人間関係・孤独

AIと仕事をするようになって、職場で人と話さなくなった。研究ではAIとのやりとりが多い人ほど孤独を感じやすく、上司の気づかいがある場面では孤独は低かった

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わかっている度 ★★☆ 中研究5本・公的資料0件を整理出典照合済み(2026-10-11)
誰もいない会議室の机と椅子
Photo: Breather breather / CC0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品の紹介や診断はしていません。出典は末尾)。

前は隣の席の人に聞いていたことを、いまはAIに聞く。資料の下書きも、ちょっとした調べものも、AIで済む。仕事は早くなったのに、気づけば一日、同僚とほとんど話していない。そんな寂しさを感じていても、あなたが弱いわけではありません。研究では、AIとのやりとりが増えるほど職場で孤独を感じやすい傾向が、いくつかの国で見つかっています。すでに孤立した気がするいま、人とのつながりを職場に戻す方法を整理します。

3行でわかる

  1. 台湾・インドネシア・米国・マレーシアで働く人794人を調べた4つの研究では、仕事でAIとやりとりする人ほど孤独を感じやすく、仕事のあとの不眠や飲酒とも関わっていました。
  2. 米国の働く人6,238人の調査でも、仕事でAIを使う作業が多い人ほど、生活の満足度が少し高い一方で、孤独を感じる人の割合も少し高い傾向がありました。
  3. 上司が気持ちを気にかけてくれる場面では孤独は低くなっていました。AIに聞く前に人に聞く場面を1つ戻し、上司に話す時間を頼むことから始められます。

01 結論から言うとAIと仕事をすると、職場で孤独になりやすい?

その傾向はあります。複数の研究で、AIとのやりとりが多い人ほど孤独を感じやすい結果が出ていました。ただし差は大きくなく、職場の人との関わり方で変えられる部分があります。

職場の雑談の多くは、「これどうするんだっけ」「ちょっと見てもらえる?」という小さな相談から生まれます。AIがその相談相手になると、仕事は片づいても、人と言葉を交わすきっかけが減ります。研究者も、AIが同僚との気軽なやりとりを置き換えている可能性を考えています [1][2]。

一方で、同じ研究では、AIとやりとりが多い人ほど「人とつながりたい」という気持ちも強まり、同僚を手伝う行動が増えていました [1]。寂しさは、人とのつながりを取り戻したいという合図とも言えます。その気持ちを、職場の人に向けて使うのがこの記事の答えです。

02 研究とデータでわかっていることAIとのやりとりと孤独は、どのくらい関係している?

4つの研究と米国の大規模な調査で、AIとのやりとりが多い人ほど孤独を感じやすい傾向がありました。職場の孤独は、仕事の満足度の低さや燃え尽きとも関連していました。

794人AIとのやりとりと孤独を調べた4つの研究の参加者(台湾・インドネシア・米国・マレーシアの働く人、2023年発表)
51.7%仕事でAIを使っていた米国の働く人の割合(2026年3月の全国調査)
1.13倍AIを使う作業の数が1標準偏差多いときの、孤独を感じる人の割合の高まり(同じ米国の調査、他の条件をそろえた分析)
49本職場の孤独について、2000〜2023年の研究をまとめた論文の対象

Tang ら(2023)[1]

仕事の目的でAIとやりとりする機会が多い人ほど、孤独を感じやすく、仕事のあとの不眠や飲酒が増えていた。同時に「人とつながりたい」という気持ちも強まり、同僚を手伝う行動が増えていた。人間関係で不安を感じやすい人ほど、この影響は強かった。

対象: 台湾・インドネシア・米国・マレーシアの働く人794人(調査・職場での実験・シミュレーションを含む4つの研究) / 限界: 対象は仕事で使うAI全般で、会話型の生成AIに限った研究ではない。

Bather ら(2026)[2]

仕事でAIを使う作業(調べもの、文章を書く、要約など11種類)が多い人ほど、生活の満足度が少し高い一方、孤独を感じる人の割合も少し高かった(年齢・収入・職業・在宅勤務の日数などをそろえた分析で1.13倍)。気分の落ち込みや不安の強さとの関連は見られなかった。

対象: 米国の働く人6,238人(2026年3月の全国調査) / 限界: 一度きりの調査で、孤独な人がAIに頼るようになった可能性もある。何もそろえない分析では、孤独との関連ははっきりしなかった。

Meng ら(2025)[3]

「AIと協力して働く」場面を想像した人は、そうでない人より孤独の点数が高かった。ただし「上司がいつも気持ちを気にかけ、話を聞いてくれる」場面では、AIと協力して働く場合でも孤独の点数は低かった(7点満点で平均2.05。気にかけてもらえない場面では3.71)。

対象: 中国のオンライン調査の参加者167人による場面想定の実験 / 限界: 文章で読んだ場面を想像して答える形で、実際の職場の体験ではない。参加者は会社員に限られていなかった。

Bryan ら(2023)[4]

職場の孤独についての49本の研究をまとめると、孤独な人ほど仕事の成果が低く(相関 −0.35)、仕事の満足度が低く(−0.34)、上司との関係が悪く(−0.31)、燃え尽きが強い(0.39)傾向があった。孤独は、職場の人間関係など、変えられる職場の条件と関わっていた。

対象: 2000年〜2023年2月に発表された49本の研究 / 限界: ほとんどが一度きりの調査で、どちらが原因かはわからない。

03 まだわかっていないこと職場の孤独は、何をすれば減らせる?

まだはっきりしていません。働く世代の孤独を職場で減らす取り組みを試した研究は少なく、AIを使う職場で孤独が減るかを確かめた試験は見つかりませんでした。

  • AIとのやりとりと孤独の関連は、どちらが原因か、まだ決められていません。もともと孤独な人がAIに頼るようになった可能性もあります。
  • 生成AIのように会話ができるAIで、孤独が強まるのか弱まるのかは、まだ研究が少ない段階です。
  • 上司の気づかいで孤独が低くなった結果は、場面を想像する実験のもので、実際の職場で同じになるかはわかっていません。
  • 日本の職場で、AIの導入と孤独の関係を調べた研究は見つかりませんでした。

04 今日からできることAIで減った同僚とのやりとりを、どう取り戻す?

AIに聞く前に人に聞く場面を1日1つ戻す、上司に短く話す時間を頼む、仕事のあとの眠りと飲酒の変化を見ておく、の3つから始められます。どれもお金はかかりません。

1

「AIに聞く前に、人に聞く」場面を1日1つ戻す

職場の事情を知っている人に聞いたほうが早いこと(社内の慣習、前の担当者の意図など)を1つ選び、同僚に聞きます。頼みごとをされた側は、頼む側が思うより引き受けてくれることが多く、実験では、引き受けてもらえる見込みを最大で半分ほど低く見積もっていました [5]。

目安 1日1回、5分

2

AIの下書きを、人に見てもらう

AIで作った資料や文章を、提出前に同僚に「ここ、わかりにくくない?」と見てもらいます。確認にもなり、話すきっかけにもなります。自分で説明できるかの確かめ方はAIで作った資料なのに、質問されて答えられなかったにまとめています。

目安 週2回、10分

3

上司に、短く話す時間を頼む

「AIを使うようになって相談の機会が減ったので、週に一度15分、進み具合を話せる時間がほしい」と伝えます。場面想定の実験では、上司が気持ちを気にかけてくれる設定で孤独は低くなっていました。職場でAIを使っていることの伝え方は職場でAIを使っていると知られたら、どう思われる?を参考にしてください。

目安 週1回、15分

4

仕事のあとの眠りと飲酒の変化を見ておく

研究では、AIとのやりとりで生まれた孤独は、仕事のあとの不眠や飲酒の増加と関わっていました。寝つけない日やお酒の量が増えた日を、1週間だけカレンダーに印をつけて見ておきます。増えているなら、ひとりで抱えずに職場の相談窓口などに話すきっかけにします。

目安 1日1分、1週間

職場で使える相談の仕組みは職場のAI導入でしんどくなる前ににまとめています。

05よくある質問

AIとばかり話していると、孤独になる?

研究では、仕事でAIとやりとりする機会が多い人ほど孤独を感じやすい傾向がありました。ただし差は大きくなく、一度きりの調査が多いため、AIが原因かどうかはまだ決められません。同僚と話す機会を意識して残すことで、補える部分があります。

在宅勤務のせいで孤独なのか、AIのせいなのか、わからない。

米国の調査では、在宅勤務の日数をそろえて分析しても、AIを使う作業の多さと孤独の関連は残っていました。研究者は、在宅勤務だけでは説明できない、同僚との気軽なやりとりの減少を考えています。どちらか一つに決めず、両方で人と話す機会を増やすのが現実的です。

同僚に質問すると、迷惑をかけそうで聞けない。

頼む側は、相手が引き受けてくれる見込みを低く見積もりやすいことが実験でわかっています。頼まれた側は、断ることの気まずさを強く感じるため、思ったより引き受けてくれます。時間を区切って「5分だけいい?」と聞くと頼みやすくなります。

AIを使うのをやめたほうがいい?

やめる必要はありません。米国の調査では、仕事でAIを使う作業が多い人ほど生活の満足度は少し高い傾向もありました。AIは使いながら、人に聞く場面や人に見てもらう場面を意識して残すのが、この記事の提案です。

つらい状態が2週間以上続くときや、日常生活に支障があるときは、医療機関や、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)などの相談窓口に相談できます。
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備える → 起きたとき(この記事)
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出典

  1. Tang PM, Koopman J, Mai KM, De Cremer D, Zhang JH, Reynders P, Ng CTS, Chen IH (2023). No person is an island: Unpacking the work and after-work consequences of interacting with artificial intelligence. Journal of Applied Psychology, 108(11), 1766-1789. https://doi.org/10.1037/apl0001103
  2. Bather JR, Cuevas AG, Goodman MS, Pagán JA (2026). Associations of artificial intelligence use at work with psychological distress, loneliness, and life satisfaction among employed US adults. Preventive Medicine Reports, 71, 103640. https://doi.org/10.1016/j.pmedr.2026.103640
  3. Meng Q, Wu TJ, Duan W, Li S (2025). Effects of Employee-Artificial Intelligence (AI) Collaboration on Counterproductive Work Behaviors (CWBs): Leader Emotional Support as a Moderator. Behavioral Sciences, 15(5), 696. https://doi.org/10.3390/bs15050696
  4. Bryan BT, Andrews G, Thompson KN, Qualter P, Matthews T, Arseneault L (2023). Loneliness in the workplace: a mixed-method systematic review and meta-analysis. Occupational Medicine, 73(9), 557-567. https://doi.org/10.1093/occmed/kqad138
  5. Flynn FJ, Lake VK (2008). If you need help, just ask: underestimating compliance with direct requests for help. Journal of Personality and Social Psychology, 95(1), 128-143. https://doi.org/10.1037/0022-3514.95.1.128