偽情報・ディープフェイク

SNSでAIの偽画像やデマが広まっているのを見つけた。研究では、早めの補足で拡散が減り、「AIだ」より「どこが違うか」を示す指摘が信頼された

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わかっている度 ★★☆ 中研究4本を整理出典照合済み(2026-10-19)
張り紙が貼られた街角の掲示板
Photo: Joe Mabel / CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品の紹介や診断はしていません。出典は末尾)。

タイムラインに、どう見てもAIで作られた偽の画像やデマが流れてきて、どんどん広まっている。黙って見過ごすのも落ち着かないし、指摘して言い争いになるのも怖い。そんなときにできることは、思っているより具体的です。広めずに、早めに知らせ、指摘するなら「どこが違うか」を出典つきで短く書く。研究でわかっていることから順に整理します。

3行でわかる

  1. X(旧Twitter)で偽の投稿に利用者の補足(コミュニティノート)が付くと、その後のリポストは平均46%減りました。ただし、投稿から2日近くたってからの補足では、効果がほぼ見られませんでした。
  2. 「誤解を招く」とだけ示す警告より、なぜ誤りかを説明した補足のほうが信頼されました。普通の利用者がWHOの訂正の図を共有した場合も、WHO自身が投稿した場合と同じくらい、ある誤解を減らしました。
  3. ニュースの見出しの実験では、「AIが作った」という表示だけでは、「誤り」という表示の約3分の1の効果でした。引用で広めずに報告し、指摘するなら事実との違いと出典を1回だけ書きます。

01 結論から言うとAIの偽画像が広まっていたら、何をすればいい?

まず自分が広めないこと、次にサービスの報告機能で早めに知らせることです。返信で指摘するなら、「AIだ」と決めつけるより、事実とどこが違うかを公的機関や報道機関の出典つきで短く書くほうが、見ている人に伝わります。

偽の画像やデマは、見つけた人が何もしなければ、そのまま流れ続けます。一方で、強い言葉で反論したり、引用して「これは偽物」と投稿したりすると、元の投稿を自分のフォロワーにも見せることになります。

研究からわかるのは、偽の投稿のそばに「理由つきの訂正」が早めに付くと、広がりが鈍るということです。あなたが一人で論破する必要はありません。報告する、出典を1つ添える、それだけでも役に立ちます。自分の顔や名前が使われている場合は、この記事ではなくディープフェイク被害のあとは「証拠・報告・相談」の3つを先に読んでください。

02 研究とデータでわかっていること偽の投稿への指摘や補足は、本当に効く?

効きます。ただし条件があります。補足は早く付くほど拡散を減らし、理由を説明した補足ほど信頼されました。「AIが作った」という表示だけでは、効果は小さめでした。

46.1%補足が付いたあとに減ったリポスト(補足が付いたXの投稿6,757件、2023年3〜6月)
11.6%投稿が出てから全体で見たときのリポストの減り方(同じ研究)
8.2%専門家の短い警告より、理由つきの補足のほうが信頼が高まった割合(米国1,810人、実験)
約3分の1「AIが作った」という表示の効果の大きさ。「誤り」という表示と比べて(米英4,976人、実験)

Slaughterら / ワシントン大学・スタンフォード大学(2025年)[1]

Xで利用者が補足を書く仕組み「コミュニティノート」が付いた投稿を、補足が付かなかった似た投稿と比べました。補足が付いたあと、リポストは平均46.1%、いいねは44.1%、返信は21.9%、表示回数は13.5%減っていました。投稿が出てから全体で見ると、リポストの減り方は11.6%でした。投稿から1〜12時間で付いた補足ほど効果が大きく、47時間以上たってからの補足では、リポストを減らす効果はほぼ見られませんでした。

対象: 2023年3月16日〜6月23日に補足が提案されたXの投稿40,078件 / 限界: 実験ではなく実際の記録の分析で、補足以外の影響を完全には取り除けません。AIで作られた投稿に絞った分析ではありません。著者の一部はMetaやXの関係者と共同研究の経験があると、後から追記されています。

Drolsbachら / ギーセン大学(2024年)[2]

SNSの投稿36件を見せ、そこに付いた警告をどのくらい信頼できるかを聞く実験です。「誤解を招く」とだけ示す短い警告より、なぜ誤解を招くのかを説明した補足のほうが、支持する政党にかかわらず信頼されました。専門家の警告を理由つきの補足に置きかえると、信頼は平均4.8ポイント(8.2%)上がりました。研究者は、信頼の差は「誰が書いたか」より「説明があるか」から来ていると分析しています。

対象: 米国に住む1,810人(政治的な立場が偏らないよう集めた参加者) / 限界: 研究者が用意した投稿での判断で、ふだんのSNSの中での反応とは違う可能性があります。

VragaとBode / ミネソタ大学・ジョージタウン大学(2021年)[3]

「熱いお風呂で新型コロナを防げる」という誤った話に対し、世界保健機関(WHO)の訂正の図をSNSで見せる実験です。体温についての誤解は、WHO自身が投稿しても、名前の出ない普通の利用者が誤った投稿への返信として共有しても、同じくらい減りました。その効果は1週間後も続いていました。一方、「予防できる」という誤解は、ほとんど変わりませんでした。

対象: 2020年5月にオンラインで集めた米国の約1,600人(国全体を代表する集め方ではない) / 限界: 1つの話題、1つの訂正の図での結果です。AIで作られた画像や日本語の投稿で同じ結果になるかは確かめられていません。

AltayとGilardi / チューリッヒ大学(2024年)[4]

ニュースの見出しに「AIが作った」と表示すると、内容が本当でも偽りでも、正しいと思われにくくなり、共有もされにくくなりました。ただ、その効果は「誤り」と表示したときの約3分の1でした。研究者は、偽りのAI生成コンテンツには「AIが作った」だけでなく「誤り」と示すべきだと述べています。

対象: 米国と英国の4,976人、2つの実験 / 限界: 文章の見出しで調べた研究で、画像や動画は対象ではありません。

4つを合わせると、偽の投稿を見つけた人にできることの中心は「早く」「理由を添えて」知らせることです。「AIで作られた」かどうかは、見た人にとって大事な点の一部にすぎません。何が事実と違うのかを示すほうが、伝わりやすいと考えられます。

03 まだわかっていないこと日本のSNSやAIの偽画像でも同じ?

まだはっきりしていません。研究の多くは米国の英語の投稿や見出しで行われ、AIで作られた画像や動画に絞って、指摘や報告の効き目を比べた研究はほとんどありません。

  • 日本語の投稿や、LINEのような閉じたグループで、同じように補足や指摘が効くのか。
  • AIで作られた画像や動画に対して、文章の補足がどのくらい効くのか。
  • 一人ひとりがサービスに報告したことが、どのくらいの早さで表示の制限や補足につながっているのか。
  • 返信で指摘したことで、言い合いが長引いたり、元の投稿が目立ったりすることがどのくらいあるのか。

04 今日からできること見つけたとき、どの順番で動けばいい?

広めない、報告する、指摘するなら出典つきで1回、の順です。どれも数分でできます。言い合いが続きそうなら、報告に切り替えて離れてかまいません。

1

引用やリポストで反論しない

「これは偽物」と引用して投稿すると、元の画像をあなたのフォロワーにも見せることになります。まずは画面を閉じる前に、自分では広めないと決めます。

目安 その場で

2

サービスの報告機能で知らせる

多くのSNSでは、投稿ごとのメニューから運営に報告できます。補足は早いほど効くという研究があるので、気づいたときにすぐ報告します(報告そのものの効果を調べた研究ではありません)。

目安 1件1〜2分

3

指摘するなら「どこが違うか」と出典を書く

「AIだ」「デマだ」と決めつけず、「◯◯市の発表では、この日に浸水は起きていません」のように事実との違いを1文で書き、自治体や報道機関のページを添えます。相手を責める言葉は入れません。

目安 1回5分

4

1回書いたら、言い合いを続けない

訂正を読むのは、投稿した本人よりも、やりとりを見ているほかの人です。言い返されても、出典つきの指摘が残っていれば十分です。それ以上は報告に任せます。

目安 返信は1回まで

災害のときのデマへの備えは地震や大雨のとき、SNSに流れるAIの偽画像にどう備える?に、家族のグループで流れてきたときのルールは家族のグループに流れてくるAIの偽画像や偽ニュース、どう備える?にまとめています。もし自分がすでに共有していたと気づいたら、AIの偽画像や動画を本物と思って拡散してしまったの訂正の仕方を参考にしてください。

困ったときの相談先
偽の画像で特定の人が傷つけられている、なりすましが使われているといった場合は、違法・有害情報相談センターや法務省の人権相談に相談できます。窓口の使い方はディープフェイク被害のあとは「証拠・報告・相談」の3つにまとめています。

05よくある質問

AIの偽画像を見つけたら、通報したほうがいい?

はい、サービスの報告機能で知らせるのは、あなたにできる手軽な方法の1つです。偽の投稿に補足が付くと、その後のリポストが平均46%減ったという研究があります。補足は早く付くほど効果が大きく、投稿から2日近くたってからでは効果がほぼ見られませんでした。ただし、この研究は利用者が書く補足の効果を調べたもので、報告そのものの効果は確かめられていません。

「これはAIの偽物です」と返信するだけではだめ?

それだけでは伝わりにくいことがあります。ニュースの見出しに付ける表示を調べた研究では、「AIが作った」という表示の効果は、「誤り」という表示の約3分の1でした。何が事実と違うのかを、公的機関や報道機関などの出典を添えて短く書くほうが、見ている人に伝わりやすくなります。

指摘したら言い返された。どうすればいい?

言い合いを続ける必要はありません。訂正を見るのは投稿した本人だけではなく、そのやりとりを読むほかの人たちでもあります。出典つきの指摘を1回残したら、あとはサービスへの報告に切り替えて離れてかまいません。

本物かもしれない画像を「偽物」と言ってしまったら?

本物を偽物だと疑う間違いも、よく起きます。気づいたら、自分の投稿を早めに訂正します。詳しくは本物の写真を「AIの偽物だ」と言ってしまったにまとめています。確かめきれないときは、「偽物」と言い切らず、報告だけにとどめるのが安全です。

「偽情報・ディープフェイク」を順に読む
知る → 備える → 起きたとき(この記事) → 立て直す
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出典

  1. Slaughter I, Peytavin A, Ugander J, Saveski M (2025). Community notes reduce engagement with and diffusion of false information online. Proceedings of the National Academy of Sciences, 122(38), e2503413122. https://doi.org/10.1073/pnas.2503413122
  2. Drolsbach CP, Solovev K, Pröllochs N (2024). Community notes increase trust in fact-checking on social media. PNAS Nexus, 3(7), pgae217. https://doi.org/10.1093/pnasnexus/pgae217
  3. Vraga EK, Bode L (2021). Addressing COVID-19 Misinformation on Social Media Preemptively and Responsively. Emerging Infectious Diseases, 27(2), 396-403. https://doi.org/10.3201/eid2702.203139
  4. Altay S, Gilardi F (2024). People are skeptical of headlines labeled as AI-generated, even if true or human-made, because they assume full AI automation. PNAS Nexus, 3(10), pgae403. https://doi.org/10.1093/pnasnexus/pgae403