人間関係・孤独

職場でAIを使っていると知られたら、どう思われる?研究では「怠けている」と見られやすかったが、AIに向いた仕事や、AIを使う相手では差が小さかった

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わかっている度 ★★☆ 中研究3本・公的資料0件を整理出典照合済み(2026-10-11)
書類が積まれた事務机と椅子
Photo: David E. Lucas / Public domain / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品の紹介や診断はしていません。出典は末尾)。

仕事でAIを使うと、早く片づく。けれど、同僚や上司に知られたら「楽をしている」「自分ではできない人」と思われないか。そう考えて、使っていることを言い出せない人もいるでしょう。研究では、この心配はある程度当たっていました。ただ、どんな相手に、どんな仕事で使うかによって、見られ方は変わります。人間関係をこじらせないために、前もってできることを整理します。

3行でわかる

  1. 4,439人が参加した4つの実験では、AIを使う人は、同じ手伝いを人から受ける人より「怠けている」「能力が低い」と見られやすい結果でした。
  2. ただ、評価する側がふだんAIをよく使っている場合は「怠けている」と見る差がはっきりせず、AIが役立つ仕事では、仕事に向いているかの評価に差が見られませんでした。
  3. 前もってできるのは、チームで使い方を決めておくこと、AIに向いた作業から使うこと、自分が担った部分を言えるようにしておくことです。

01 結論から言うとAIを使っていると、職場で悪く見られる?

見られることはあります。実験では、AIを使う人は「怠けている」「能力が低い」と評価されやすく、使う本人もそれを予想していました。ただし、相手や仕事の種類で差は小さくなります。

米国の研究チームが2024年3月から2025年2月にかけて行った4つの実験では、AIを使う本人の心配と、周りの評価の両方を調べています [1]。本人は「怠けていると思われる」と予想し、評価する側も実際にそう評価していました。

ここで大事なのは、手伝いの中身が同じでも差が出たことです。たとえば「AIに情報を要約してもらう弁護士」と「パラリーガル(法律事務の補助者)に要約してもらう弁護士」を比べると、AIのほうが低く評価されました [1]。仕事の出来ではなく、「AIを使った」という事実が印象を動かしていたことになります。

一方で、この差はいつでも同じではありません。評価する人がふだんAIを使っているか、その仕事にAIが向いているかで、見られ方は変わっていました。だから「隠すか、やめるか」の二択で考えなくてよい、というのがこの記事の答えです。

02 研究とデータでわかっていることどんなときに、AIを使う人は低く見られる?

評価する人がAIをあまり使わないときと、手作業が求められる仕事のときに、低く見られやすい傾向がありました。AIが役立つ仕事では、仕事への向き不向きの評価に差は見られませんでした。

4,439人AIを使う人への評価を調べた4つの実験の参加者(オンライン、2024〜25年)
1,718人採用担当の役で、AIを使う応募者を評価した人数(同じ研究の3つ目の実験)
10.2%AIの返信候補を使えたとき、1分あたりに送るメッセージが増えた割合(219組の会話実験、2023年)
564人AIを使っていることを隠すかどうかを調べた、コンサルティングなどの会社員(トルコ、2026年発表)

Reif, Larrick, Soll(2025)[1]

AIを使う人は、同じ手伝いを人や別の道具から受ける人より、怠けている・能力が低い・勤勉でないと見られやすかった。本人もそう予想し、上司や同僚にAIを使っていると伝える気持ちが弱かった。

対象: オンラインで集めた参加者4,439人による4つの事前登録された実験 / 限界: 想定の場面での評価で、実際の職場の人事評価ではない。

同じ研究の3つ目と4つ目の実験 [1]

ふだんAIを使わない採用担当の役の人は、AIを使わない応募者を選びやすく、AIをよく使う人は、AIを毎日使う応募者を選びやすかった。AIが役立つ仕事(メールを書く)では、仕事への向き不向きの評価に差は見られなかった。

対象: 採用担当の役の1,718人(3つ目)と1,006人(4つ目) / 限界: AIが役立つ仕事でも「怠けている」という印象そのものは残っていた。

Hohenstein ら(2023)[2]

AIの返信候補(スマートリプライ)を使えると、会話のテンポが上がり、前向きな言葉が増え、相手を親しく協力的だと感じやすくなった。一方で、相手がAIの返信を使っていると疑った人は、相手を低く評価していた。

対象: 219組がメッセージで会話した実験など2つ / 限界: 短い会話の実験で、職場の長い付き合いではない。

Mizrak ら(2026)[3]

「AIを使っていると言うのが不安」「能力を低く見られるのが怖い」という人ほど、AIを使っていることを隠す傾向があった。職場のAIのルールがはっきりしているほど、きちんと伝える傾向があった。

対象: トルコのコンサルティングなど専門サービスの会社員564人への調査 / 限界: 一度きりの調査で、関連はわかっても原因と結果はわからない。

03 まだわかっていないこと日本の職場でも同じように見られる?

まだわかっていません。研究は海外のオンライン実験や調査が中心で、日本の職場で、実際の人事評価にどう影響するかを調べた研究は見つかりませんでした。

  • 実験は想定の場面で評価したもので、実際の昇進や評価にどのくらい響くかはわかっていません。
  • AIがワープロなどに組み込まれて当たり前になれば、見られ方は変わる可能性があると、研究者自身が書いています。
  • 「自分が担った部分を伝える」ことで印象が良くなるかを、直接確かめた研究は見つかりませんでした。
  • 日本の職場や、上下関係の強い組織で同じ結果になるかは、まだ調べられていません。

04 今日からできること悪く見られないために、前もって何ができる?

チームで使い方を決めておく、AIに向いた作業から使う、自分が担った部分を言えるようにしておく、の3つが手がかりです。どれもお金はかかりません。

1

チームで「どこまで使ってよいか」を決めておく

ルールがはっきりしている職場ほど、使っていることを伝えやすい傾向がありました。ルールがなければ、次の打ち合わせで「下書きや要約に使ってよいか」を話題にします。確認したい点は職場にAIを使うルールがないにまとめています。

目安 打ち合わせで5分

2

AIに向いた作業から使う

メールを書く仕事のように、AIが役立つと説明された仕事では、仕事への向き不向きの評価に差が見られませんでした。手書きのお礼状のように「手間をかけること」自体に意味がある場面は、自分で書くほうが無難です。

目安 使う作業を1つ決めて1週間

3

「AIに任せた部分」と「自分が担った部分」を言えるようにしておく

「下書きはAI、数字の確認と結論は自分」のように一言で言える形にします。研究で効果を確かめた方法ではありませんが、聞かれたときに慌てずにすみます。自分で説明できるかの確かめ方はAIで作った資料なのに、質問されて答えられなかったを参考にしてください。

目安 提出前に1分

4

気持ちを伝える言葉は、自分の言葉で書く

相手がAIの返信を使っていると思った人ほど、その相手を低く評価する傾向がありました。お礼やおわびのように気持ちが大事な連絡は、AIの案を参考にしても、最後は自分の言葉に直して送ります。

目安 1通につき2〜3分

05よくある質問

AIを使っていることは、隠したほうがいい?

おすすめしません。職場にルールがあれば、それに従うのが前提です。研究では、ルールがはっきりしている職場ほど、使っていることを伝える傾向がありました。隠すより、チームで使い方をそろえておくほうが、あとで気まずくなりにくいと考えられます。

上司がAI嫌いで、使うと評価が下がりそう。どうすればいい?

研究では、ふだんAIを使わない人ほど、AIを使う人を低く見る傾向がありました。まずは上司の考えを聞き、使ってよい作業を確かめます。評価や処遇に関わる不利な扱いが続く場合は、社内の人事窓口などに相談できます。

同僚がAIを使っていると、ずるいと感じてしまう。おかしい?

おかしくありません。実験でも、評価する側は平均して、AIを使う人を「怠けている」と見やすい傾向がありました。ただ、その印象は仕事の出来ではなく「AIを使った」という事実から来ていることがあります。出来ばえそのものを見るように意識すると、見方が変わるかもしれません。

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出典

  1. Reif JA, Larrick RP, Soll JB (2025). Evidence of a social evaluation penalty for using AI. Proceedings of the National Academy of Sciences, 122(19), e2426766122. https://doi.org/10.1073/pnas.2426766122
  2. Hohenstein J, Kizilcec RF, DiFranzo D, Aghajari Z, Mieczkowski H, Levy K, Naaman M, Hancock J, Jung MF (2023). Artificial intelligence in communication impacts language and social relationships. Scientific Reports, 13, 5487. https://doi.org/10.1038/s41598-023-30938-9
  3. Mizrak F, Mert G, Erkasap A, Ozcan A, Mert M (2026). Hidden Generative AI Use in Consulting: Social-Cognitive and Organizational Factors in AI Disclosure and Concealment. Journal of Intelligence, 14(9), 196. https://doi.org/10.3390/jintelligence14090196