創作・著作権

AIの声で朗読やナレーションが作れるなら、人の声の仕事は要らなくなる?研究では、AIの声は人の声と聞き分けにくくなったが、心をほぐす朗読では人の声のほうが不安が下がっていた

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わかっている度 ★☆☆ 低研究4本を整理出典照合済み(2026-10-24)
録音用のマイクにかけたヘッドホン
Photo: WillSpirit SBLN willspirit / CC0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(法的な判断や商品の紹介はしていません。出典は末尾)。

文章を入れるだけで、AIが自然な声で読み上げてくれる時代になりました。朗読やナレーション、声の仕事をしている人、これから目指している人が「自分の声はもう要らなくなるのでは」と不安になるのは無理もありません。研究からわかっているのは、仕事の数そのものではなく、聞き手がAIの声をどう受け止めるかです。今わかっていることと、まだわからないことを分けて整理します。

3行でわかる

  1. 英国の研究では、実在の人の声をまねたAIの声を、聞き手は平均58%の回で「人の声」と判断しました。短い文なら、聞き分けはかなり難しくなっています。
  2. 一方で、中国の大学生240人の実験では、気持ちを込めた人の声の朗読のほうが、AIの声より不安を和らげていました。差が出るかは、場面と声の質しだいです。
  3. 声の仕事の依頼が実際に減るかは、まだ研究がありません。聞き手に気持ちを届ける場面で人の声が選ばれる理由が、研究で少しずつ見えてきた段階です。

01 結論から言うとAIの声で、人の声の仕事は要らなくなる?

要らなくなるとは、研究からは言えません。AIの声は短い文なら人の声と聞き分けにくくなりましたが、気持ちを届ける朗読では人の声のほうが聞き手の不安が下がる結果も出ています。仕事の数への影響はまだ調べられていません。

「AIの声がうまくなった」ことと「人の声が要らなくなる」ことは、別の問いです。前者は聞き手の実験で確かめられ始めていますが、後者を確かめた研究は見当たりません。

今の研究からわかるのは、AIの声がどんな場面で人の声に近づき、どんな場面でまだ差が出るか、という手がかりです。声の仕事をどう続けるかを考える材料として読んでください。

02 研究とデータでわかっていること聞き手は、AIの声と人の声をどう受け止めている?

短い文では、人の声をまねたAIの声が人の声とほぼ同じくらい「人らしい」と受け止められました。一方、ニュースや心をほぐす朗読では、人の声のほうが聞き手の脳の反応や不安の下がり方が大きい結果が出ています。

58%人の声をまねたAIの声を、聞き手が「人の声」と判断した回の割合の平均(英国の成人、2024年の実験)
143人AIの声と、プロの声優が読んだ瞑想の音声を聞き比べたドイツの参加者(2つの実験の合計)
47.15点と53.53点朗読を聞いた直後の不安の点数(20〜80点)。人の声の組とAIの声の組の平均(中国の大学生、一般的な内容の朗読)

Lavanら(2025) [1]

人の声40人分と、AIで作った声40人分を聞かせ、「人の声かAIの声か」などを判断してもらいました。実在の人の声をまねたAIの声は、人の声と同じくらい「本物らしい」と受け止められ、平均58%の回で「人の声」と判断されました。特定の人をまねずに作ったAIの声でも41%でした。ただし、AIの声が人の声より「人らしい」と感じられる逆転は見られませんでした。AIの声は人の声より「力強い」と評価され、一部は「信頼できる」とも評価されました。

対象: 英国に住む英語を母語とする成人、各実験50人 / 限界: 聞かせたのは1文ほどの短い録音で、長い朗読や演技、日本語の声で同じ結果になるかはわかりません。

Dielら(2025) [2]

瞑想(マインドフルネス)の音声を、プロの声優の録音、質の高いAIの声、従来型の読み上げの声で作り、30秒ずつ聞いて評価してもらいました。質の高いAIの声で読んだ音声は、声優の録音と同じくらい受け入れられ、人の声と区別されませんでした。一方、従来型の読み上げの声は不気味さが増し、評価が下がりました。声の性格が瞑想の場面に合わないと、評価が下がることもわかりました。

対象: ドイツに住む成人93人と50人の2つの実験 / 限界: 聞いて評価しただけで、実際に瞑想をしたときの効果は調べていません。

Gong(2023) [3]

中国語のニュースを、人のアナウンサーとAIの声で30秒ずつ読み上げ、聞いている人の脳波を測りました。人の声のニュースを聞いたときのほうが、脳の反応は大きくなりました。著者は、人の声のほうが内容を理解し覚える処理が進んでいた可能性があると解釈しています。事前の調査では、聞き手は流れのよさと信頼感に、人の声とAIの声の差を感じていました。

対象: 中国の主に18〜40歳の30人 / 限界: 参加者が少なく、脳の反応の違いが理解や記憶の差だと直接確かめたわけではありません。

Yangら(2026) [4]

大学生240人を、気持ちを込めた人の声の朗読、AIの声の朗読、自分で読む、の3組に分け、1回の実験で8〜10分の朗読2本を聞く(読む)前後に、不安の強さを測りました。人の声の組は、AIの声の組より不安の下がり方が大きくなりました。自分で読んだ組は、その中間でした。学生の悩みに合わせた内容のほうが、一般的な内容より不安が下がりやすく、この効果は声の種類に関係しませんでした。

対象: 中国の大学生240人(不安が病気の水準でない人) / 限界: 1回だけの実験室での実験で、効果が続くかや、ほかの年代に当てはまるかはわかりません。

4つの研究を並べると、AIの声の評価は「声の質」と「場面」で大きく変わります。短い文や落ち着いた案内では人の声に近づき、気持ちを動かすことが目的の朗読では、人の声に分がある結果が出ています。

03 まだわかっていないこと声の仕事への影響は、どこまでわかっている?

声の仕事の依頼が実際に減っているかは、研究ではまだわかっていません。日本語の声や、長い朗読・演技での比較もほとんどありません。今の結果は、どれも小さな実験の手がかりです。

  • 朗読・ナレーション・吹き替えなど、声の仕事の依頼の数や報酬の変化を追った研究は見当たりません。
  • 4つの研究は英語・ドイツ語・中国語で、日本語の声で同じ結果になるかはわかりません。
  • 使われた音声は30秒ほどまでが中心で、1冊の本の朗読や、演技を含む長い作品での比較はほとんどありません。
  • AIの声の技術は変化が速く、数年前の実験のAIの声と、今のAIの声は同じではありません。

04 今日からできること不安なとき、声の仕事をする人は何ができる?

人の声が選ばれやすい場面を自分の強みとして言葉にし、自分の声の録音の扱いを確かめ、練習の記録を続けます。どれもお金をかけずに始められます。

1

「気持ちを届ける場面」を自分の強みとして書き出す

研究で人の声に分があったのは、聞き手の気持ちに働きかける朗読でした。自分が得意な作品の種類や、聞き手からもらった感想を3つ書き出し、紹介文や見本の音声の選び方に生かします。

目安 20分

2

自分の声の録音が、AIに使われる条件を確かめる

今ある契約や依頼の条件に、録音をAIの学習や声の再現に使うことが含まれていないかを読み返します。提供する前の確かめ方は、自分の声や歌をAIの素材に提供する前に、何を確かめる?にまとめています。

目安 契約1件につき15分

3

練習の録音を、日付つきで残し続ける

週1回、同じ文章を読んで録音し、日付をつけて保存します。上達の確認になるうえ、自分の声で読んだ記録にもなります。練習を続ける意味は、AIがあるのに練習する意味があるのかで研究を紹介しています。

目安 週1回10分

音楽で同じ問いを調べた研究は、AIの曲が増えて、自分の音楽の価値が下がる?で、文章や画像の依頼が減ったときの研究と相談先は、AIで翻訳やイラストの依頼が減ったで整理しています。

05よくある質問

AIの声と人の声は、もう聞き分けられない?

短い文なら、聞き分けにくくなっています。英国の研究では、実在の人の声をまねたAIの声を、聞き手は平均58%の回で「人の声」と判断しました。ただし、使われたのは1文ほどの短い録音です。長い朗読や演技で同じかは、まだ確かめられていません。

朗読やナレーションの仕事は、これから減る?

研究ではまだわかっていません。わかっているのは、聞き手がAIの声をどう受け止めるかまでで、声の仕事の依頼の数を追った研究は見当たりません。文章や画像の仕事の依頼が減ったという研究はありますが、声の仕事にそのまま当てはまるかは別の問題です。

AIの声のほうが好まれることもある?

あります。英国の研究では、AIの声は人の声より「力強い」と受け止められ、一部は「信頼できる」とも評価されました。ドイツの研究でも、質の高いAIの声で読んだ瞑想の音声は、プロの声優の録音と同じくらいに受け入れられていました。従来型の読み上げの声は評価が下がっていました。

人の声のほうがよいと言える場面は?

今のところ、聞き手の気持ちに働きかける場面で、人の声が上回る結果が出ています。中国の大学生240人の実験では、気持ちを込めた人の声の朗読を聞いた組のほうが、AIの声の組より不安の下がり方が大きくなりました。ただし1回だけの実験で、結果が長く続くかはわかりません。

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出典

  1. Lavan N, Irvine M, Rosi V, McGettigan C (2025). Voice clones sound realistic but not (yet) hyperrealistic. PLOS One, 20(9), e0332692. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0332692
  2. Diel A, Bäuerle A, Teufel M, Jansen C (2025). The role of prompt, voice, and personality factors in the acceptance and evaluation of AI-generated mindfulness exercises. Scientific Reports, 15, 35024. https://doi.org/10.1038/s41598-025-21290-1
  3. Gong C (2023). AI voices reduce cognitive activity? A psychophysiological study of the media effect of AI and human newscasts in Chinese journalism. Frontiers in Psychology, 14, 1243078. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2023.1243078
  4. Yang Y, Saad MN, Wang X, Kim C, Yao W (2026). Effects of audio reading modes and content targeting on college students' anxiety: an experimental study for university mental health intervention. Frontiers in Psychology, 17, 1831080. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2026.1831080