders, 59(4), 790–802. https://doi.org/10.1002/eat.70027
- Copez-Lonzoy, A., et al. (2026). Interventions That Use Highly Visual Social Media Platforms to Tackle Unhealthy Body Image in Adolescents and Young Adults: Systematic Review of Randomized Controlled Trials and Quasi-Experimental Studies. Journal of Medical Internet Research, 28, e80141. https://doi.org/10.2196/80141
- 厚生労働省「電話相談窓口(まもろうよ こころ)」 https://www.mhlw.go.jp/mamorouyokokoro/soudan/tel/


