子ども・学校

グループ課題で、仲間がAIで書いた部分が問題になった。研究では、大学が各自の担当を記録と面談で確かめる仕組みを使っており、まず自分の下書きと履歴を残して担当を説明できるようにする

約8分で読めます

わかっている度 ★☆☆ 低研究3本を整理出典照合済み(2026-10-20)
机の上に置かれたノート
Photo: By StartupStockPhotos from Pixabay / CC0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品の紹介や診断はしていません。出典は末尾)。

グループで出したレポートや発表で、仲間の一人がAIで書いた部分が問題になった。自分はちゃんと書いたのに、グループ全体が疑われているようで落ち着かない。そう感じている人は少なくありません。まずは誰かを責めるより先に、自分が担当した部分を記録で示せるようにしておくことが、いちばん確かな準備になります。

3行でわかる

  1. オーストラリアの大学の授業(学生408人)では、担当の合意書・自己と仲間の評価・30分の面談で、一人ひとりの貢献が本人のものかを確かめていた。
  2. 33大学の学生が参加した研究では、貢献の偏りが大きいグループほどまとまりが弱い関連があり、著者らは仲間どうしの評価をグループの状態を知る手段として使えるとした。
  3. 問題になったら、自分の下書き・メモ・編集履歴を消さずに残し、担当した部分を1枚にまとめて、先生に手続きと判断の範囲を確かめる。

01 結論から言うと仲間のAI使用で、自分も疑われる?

疑われるかどうかは学校と授業のルールしだいで、この記事では決められません。ただ、大学の授業では各自の担当を記録と面談で確かめる仕組みが使われており、自分の担当を記録で示せるかが話の土台になります。

グループ課題は、一人ひとりの文章が1つの提出物にまとまります。そのため、ある部分にAIの文章がそのまま入っていると、先生からはグループ全体の問題に見えることがあります。

グループ課題で、誰がどこまで責任を負うかの決め方は、学校や授業ごとに違います。AIをどこまで使ってよいかも授業ごとに決まります(考え方はレポートや宿題にAIを使ったら不正?にまとめています)。だからこそ、自分が書いた部分と、その書き方を説明できる材料をそろえておくことが大切です。

02 研究とデータでわかっていること各自の担当は、どうやって確かめられている?

研究で紹介されている大学の授業では、担当の合意書、自分と仲間の評価、先生との短い面談を組み合わせて、各自の貢献が本人のものかを確かめていました。下書きや資料で貢献を示せることも評価の材料になっていました。

408人担当の記録と面談で貢献を確かめたオーストラリアの大学の授業の受講者(2021〜2023年)
30分同じ授業で、先生が各グループと行った面談の長さ(オンライン)
r=−0.71貢献の偏りとグループのまとまりの関連(33大学・126グループ・423回答、2021〜2023年)

Issa・Hall(2024)[1]

オーストラリアの大学のプロジェクト管理の授業で、グループ課題の進め方を工夫した例です。学生は担当を書いた合意書に署名し、自分と仲間の働きを評価する用紙を出しました。さらに先生が各グループと30分の面談を行い、各自が自分の担当について説明する中で、一人ひとりの貢献が本人のものかを確かめていました。著者らは、この仕組みで本人の貢献を確かめられたとし、それが本人の作業かAIで作られたものかを判断するうえで大切だと述べています。

対象: 2021〜2023年に受講した学生408人(オーストラリアの大学の1つの授業) / 限界: 授業を担当した先生自身による報告で、比べる組がない。不正の報告が「大きく減った」とあるが件数は示されていない。

この授業では、仲間より大きく貢献したことを、グループでの動き・下書きのメモ・集めた資料で示せれば、その部分で満点を取れるとされていました。つまり、下書きや資料が、自分の担当を示す材料として扱われていたということです。

Sagooら(2025)[2]

33大学の医療系の学生が4〜6人のグループでオンラインの共同学習をし、仲間どうしで貢献を評価しました。2年分・126グループから423件の回答が集まり、一人ひとりの貢献の偏りが大きいグループほど、まとまりが弱い関連がありました(r=−0.71)。著者らは、仲間どうしの評価がグループの状態を知る手段として使えると述べています。

対象: 33大学が参加した国際的なオンラインの共同学習プログラムの医療系学生(著者はイギリスの大学など)、126グループ(2021〜2023年) / 限界: 関連を見た研究で、生成AIの使用は調べていない。2回目は回答が減っていた。

Francisら(2025)[3]

大学のグループ課題の評価についての研究をまとめた総説(研究をまとめて解説した論文)です。編集がすべて記録されるウィキ(共同で書く文書)は「誰が何を書いたか」を見やすくし、ミーティングの記録は各自の参加を示す記録になると整理しています。こうした記録が、ただ乗り(作業をせずに成果だけ得ること)や偏った参加を見つけて対処する助けになると述べています。

対象: 大学のチームワークと評価の研究(イギリスの大学の著者による総説) / 限界: 体系的なレビューではなく、引用した研究の質に結論が左右される。

3つとも先生や大学の側から書かれた研究で、学生がどう説明すればよいかを直接調べたものではありません。ただ、どれも「担当を記録で示す」ことを、一人ひとりの貢献を確かめる方法として扱っています。

03 まだわかっていないことグループ全体の責任はどう決まる?

仲間がAIを使ったとき、グループの他の人がどこまで責任を負うかを調べた研究は、まだほとんど見つかっていません。扱いは学校と授業のルールで決まります。

  • グループ課題で一人がAIを使ったとき、他のメンバーの評価がどう決まっているかを調べた研究は見つかっていません。
  • 上の授業の仕組みが、ほかの大学や高校でも同じように働くかはわかっていません。比べる組を置いた研究ではありませんでした。
  • 日本の学校で、グループ課題のAI使用がどう扱われているかをまとめた調査は見つかっていません。

04 今日からできること問題になったら、まず何をする?

自分の下書きや履歴を消さずに残し、担当した部分を1枚にまとめます。仲間を責める前に事実を確かめ、先生には手続きと、自分の評価がどう決まるかを聞きます。

1

下書き・メモ・履歴を消さずに残す

自分の下書きのファイル、手書きのメモ、集めた資料、グループのやりとりを、そのままの形で保存します。共同編集の文書なら、編集の記録も残っているか確かめます。慌てて書き直したり消したりはしません。

目安 15分

2

自分の担当を1枚にまとめる

「どの部分を」「いつ」「何を見て書いたか」を箇条書きにします。分担を決めたときのやりとりがあれば、日付と一緒に書き添えます。

目安 20〜30分

3

仲間とは、責めずに事実を確かめる

「どこにAIを使ったか、先生に一緒に説明しよう」と、事実を確かめる形で話します。言い争いになりそうなら、話し合いは先生を交えた場にします。

目安 10分

4

先生に、手続きと評価の決め方を聞く

「グループの評価と個人の評価はどう決まりますか」「自分の担当を示すには何を出せばいいですか」と聞きます。面談の準備はAIで書いたレポートで、先生から呼び出されたも参考になります。

目安 面談で5〜10分

5

次のグループ課題では、最初に決めておく

AIを使ってよい範囲、担当の分け方、下書きの置き場所を、始める前にグループで決めて残します。授業ごとのルールの確かめ方は授業でAIをどこまで使っていいかにまとめています。

目安 最初の打ち合わせで10分

困ったときの相談先
結果に納得できないときは、担任・指導教員や、大学なら学生相談の窓口に相談できます。不正と判断されたあとの手続きはAIを使ったとされ、課題が0点や不合格になったにまとめています。

05よくある質問

仲間がAIを使ったことを、先生に言うべき?

自分から伝えるかどうかは迷うところですが、まず本人と事実を確かめ、一緒に説明する形を考えるのが穏やかです。すでに問題になっているなら、隠すより、自分の担当を記録で示しながら事実を伝えるほうが話が進みます。評価をどうするかは先生と学校が決めます。

グループ全員が同じ点数になるのは、しかたない?

授業によってはグループ全体で同じ評価をつけることがあります。研究で紹介された大学の授業では、仲間どうしの評価や下書きで個人の貢献を確かめていました。自分の担当を示す材料を用意して、個人の評価がどう決まるかを先生に聞いてみてください。

自分の担当にAIを少し使っていた場合は?

授業のルールで認められた範囲かどうかを先に確かめ、使った場面と内容を正直に1枚のメモに書いておきます。使ったことを隠すと、自分で書いた部分まで疑われるおそれがあります。

「子ども・学校」を順に読む
知る → 備える → 起きたとき(この記事) → 立て直す
この悩みのガイドを見る

出典

  1. Issa T, Hall M (2024). A teamwork framework for preventing breaches of academic integrity and improving students' collaborative skills in the AI era. Heliyon, 10(19), e38759. https://doi.org/10.1016/j.heliyon.2024.e38759
  2. Sagoo MG, Lam PY, et al. (2025). Evaluating group dynamics through peer assessment during a global student collaboration of interprofessional healthcare education: A longitudinal study across 33 universities. Anatomical Sciences Education, 18(5), 436-447. https://doi.org/10.1002/ase.70026
  3. Francis N, Pritchard C, Prytherch Z, Rutherford S (2025). Making teamwork work: enhancing teamwork and assessment in higher education. FEBS Open Bio, 15(1), 35-47. https://doi.org/10.1002/2211-5463.13936