プライバシー・個人情報

ChatGPTに個人情報や会社の情報を入力しても大丈夫?入力したデータの行き先と、学習を止める設定

約7分で読めます

わかっている度 ★★☆ 中研究2本・公的資料2件・公式ヘルプ2件を整理
ノートパソコンのキーボード
Photo: darkweasel94 / CC0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関の資料・公式ヘルプをAIが調べて整理しました(商品の紹介や診断はしていません。出典は末尾)。

ChatGPTに入力した内容は、事業者のサーバーに送られて保存されます。個人向けの初期設定では、その会話がAIの学習に使われることがあります。学習は設定で止められます。ただ、止めても履歴は残ります。会社の情報は、個人の設定より先に勤め先のルールに従うのが基本です。

3行でわかる

  1. 入力した文章は履歴として保存され、個人向けの初期設定では学習に使われることがあります。
  2. 「すべての人のためにモデルを改善する」をオフにすると、新しい会話は学習に使われません。消えるわけではありません。
  3. 個人情報保護委員会は、事業者が個人データを入力するときは学習に使われないことの確認を求めています。会社の情報は勤め先のルールが先です。

01結論から言うと

入力したからといって、すぐ誰かに読まれるわけではありません。ただ、内容は保存され、設定しだいで学習にも使われます。学習は1分で止められますが、他人の個人情報や会社の機密は、設定に関係なく入れない前提で使います。

不安の多くは「入力した後にどうなるのかが見えない」ことから来ます。行き先は、公式ヘルプを読むとある程度わかります。

一方で、学習を止める設定は「履歴を消す」設定ではありません。ここを取り違える人が多いことが、研究でもわかっています。

02研究とデータでわかっていること

大手AI開発企業6社はいずれも、初期設定で利用者のチャットを学習に使っているとみられました。一方で、学習を止める設定を知らない利用者が多いことも報告されています。

6社中6社米国の大手AI開発企業6社のプライバシーポリシーで、初期設定でチャットを学習・改善に使っているとみられた(2025年発表)
19人中14人ChatGPTの利用者への聞き取りで、学習を止める設定を知らなかった人(2023年8月の調査)
最大30日一時チャットが安全のために保存されることがある期間(OpenAI公式ヘルプ、2026年10月時点)
2023年6月2日個人情報保護委員会が、生成AIサービスの利用について注意喚起を出した日

公式ヘルプから、入力したデータの行き先を整理すると次のようになります(ChatGPTの個人向けプランの場合)。

King・Klymanら / スタンフォード大学(2025)[4]

米国の大手AI開発企業6社のプライバシーポリシーを比べました。6社すべてが、初期設定で利用者のチャットを学習・改善に使っているとみられました。一部はデータを期限なく保存していました。健康情報などのデリケートな情報や、アップロードしたファイルも学習の対象になりうるとされています。ポリシーには、必要な情報が書かれていないことが多いとも指摘しています。

対象: 米国の6社のプライバシーポリシー(主にカリフォルニア州の消費者プライバシー法をもとにした基準で分析) / 限界: 書かれた方針の分析で、実際のデータの扱いを確かめたものではない。その後の設定変更は反映されない。

Zhangら(2024)[3]

公開されたChatGPTの会話200件を調べると、名前・メールアドレス・電話番号などが入っていました。自分以外の人の個人情報もありました。学年と学校名と地区を書いた先生の例のように、組み合わせると人が絞り込める入力もありました。利用者19人への聞き取りでは、14人が学習を止める設定を知りませんでした。

対象: ChatGPTなどの利用者19人(2023年8月)と公開会話200件 / 限界: 人数が少ない。当時は学習を止めると履歴も止まる画面だったが、現在は履歴を残したまま学習だけ止められる。

個人情報保護委員会(2023)[1]

一般の利用者に向けて、入力した個人情報が学習に使われ、他の情報と結びついて、正確または不正確な内容で出力されるリスクがあると注意喚起しました。利用規約やプライバシーポリシーを確認して判断するよう求めています。事業者に向けては、本人の同意なく個人データを入力し、回答以外の目的で扱われると、個人情報保護法の規定に違反する可能性があるとしています。

対象: 一般の利用者、個人情報を扱う事業者、行政機関など / 限界: 2023年時点の注意喚起で、個々のサービスの現在の設定を評価したものではない。

総務省・経済産業省(2026)[2]

「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」は、AIを仕事で使う人や会社に、個人情報や機密情報を不適切に入力しないよう注意を払うことを求めています。

対象: AIを使う事業者(会社・団体) / 限界: 拘束力のない指針(ソフトロー)で、個々のサービスの安全性を評価したものではない。

03まだわかっていないこと

入力した情報が、ほかの人への回答にどのくらい出てくるのかは、まだはっきりしていません。事業者側での保存期間も、ポリシーに書かれていないことが多いと指摘されています。

  • 学習に使われた個人情報が、いま使われている大きなAIでどのくらい再現されるか。実際に測った研究はまだ少ない。
  • 事業者がどのくらいの期間データを保存するか。ポリシーに書かれていないことが多い。[4]
  • 日本の利用者が学習を止める設定をどのくらい知っているか。今回調べた範囲では、公的な調査は見つからなかった。

04今日からできること

まず学習を止める設定を確かめます。見られたくない相談は一時チャットにし、会社の情報は勤め先のルールを先に確認します。どれもお金はかかりません。

1

学習を止める設定を確かめる

「設定」→「データコントロール」→「すべての人のためにモデルを改善する」をオフにします。アカウント全体にかかり、スマホとパソコンで共通です。オフにした後の会話から効きます。

目安 1分(1回だけ)

2

残したくない相談は一時チャットで

新しいチャットで「一時チャット」を選んでから入力します。履歴やメモリに残らず、学習にも使われません。ただし最大30日は保存されることがあると覚えておきます。

目安 10秒(相談のたび)

3

学習オフでも、評価ボタンは慎重に

高評価・低評価を送ると、その会話全体が学習に使われることがあります。個人的な内容を含む会話では、評価を送らないようにします。

目安 0分(押さないだけ)

4

会社の情報は、先に勤め先のルールを確認

使ってよいサービスやプラン、入力してよい情報の範囲を、社内の規程や担当部署で確かめます。顧客や同僚の個人情報は、自分だけで判断しません。

目安 5分(最初に1回)

名前や会社名を「Aさん」「X社」に置き換えるコツは、BOHANの記事AIチャットに入力してはいけない情報にまとめています。

困ったときの相談先
個人情報保護法相談ダイヤル(03-6457-9849、平日9:30〜17:30): 個人情報の扱い方について、個人情報保護委員会に相談できます。

05よくある質問

学習をオフにすれば、入力した内容は残らないの?

残ります。OpenAIの公式ヘルプでは、「すべての人のためにモデルを改善する」をオフにしても、保存済みのチャットは削除も非表示にもならないとされています。オフにした後の新しい会話が学習に使われなくなるだけです。内容を消したいときは、チャットの削除やアカウントの削除を別に行います。

会社の資料を個人のChatGPTに入力してもいいの?

まず勤め先のルールを確認してください。個人情報保護委員会は、事業者が本人の同意なく個人データを入力し、それが回答以外の目的で扱われると、個人情報保護法の規定に違反する可能性があるとしています。総務省・経済産業省のAI事業者ガイドラインも、個人情報や機密情報を不適切に入力しないよう注意を払うことを求めています。

一時チャットなら、何も残らないの?

何も残らないわけではありません。公式ヘルプでは、一時チャットは履歴に表示されず、学習にも使われませんが、安全のために最大30日間保存されることがあるとされています。

入力した個人情報が、ほかの人への回答に出てくることはある?

個人情報保護委員会は、入力された個人情報が学習に使われ、他の情報と結びついて、正確または不正確な内容で出力されるリスクがあると注意喚起しています。どのくらいの頻度で起きるかを、いま使われている大きなAIで測った研究はまだ少ない状況です。

出典

  1. 個人情報保護委員会 (2023). 生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について(令和5年6月2日). https://www.ppc.go.jp/news/careful_information/230602_AI_utilize_alert/
  2. 総務省・経済産業省 (2026). AI事業者ガイドライン(第1.2版)(令和8年3月31日). https://www.soumu.go.jp/main_content/001064279.pdf
  3. Zhang Z, Jia M, Lee HP, Yao B, Das S, Lerner A, Wang D, Li T (2024). "It's a Fair Game", or Is It? Examining How Users Navigate Disclosure Risks and Benefits When Using LLM-Based Conversational Agents. Proceedings of the CHI Conference on Human Factors in Computing Systems (CHI '24). https://doi.org/10.1145/3613904.3642385
  4. King J, Klyman K, Capstick E, Saade T, Hsieh V (2025). User Privacy and Large Language Models: An Analysis of Frontier Developers' Privacy Policies. Proceedings of the AAAI/ACM Conference on AI, Ethics, and Society, 8(2), 1465-1477. https://doi.org/10.1609/aies.v8i2.36646
  5. OpenAI Help Center. Data controls in ChatGPT(2026年10月に確認). https://help.openai.com/en/articles/7730893-data-controls-in-chatgpt
  6. OpenAI Help Center. Temporary chat in ChatGPT(2026年10月に確認). https://help.openai.com/en/articles/8914046-temporary-chat-in-chatgpt