子ども・学校

ディープフェイクのいじめを受けて、学校に戻れるか不安。法律は学校に、被害を受けた生徒を守り支え続けることを求めている

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わかっている度 ★★☆ 中研究5本・公的資料7件を整理
誰もいない教室の机
Photo: Mercedes Steph / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品の紹介や診断はしていません。出典は末尾)。

AIで作られた自分の偽の画像や動画が、同級生の間で回っている。学校に行けば誰かに見られている気がして、教室に入るのがこわい。そう感じるのは当然のことで、あなたが悪いのではありません。国のいじめの法律は、ネットで行われるいじめも「いじめ」に含め、学校に、被害を受けた生徒を守り、支え続けることを求めています。この記事では、学校がすることと、相談先と、研究でわかっている「立て直しを助けるもの」をまとめます。

3行でわかる

  1. いじめ防止対策推進法は、ネットを通じたいじめもいじめに含め、学校に事実の確認と、被害を受けた生徒への継続的な支援を求めています。
  2. 国の基本方針では、いじめの「解消」は、行為が止んで少なくとも3か月たち、本人が心身の苦痛を感じていないことが目安です。謝罪だけでは解消になりません。
  3. 研究では、家族や先生からの支えが多い生徒ほど、落ち込みや不安が少ない傾向がありました。一人で抱えず、信頼できる大人を一人決めることが出発点になります。

01 結論から言うとディープフェイクのいじめで、学校は何をしてくれる?

学校は、事実を確かめ、複数の先生と専門家で被害を受けた生徒を支え続けることが法律で求められています。画像の削除や警察との連携も、国の方針に書かれた学校の役割です。

いじめ防止対策推進法は、いじめを「インターネットを通じて行われるものを含む」行為で、された側が心身の苦痛を感じているもの、と定めています[1]。AIで加工された画像を共有されることも、この考え方で扱われます。

同じ法律の23条では、いじめが確認されたら、学校は複数の教職員で、心理や福祉の専門家の協力を得ながら、被害を受けた生徒と保護者への支援を続けるとしています[1]。必要なときは、いじめをした生徒を別の教室で学習させるなど、被害を受けた生徒が安心して授業を受けられるようにする措置もとります。

文部科学省は2026年3月の事務連絡で、性的ディープフェイクの事案が起きたら、速やかに警察と連携し、被害を受けた児童生徒の心のケアに漏れがないよう、教育委員会などに求めました[3]。

証拠の残し方やサービスへの報告など、被害直後の手順はディープフェイク被害のあとは「証拠・報告・相談」の3つにまとめています。この記事は、その後の学校生活の立て直しに絞ります。

02 研究とデータでわかっていること被害のあと、何が立て直しを助ける?

家族や先生からの支えが多い被害生徒ほど、落ち込みや不安が少ない傾向がありました。一方、打ち明けにくさや、周りからの責めが回復を妨げることも研究で示されています。

114件2025年に警察が扱った、生成AI等で18歳未満の性的画像が作られた事案(相談時20歳未満。警察庁の公表)
約6割そのうち、同級生・同じ学校の生徒の間で起きていた割合
3か月国の基本方針で、いじめの「解消」を判断するまでに行為が止んでいる期間の目安(少なくとも)
年30日いじめで欠席が続くときに「重大事態」として調査する目安の日数

文部科学省の事務連絡によると、警察庁の公表では、被害を受けた子どもの約9割が中高生で、小学生の被害もありました[3]。身近な関係の中で起きやすいため、学校の対応が大切です。

Hellfeldt ら / スウェーデン(2019)[10]

10〜13歳の1,707人を調べると、ネットいじめの被害を受けた生徒は不安の症状が強めでした。ただし、家族や先生から支えられていると感じている生徒ほど、落ち込みや不安の症状が出にくい傾向がありました。

対象: スウェーデンの1つの市の公立・私立学校の生徒 / 限界: 一時点の調査で、支えが症状を減らしたという因果までは確かめられていません。支えを通じた効果の大きさは小さめでした。

Mitchell ら / アメリカ(2025)[9]

18歳未満で性的な画像の被害を受け、誰にも話さなかった2,522件の出来事について、話さなかった理由を調べました。多かったのは「家族に怒られるのがこわい」53.9%、「恥ずかしい」52.9%、「自分で何とかできると思った」45.2%、「スマホなどを取り上げられるのがこわい」41.9%でした。

対象: SNS広告で集めた18〜28歳の6,204人の回答のうち、打ち明けなかった出来事 / 限界: 子ども時代を思い出して答えた調査で、国全体を代表する標本ではありません。

Kaiser ら / ノルウェー(2020)[11]

中学生にあたる8〜10年生2,054人のうち、過去6か月に外部の助けを求めたのは200人(9.7%)でした。対面のいじめを受けた生徒は助けを求めやすくなっていましたが、ネットいじめの被害では、助けを求める行動は増えていませんでした。

対象: ノルウェー北部の中学生 / 限界: 一時点の調査で、生成AIの画像の被害を調べたものではありません。

Hellevik ら / ノルウェー(2025)[8]

10〜24歳の性的な画像の被害の影響を調べた12本の研究をまとめると、強い不安や落ち込みに加えて、いじめや孤立、被害者を責める周りの反応が苦しさを重くしていました。転校を余儀なくされた例も報告されていました。

対象: 2010〜2024年の査読論文12本 / 限界: 本数が少なく、長い目で見た回復を追った研究はまだほとんどありません。

Ringrose ら / イギリス(2026)[12]

イングランドの8校の先生6人と生徒4人に話を聞くと、性的ディープフェイクを本物の裸の画像の無断共有と同じように扱うかについて、先生の理解がそろっておらず、学校ごとに対応がばらついていました。

対象: 教員と生徒、計10人 / 限界: 少人数の聞き取りで、日本の学校に当てはまるとは限りません。

03 まだわかっていないことAIの偽画像の被害からの回復は、どこまでわかっている?

AIで作られた偽の性的画像の被害から、生徒がどう回復するかを追った研究は、まだほとんどありません。今わかっているのは、ネットいじめや画像の被害全般からの手がかりです。

  • 生成AIの偽画像に絞った被害者の研究は少なく、本物の画像の被害と同じ経過をたどるかははっきりしていません。
  • どんな学校の対応が復帰をいちばん助けるかを比べた研究は、日本を含めて見つかりませんでした。

04 今日からできること学校生活を取り戻すために、今日できることは?

まず信頼できる大人を一人決めて話し、学校に「何をしてほしいか」を伝えます。画像の削除は学校や公的な窓口と一緒に進め、一人でネット上を探し回らないことが大切です。

1

話せる大人を一人決める

家族、担任、保健室の先生、スクールカウンセラーなど、誰でもかまいません。怒られる心配があるときは、先に電話の相談窓口で話してもいいです。国の方針は、学校に「あなたが悪いのではない」とはっきり伝えるよう求めています[2]。

目安 今日中に1人

2

「学校にしてほしいこと」をメモにして渡す

席や教室の配置、登下校、見守る先生、相手と顔を合わせない工夫、画像の削除への協力など、困っている場面を3つまで書きます。基本方針は、被害を受けた生徒に寄り添い支える体制をつくることや、相手を別室で指導することを挙げています[2]。

目安 10分で3項目

3

画像の削除は窓口と一緒に進める

法律では、ネットのいじめで削除を求めるとき、法務局に協力を求められます[1]。画像を探す作業は、大人や窓口に任せてかまいません。

目安 窓口への相談1回から

4

休むことも選んでいいと知っておく

いじめで欠席が続くと、学校は「重大事態」として調査を行います。目安は年間30日ですが、続けて休んでいる場合は待たずに調査を始めることが必要とされています[2]。生徒や保護者から「いじめで重大な被害が生じた」と申し立てがあれば、学校がいじめの結果ではないと考えていても、重大事態として調査に当たるとされています。

目安 休む日は担任に一言伝える

先生向けには、国の基本方針が次の点を求めています[2]。

相談先を、できることごとに整理しました(2026年10月時点の公式ページで確認)。

窓口できること
24時間子供SOSダイヤル
0120-0-78310
24時間、電話をかけた地域の教育委員会の相談窓口につながる[3]
こどもの人権110番
0120-007-110
法務局の職員や人権擁護委員が無料で相談に乗る。平日8時30分〜17時15分。メールやLINEの相談もある[5]
法務局(みんなの人権110番 0570-003-110)削除依頼の方法を助言する。人権侵害に当たると判断した情報は、法務局からプロバイダなどに削除を要請する[4]
違法・有害情報相談センター総務省の委託事業。自分の写真の無断掲載などについて、削除の求め方を助言する(代わりに削除はしない)[6]
セーフライン民間団体が運営。児童ポルノやリベンジポルノの疑いがある画像などの通報を受け、国内外のプロバイダに削除などの対応を求める[7]
性犯罪被害相談電話 #8103
警察相談専用電話 #9110
都道府県警察の相談窓口につながる。身の危険があるときは110番[3]
困ったときの相談先
誰に話せばいいかわからないときは、24時間子供SOSダイヤル(0120-0-78310)に夜でも電話できます。

恥ずかしくて話せない気持ちは詐欺で自分を責めてしまうとき(大人向け)も参考になります。保護者の方は子どものサイバーいじめに親はどう気づくか、子どもの写真がAIで性的に加工される被害もどうぞ。

05よくある質問

ディープフェイクのいじめは、学校に相談してもいいの?

相談できます。いじめ防止対策推進法は、インターネットを通じた行為もいじめに含めています。学校は事実を確認し、被害を受けた生徒と保護者への支援を続けることが求められています。担任に話しにくいときは、保健室の先生やスクールカウンセラーでもかまいません。

相手が謝ったら、いじめは終わったことになるの?

なりません。国の基本方針では、謝罪だけで安易に解消とせず、行為が止んで少なくとも3か月たち、本人が心身の苦痛を感じていないことを面談などで確かめる、とされています。解消の後も、学校は様子を見続けます。

画像を作った相手は、犯罪になるの?

犯罪にあたるかどうかは、事案ごとに警察などが判断します。この記事では判断しません。国の方針では、学校は、いじめが犯罪行為として扱われるべきと認めるときは警察と連携するとされています。心配なときは #9110 や #8103 に相談できます。

つらい状態が2週間以上続くときや、日常生活に支障があるときは、医療機関や、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)などの相談窓口に相談できます。

出典

  1. いじめ防止対策推進法(平成25年法律第71号)第2条・第19条・第23条・第28条. e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/425AC1000000071
  2. 文部科学大臣決定 (2013, 最終改定2017). いじめの防止等のための基本的な方針. 文部科学省. https://www.mext.go.jp/content/20240329-mext_jidou02-000034502_006.pdf
  3. 文部科学省 (2026). 性的ディープフェイクによる児童生徒の被害・加害防止のための広報啓発資料の活用等について(依頼)(事務連絡, 令和8年3月12日, 警察庁の公表と啓発資料を含む). https://www.mext.go.jp/content/20260409-mxt_kyousei01-000047289_4.pdf
  4. 法務省. インターネット上の人権侵害をなくしましょう. https://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken88.html
  5. 法務省. こどもの人権110番. https://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken112.html
  6. 違法・有害情報相談センター(総務省委託事業). https://ihaho.jp/
  7. セーフライン(一般社団法人セーファーインターネット協会). セーフラインについて. https://www.safe-line.jp/about/
  8. Hellevik PM, Haugen LA, Överlien C (2025). Outcomes of image-based sexual abuse among young people: a systematic review. Frontiers in Psychology. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2025.1599087
  9. Mitchell KJ, Jones LM, Gewirtz-Meydan A, O'Brien J, Colburn D (2025). Image-Based Sexual Abuse: Characteristics Linked to Different Reasons Why Youth Decide Not to Disclose. Prevention Science. https://doi.org/10.1007/s11121-025-01853-4
  10. Hellfeldt K, López-Romero L, Andershed H (2019). Cyberbullying and Psychological Well-being in Young Adolescence: The Potential Protective Mediation Effects of Social Support from Family, Friends, and Teachers. International Journal of Environmental Research and Public Health. https://doi.org/10.3390/ijerph17010045
  11. Kaiser S, Kyrrestad H, Fossum S (2020). Help-seeking behavior in Norwegian adolescents: the role of bullying and cyberbullying victimization in a cross-sectional study. Scandinavian Journal of Child and Adolescent Psychiatry and Psychology. https://doi.org/10.21307/sjcapp-2020-008
  12. Ringrose J, Horeck T, Rodda E (2026). Sexualized Deepfakes in UK Schools: Understanding and Preventing AI-Generated Image-Based Sexual Abuse Through Better AI Literacies. Behavioral Sciences. https://doi.org/10.3390/bs16040554