子ども・学校

学校で生成AIを使う前に、生徒が知っておきたいこと。国の指針では、利用規約の年齢・入力しない個人情報・出力の確かめ方の3つが土台

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わかっている度 ★★☆ 中研究2本・公的資料2件を整理出典照合済み(2026-10-10)
筆箱と鉛筆
Photo: ABX / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関の資料をAIが調べて整理しました(法律の判断や商品の紹介はしていません。出典は末尾)。

授業で生成AIを使うことになったけれど、何に気をつければいいのかわからない。そんな生徒や先生に向けて整理します。文部科学省のガイドラインと個人情報保護委員会の注意喚起を読むと、使い始める前に確かめておくことは「利用規約の年齢と保護者の同意」「入力しない情報」「出力の確かめ方」の3つに整理できます。

3行でわかる

  1. 文部科学省のガイドラインは、年齢制限や保護者の同意の必要性など、サービスの最新の利用規約を確認して守るよう求めています。
  2. 入力しないのは、氏名や写真などの個人情報です。個人情報保護委員会は、入力した情報が学習に使われ、不正確な形で出力されるリスクを挙げています。
  3. トルコの高校の実験では、答えをそのまま聞ける形で使った生徒は、AIなしのテストの点が、AIを使わなかった生徒より17%低くなりました。ヒントだけ出す形では、統計的にはっきりした差は見られませんでした。

01 結論から言うと学校で生成AIを使う前に、何を確かめればいい?

使い始める前に確かめるのは、利用規約の年齢と保護者の同意、入力しない情報、出力の確かめ方の3つです。どれも文部科学省のガイドラインに書かれていて、お金も手間もほとんどかかりません。

文部科学省は2024年12月に、小学校から高校までを対象にした生成AIのガイドライン(Ver.2.0)を出しました。[1] 主な読み手は先生ですが、生徒が知っておきたいことも書かれています。

この記事は「使い始める前の準備」に絞ります。レポートや宿題でどこからが不正になるかはレポートや宿題にAIを使ったら不正?にまとめています。子どもにAIを何歳から使わせるかという親の目線の話は、AI時代の子育ての子どもにAIは何歳から?をご覧ください。

02 研究とデータでわかっていること国の指針と研究は、生徒のAIの使い方をどう見ている?

国の資料は「規約を守る」「個人情報を入れない」「出力を確かめる」の3点を求めています。研究では、答えをそのまま聞ける形で使うと、AIなしで解く力がつきにくいという結果が出ています。

51%トルコの高校の数学の実験で、答えをそのまま聞ける形のAIが正しい答えを出した割合(2023年秋)
17%同じ実験で、そのAIを使った生徒の、AIなしのテストの点の下がり幅(AIを使わなかった生徒と比べて)
約1,000人その実験に参加した、トルコの高校の9〜11年生の数

文部科学省 / 小中高校向けガイドライン(Ver.2.0、2024年12月26日)[1]

年齢制限や保護者の同意の必要性など、サービスの提供者が定める最新の利用規約を確認し、守る必要があるとした。生徒が使う場合は、プロンプト(AIへの指示文)に氏名や写真などの個人情報を入力させないよう求めている。

生徒が学校の端末で使う場合は、校長と担当の先生が、年齢制限をはじめとする利用条件を確認したうえで、先生の指導のもとで使わせることが必要としています。利用条件によっては、事前に保護者の理解を得ることも求めています。ブラウザや検索エンジンに組み込まれたAIも、考え方は同じです。

出力については、誤った出力(ハルシネーション)を完全に防ぐことは難しいとしています。そのうえで、生徒に正確さや事実関係を確かめるよう指導すること、出力を課題で引用するときはAIを使ったことを明記することを挙げています。

対象: 小学校から高校までの教職員・教育委員会など / 限界: 学校関係者向けの参考資料で、AIの利用を一律に禁止したり義務づけたりするものではない。実際のルールは教育委員会や学校が決める。

個人情報保護委員会 / 生成AIサービスの利用に関する注意喚起等(2023年6月2日)[2]

一般の利用者に向けて、入力した個人情報がAIの学習に使われ、ほかの情報と結びついたうえで、正確または不正確な内容で出力されるリスクがあると注意を促した。

そのうえで、利用規約やプライバシーポリシーを十分に確認し、入力する情報をふまえて判断するよう求めています。

対象: 一般の利用者(事業者・行政機関向けの注意点も別にある) / 限界: 2023年時点の注意喚起で、子どもや学校に限った内容ではない。

Bastaniら(2025年、米国科学アカデミー紀要)[3]

AIを使える練習問題では点が上がったが、そのあとAIなしで受けたテストでは、答えをそのまま聞ける形のAIを使った生徒の点が、使わなかった生徒より17%低かった。

練習中の点は、そのまま聞ける形のAIで48%、答えを言わずにヒントを出すよう設定し、先生が用意した解き方の情報も組み込んだAIで127%上がりました。ヒントだけの形では、AIなしのテストの点は、使わなかった生徒と統計的に差がありませんでした。そのまま聞ける形のAIの答えが正しかったのは51%でした。

そのまま聞ける形のAIでは、答えを聞いて写す使い方がよく見られました。それでも生徒自身は、自分の学びが損なわれたとは感じていなかったと著者らは報告しています。

対象: トルコの大規模な高校1校の9〜11年生、約1,000人。2023年秋に90分の授業を4回 / 限界: 数学1教科・1校の結果で、作文など他の教科や日本の学校にそのまま当てはまるかはわからない。

Fanら(2025年、British Journal of Educational Technology)[4]

作文の課題でAIの助けを受けた学生は、作文の点の伸びは大きかったが、知識の伸びと、学んだことを別の場面で使う力には、ほかの学生と差がなかった。

学生をAI、人の専門家、文章分析ツール、支援なしの4つに分けて比べました。著者らは、AIへの依存が自分の学び方をふり返る働きを怠けさせるおそれがあると考察しています(測定結果ではなく解釈)。

対象: 大学生117人のランダム化比較実験 / 限界: 大学生の1回の作文課題で、中学生・高校生や長期の効果はわからない。

ガイドラインには、学習の場面で使い方が考えられる例と、不適切と考えられる例が並んでいます。生徒の目線で一部を整理すると、次のようになります。[1]

使い方が考えられる例不適切と考えられる例
AIの誤りを含む出力を教材にして、その性質や限界に気づくAIの性質や長所・短所を学ぶ前に、自由に使う
グループで話し合ったあと、足りない視点を見つけるために使うコンクールの作品やレポートを、AIの出力ほぼそのままで出す
英会話の相手にする、自然な英語表現に直す詩や俳句、最初の感想など、自分の感性を出したい場面で安易に使う
自分で書いた文章をAIに直させ、それをたたき台に何度も自分で書き直す教科書など質が確かめられた教材を使う前に、調べ学習で安易に使う
プログラミングで、自分のアイデアを形にするのに使う定期考査や小テストで使う

これらは一例で、適否は学校ごとに判断されるべきだとされています。

03 まだわかっていないことAIの使い方を学べば、失敗は防げる?

使い方を学ぶ授業が、生徒の失敗をどれだけ減らすかは、まだはっきりしていません。今回調べた範囲では、使い方を学ぶ授業の効果を中学生・高校生で比べた、査読済みの実験は見つかりませんでした。

  • AIの仕組みや誤りを学ぶ授業で、生徒が出力を確かめるようになるか、学力がどう変わるか(査読を経た比較実験が少ない)
  • トルコの数学の実験の結果が、日本の学校や、国語・社会など答えが一つでない教科にも当てはまるか
  • 何年も使い続けたときの、考える力や書く力への影響(今回の2つの研究は、1学期の授業や1回の課題での結果)
  • 年齢ごとに、どこまで自分で使ってよいか。ガイドラインは一律の年齢を示しておらず、サービスの利用規約と学校の判断に任せている

04 今日からできること使い始める前に、生徒は何をしておけばいい?

規約と学校のルールを確かめ、入力しない情報を先に決めておくのが最初の一歩です。使うときは、答えより先にヒントを聞き、出力を自分で確かめます。

1

年齢の決まりと保護者の同意を確かめる

学校が指定したサービスなら、先生に確認します。自分で選ぶサービスなら、利用規約で利用できる年齢と、保護者の同意が必要かを読みます。条件に合わなければ、そのサービスは使いません。

目安 5〜10分

2

入力しない情報をメモしておく

自分や友だちの名前、顔写真、住所、電話番号、学校名とクラス、成績などは入れません。相談したいときは「友だちAが」のように置き換えます。入力を学習に使わせない設定があるサービスでは、その設定にします。

目安 5分(最初の1回)

3

答えではなく、ヒントを聞く

問題を写して答えを聞く前に、自分で一度解き、つまずいた所だけを聞きます。「答えは言わずにヒントだけ出して」と頼むのも一つの方法です。トルコの実験では、ヒントだけ出す形のAIを使った生徒は、AIなしのテストで点が下がりませんでした。ただし、実験のAIには先生が用意した解き方の情報も組み込まれていて、自分で頼むだけで同じ結果になるかはわかっていません。

目安 1問ごとに

4

出力を教科書や資料で確かめる

数字・人名・年号・出典は、教科書や資料で確かめます。トルコの実験では、答えをそのまま聞ける形のAIが正しい答えを出したのは約半分でした。

目安 使うたびに2〜3分

5

使ったら、サービス名・入力・日付を記録する

課題で出力を引用するときは、AIを使ったことを書きます。ガイドラインは、サービスの名称、入力した指示、日付を明示する方法を例に挙げています。

目安 提出のたびに2分

関連: 入力したデータの行き先と設定、間違いの確かめ方、入力してしまったあとにできること、ディープフェイクのいじめを受けたとき。

先生の側では、生徒が自由に使う前に、AIの性質や長所・短所を学ぶ時間をとることが、ガイドラインの考え方に沿っています。

05よくある質問

学校の授業で生成AIを使えるのは何歳から?

文部科学省のガイドラインは、一律の年齢を決めていません。サービスによっては、利用規約で年齢制限や保護者の同意が定められています。ガイドラインは、学校で使う場合は校長と担当の先生がこうした条件を確認し、守らせることを求めています。自分の学校で使えるかは、先生に確かめてください。

友だちの悩みをAIに相談するとき、名前を入れてもいい?

名前や写真などの個人情報は入れないのが基本です。ガイドラインは、生徒に氏名や写真などの個人情報を入力させないよう求めています。相談したいときは「友だちA」のように置き換え、本人がわかる情報を省きます。

検索エンジンに出てくるAIの答えも、同じように気をつけるの?

はい。ガイドラインは、ブラウザや検索エンジンなどに組み込まれたAIも、考え方は同じだとしています。答えに誤りが混ざることがあるので、教科書や資料で確かめます。

AIに答えを聞いて勉強するのは、だめなの?

だめとは限りません。トルコの高校の実験では、答えをそのまま聞ける形で使った生徒は、AIなしのテストで点が下がりました。一方、ヒントだけ出す形では下がりませんでした。まず自分で解き、つまずいた所のヒントを聞く使い方が、研究の結果に沿っています。

出典

  1. 文部科学省 初等中等教育局(2024年12月26日). 初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン(Ver.2.0). https://www.mext.go.jp/content/20241226-mxt_shuukyo02-000030823_001.pdf
  2. 個人情報保護委員会(2023年6月2日). 生成AIサービスの利用に関する注意喚起等. https://www.ppc.go.jp/files/pdf/230602_alert_generative_AI_service.pdf
  3. Bastani H, Bastani O, Sungu A, Ge H, Kabakcı Ö, Mariman R (2025). Generative AI without guardrails can harm learning: Evidence from high school mathematics. Proceedings of the National Academy of Sciences, 122(26), e2422633122. https://doi.org/10.1073/pnas.2422633122
  4. Fan Y, Tang L, Le H, Shen K, Tan S, Zhao Y, Shen Y, Li X, Gašević D (2025). Beware of metacognitive laziness: Effects of generative artificial intelligence on learning motivation, processes, and performance. British Journal of Educational Technology, 56(2), 489-530. https://doi.org/10.1111/bjet.13544