偽情報・ディープフェイク

顔写真が勝手にAIで加工されて広まった。ディープフェイク被害のあとは「証拠・報告・相談」の3つ

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わかっている度 ★★☆ 中研究2本・公的資料6件・公式ヘルプ1件を整理
木の机に置かれたスマートフォン
Photo: Matt Bango / CC0 / Stocksnap
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品の紹介や診断はしていません。出典は末尾)。

自分の顔が、知らないうちにAIで加工されて出回っている。見つけた瞬間は、頭が真っ白になると思います。あなたは何も悪くありません。被害のあとにすることは、証拠を残す、サービスに削除を申し出る、相談する、の3つです。順番に整理します。

3行でわかる

  1. 10か国1万6千人あまりの調査では、2.2%が性的なディープフェイクの被害を報告しました。珍しい被害ではありません。
  2. 最初にするのは、URL・投稿日時・アカウント名が写る形で証拠を残すことです。消える前に記録します。
  3. 次にサービスへ削除を申し出て、違法・有害情報相談センターや法務局に相談できます。脅しやお金の要求は警察へ。

01結論から言うと

まず証拠を残し、次にサービスへ削除を申し出て、一人で抱えずに公的な窓口へ相談します。違法かどうかを自分で判断する必要はありません。

ディープフェイクとは、AIで人の顔や声を別の画像や動画に合成したものです。本人の同意なく作られ、広められると、深い傷になります。

ただ、被害のあとにできることは決まっています。画像が消される前に記録する。載っている場所に削除を頼む。それでも難しければ、公的な窓口に助けてもらう。この記事は、その3つを順に説明します。作り方や見破り方は扱いません。

02研究とデータでわかっていること

本人の同意がないディープフェイクの被害は、海外の調査で数%から14%あまりの人が経験していました。日本でも、大きなSNSには削除申出に原則7日以内で応える仕組みがあります。

2.2%性的なディープフェイクの被害を報告した人(10か国の18歳以上1万6,693人、2023年調査)
14%超裸や性的に加工された画像の作成・拡散・拡散の脅しを経験した人(豪・NZ・英の6,109人、2022年発表)
1.8%同じ10か国調査で、作る・広めるなどの加害を自分から報告した人
7日間大規模なSNS等が、削除申出への判断を通知するまでの原則の期間(2025年4月施行の法律)

Umbach, Henry, Beard, Berryessa(2024)[1]

10か国の1万6,693人に聞いた調査で、2.2%が性的なディープフェイクの被害を報告しました。回答者は平均すると「犯罪とすべき行為だ」と考えていました。

対象: 米国・韓国・オーストラリア・フランスなど10か国の18歳以上(2023年5〜6月、日本は含まない) / 限界: 被害に気づいていない人がいるため、実際より少なく見積もっている可能性があると著者は書いています。

Flynn, Powell, Eaton, Scott(2025)[2]

被害者15人と加害者10人への聞き取りで、画像は本人や家族・友人へのメッセージ、グループチャットなどで広められていました。警察に相談しようとした被害者は3人いましたが、対応につながらなかったと話しています。恥ずかしさから誰にも言えなかった人もいました。

対象: オーストラリアの25人(聞き取り調査) / 限界: 人数が少なく、オーストラリアや他の国の全体を代表するものではないと著者は書いています。14%超という数字は、この論文が紹介している先行研究(Flynnら 2022)のものです。

日本の制度も変わってきました。総務省の資料によると、2025年4月1日に「情報流通プラットフォーム対処法」が施行されました。利用者の多い大規模な事業者(平均月間発信者数1000万人など)には、削除申出の窓口を整え、原則7日以内に判断を通知することが義務づけられました。

03まだわかっていないこと

日本での被害の広がりや、どの対応がいちばん被害を小さくするかは、まだ研究でわかっていません。研究の多くは性的な画像の被害を扱っています。

  • 日本の大人を対象に、ディープフェイクの被害の割合を調べた査読論文は、今回の調査では見つかりませんでした。
  • 性的ではない加工(変な表情にする、言っていないことを言わせる等)の被害は、研究がさらに少ない状態です。
  • 削除を早く申し出ると、どれだけ拡散が抑えられるかを比べた研究は見つかりませんでした。

04今日からできること

証拠を残す、サービスに削除を申し出る、公的な窓口に相談する。この順番で進めます。どれも無料で、今日始められます。

1

消される前に、証拠を残す

画像が載っているページを、URL・投稿日時・投稿番号・サイトやアプリの名前が見える形で画面ごと保存します。大阪府警察は、相談の前にこれらを保存して印刷しておくよう案内しています。削除を頼んだやり取りも残します。

目安 1件につき5分

2

載っているサービスに削除を申し出る

各サービスの報告機能や削除申出窓口から申し出ます。Google検索に出る場合は、Googleのヘルプ「Google 検索から個人的な性的コンテンツを削除する」から申請できます。ただし消えるのは検索結果だけです。

目安 1サービスにつき10分

3

一人で抱えず、公的な窓口に相談する

削除の頼み方がわからないときは、違法・有害情報相談センターや法務局に相談できます。法務局は削除依頼の方法を助言し、人権侵害に当たると認めた情報はプロバイダなどに削除を要請しています。

目安 相談フォームの入力に15分

困ったときの相談先
違法・有害情報相談センター(総務省の委託事業、Webフォームで無料): 写真の無断掲載や誹謗中傷の削除について助言を受けられます。削除の代行はしていません。
みんなの人権110番(0570-003-110、平日8時30分〜17時15分): 法務局につながります。ネットの人権相談はWebのインターネット人権相談受付窓口からもできます。
お金を要求された・脅されている: 警察相談専用電話 #9110。身の危険があれば110番。

ディープフェイクの見分け方は、ディープフェイク動画を人は見抜けるのかで整理しています。子どもの写真の被害については、子どもの写真がAIで性的に加工される被害をご覧ください。

05よくある質問

ディープフェイクの被害は警察に相談できる?

できます。事件や事故ではない相談は、警察相談専用電話の#9110で受け付けています。お金を要求された、脅されているなど身の危険を感じるときは110番します。犯罪に当たるかどうかの判断は、相談先で個別に確かめてください。

加工された画像を消してもらうには、どこに頼めばいい?

まず画像が載っているサービスの報告機能や削除申出窓口に頼みます。自分で頼むのが難しいときや、頼んでも応じてもらえないときは、法務局に相談できます。法務局は人権侵害に当たると認めた情報について、プロバイダなどに削除を要請しています。

性的な画像ではなく、顔を変に加工された画像でも相談していい?

相談できます。違法・有害情報相談センターは「自分の写真が許可なく掲載されているので削除したい」「誹謗中傷にあたると思われる書き込みをされた」といった相談を受け付けています。法務局も名誉毀損やプライバシー侵害の相談を受けています。

Googleに頼めば、画像はネットから消える?

消えるのは検索結果だけです。Googleのヘルプには、Googleが削除できるのは検索結果ページ上のコンテンツのみで、ウェブサイトからの削除はサイトの所有者に連絡するよう書かれています。サイト側への申し出と組み合わせて使います。

つらい状態が2週間以上続くときや、日常生活に支障があるときは、医療機関や、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)などの相談窓口に相談できます。

出典

  1. Umbach, R., Henry, N., Beard, G., & Berryessa, C. (2024). Non-Consensual Synthetic Intimate Imagery: Prevalence, Attitudes, and Knowledge in 10 Countries. Proceedings of the CHI Conference on Human Factors in Computing Systems. https://doi.org/10.1145/3613904.3642382
  2. Flynn, A., Powell, A., Eaton, A., & Scott, A. J. (2025). Sexualized Deepfake Abuse: Perpetrator and Victim Perspectives on the Motivations and Forms of Non-Consensually Created and Shared Sexualized Deepfake Imagery. Journal of Interpersonal Violence. https://doi.org/10.1177/08862605251368834
  3. 法務省「インターネット上の人権侵害をなくしましょう」 https://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken88.html
  4. 法務省「みんなの人権110番(全国共通人権相談ダイヤル)」 https://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken20.html
  5. 違法・有害情報相談センター(総務省委託事業) https://ihaho.jp/
  6. 総務省「プロバイダ責任制限法の一部を改正する法律(概要)/情報流通プラットフォーム対処法の施行に係る省令・ガイドラインの策定」 https://www.soumu.go.jp/main_content/001002941.pdf
  7. 大阪府警察「掲示板やコミュニケーションアプリなどで誹謗中傷を受けている 事例」 https://www.police.pref.osaka.lg.jp/seikatsu/saiba/cyber_soudan/6928.html
  8. 愛知県警察「警察相談専用電話 #9110」 https://www.pref.aichi.jp/police/soudan/dial/jumin/soudan.html
  9. Google 検索ヘルプ「Google 検索から個人的な性的コンテンツを削除する」 https://support.google.com/websearch/answer/9116649?hl=ja