創作・著作権

AIがあるのに練習する意味があるのか、と描く・書く気がなくなった。研究では、自分で考えて練習した力はAIを外しても残り、作る時間にはストレスの指標が下がる結果も出ていた

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わかっている度 ★☆☆ 低研究3本を整理出典照合済み(2026-10-15)
スケッチブックに鉛筆で描かれた街の風景
Photo: Sergey A. Demidov / CC BY 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(商品の紹介や診断はしていません。出典は末尾)。

数秒で整った絵や文章が出てくるのを見ると、「何年も練習してきた意味は何だったんだろう」と手が止まることがあります。そう感じるのは、練習を大事にしてきた人ほど自然なことです。研究からは、練習で身につく力は自分の中に残ること、そして作る時間そのものにも意味があることが見えてきました。

3行でわかる

  1. トルコの高校生約1,000人の実験では、制限のないふつうの対話型AIで練習した生徒は、AIを外した試験でAIなしで練習した生徒より17%低い結果でした。自分で考えた練習の力は、自分に残ります。
  2. 成人39人が45分間自由に作品を作った研究では、約75%の人でストレスに関わるホルモンが下がり、美術の経験の多さとは関係がありませんでした。
  3. 練習の目的を「速く完成させること」から「自分に何が残るか」に置き直すと、AIと比べずに続けやすくなります。ただし絵や文章の練習そのものを調べた研究は、まだ少ないです。

01 結論から言うとAIがあるのに、描く・書く練習をする意味はある?

意味はあると考えられます。研究では、自分で考えて練習した力はAIを外しても残り、AIに答えを頼った練習では残りにくい結果でした。また、作る時間そのものにストレスの指標が下がる結果も出ています。

「AIがあるのに練習する意味があるのか」という問いは、練習の目的を完成品を作ることだけに置くと、答えが出にくくなります。完成品を早く出すことなら、AIのほうが速い場面は確かにあります。

でも練習には、ほかに2つの役割があります。1つは見る目や手の感覚など、自分の中に残る力。もう1つは作っている時間そのものです。研究は、この2つについて手がかりをくれます。

AIに手伝わせた作品をどう感じるかはAIに手伝わせた作品が自分のものと思えないときの記事で、発表が怖くなったときはAIに作品をまねされて発表が怖いときの記事で整理しています。

02 研究とデータでわかっていることAIに頼った練習と、自分でやる練習は何が違う?

ふつうの対話型AIで練習すると、練習中の出来は上がっても、AIを外したときの力は低くなりました。答えを出さないAIでは差がありませんでした。作る時間については、経験に関係なくストレスの指標が下がった研究があります。

17%制限のないふつうの対話型AIで練習した生徒の、AIなしの試験の点の低さ(AIなしで練習した生徒と比べて。トルコの高校生約1,000人、2025年発表)
差なし答えを出さずヒントだけ出すAIで練習した生徒の、AIなしの試験の点(同じ研究)
約75%45分間自由に作品を作ったあと、ストレスに関わるホルモンが下がった人の割合(米国の成人39人、2016年発表)

Bastani ほか(2025) [1]

数学の授業で、クラスごとに「AIなし」「ふつうの対話型AI」「答えを出さずヒントを出すように作ったAI」に分けて練習しました。練習中の出来は、ふつうのAIで約48%、ヒント型のAIで約127%上がりました。ところがAIを外した試験では、ふつうのAIで練習した生徒はAIなしの生徒より17%低くなりました。ヒント型のAIでは、はっきりした差はありませんでした。研究者は、生徒がAIを「松葉づえ」のように頼っていたと考えています。

対象: トルコの1つの高校の9〜11年生、約1,000人(約50クラス) / 限界: 数学という1つの教科で、短い期間の結果。絵や文章の練習で同じになるかはわからない。

Kaimal・Ray・Muniz(2016) [2]

参加者は、コラージュ、粘土、ペンを使って45分間、自由に作品を作りました。完成させる必要はありませんでした。前後で唾液を調べると、ストレスに関わるホルモン(コルチゾール)が39人中30人、約75%で下がっていました。下がり方は、美術の経験が少ない人と多い人で差がありませんでした。参加者の感想には「くつろげた」「楽しかった」「縛られない感じ」などが多く見られました。

対象: 米国の大学の学生・職員など18〜59歳の39人 / 限界: 作品を作らないグループとの比較がないため、作ること自体の効果かどうかは確かめられていない。人数も少ない。

Horton・White・Iyengar(2023) [3]

米国の成人を対象にした6つの実験で、絵に「AI作」「人の作」の表示を付けて見てもらいました。米国の人口構成に近づけた709人の実験では、「AI作」の絵のあとに見た「人の作」の絵は、2枚とも「人の作」と表示された場合より、創造性の評価(創造的・新しいなど4項目の平均、7段階)がわずかに高くなりました(5.14対4.95)。

対象: 米国の成人、6つの実験の合計2,965人 / 限界: 有名な画家の作風に似せた絵を使った実験で、差は小さい。値段の評価には、はっきりした差がなかった。

3つの研究を、練習の役割ごとにまとめました。

練習の役割研究からわかること
自分の中に残る力AIに答えを頼る練習では残りにくく、ヒント役のAIなら差がなかった [1]
作っている時間経験に関係なく、多くの人でストレスの指標が下がった [2]
人が作ったという価値AIの絵と並ぶと、人の作とされた絵はわずかに高く評価された [3]

聴く側・見る側の受け取り方については、AIの曲が増えて自分の音楽の価値が下がるか不安なときの記事でも研究を紹介しています。

03 まだわかっていないこと絵や文章の練習でも、同じ結果になる?

まだはっきりしていません。AIと練習の研究は数学の授業で行われたもので、絵や文章で同じ結果になるかは確かめられていません。作る時間の効果も、比べるグループのない小さな研究です。

  • 絵・文章・音楽の練習で、AIに頼る範囲によって上達がどう変わるか。
  • 何か月、何年と練習を続けたとき、AIを使う人と使わない人で力がどう違ってくるか。紹介した実験は4回の授業の短い期間でした。
  • 作ることでストレスの指標が下がるのが、作ること自体の効果なのか、静かに過ごした効果なのか。
  • AIが広がったあとの日本で、人が描いた・書いた作品がどう受け取られるか。

04 今日からできること描く・書く気をもう一度取り戻すには?

練習の目的を「完成品」から「自分に残るもの」に置き直します。AIを使うならヒント役にとどめ、結果を求めない短い制作の時間をつくり、できるようになったことを記録します。

1

練習の目的を、1行で書き直す

「上手な完成品を出す」ではなく、「手の形を見ないで描けるようになる」「会話文を自然に書けるようになる」のように、自分に残る力で書きます。AIと比べる物差しから、昨日の自分と比べる物差しに変わります。

目安 5分

2

AIを使うなら、答えではなくヒント役にする

完成品を出させる代わりに、自分の作品への感想や、直すところの候補だけを聞きます。研究では、答えを出さないAIで練習した生徒は、AIを外しても力が落ちていませんでした(数学での結果です)。

目安 練習のたびに数分

3

完成させなくていい制作の時間をつくる

誰にも見せない前提で、15〜45分、落書きや短い文章を書きます。研究の参加者も完成させる必要はなく、美術の経験の多さに関係なくストレスの指標が下がっていました。

目安 週2〜3回、15〜45分

4

できるようになったことを、日付つきで残す

1か月前の絵や文章と今日のものを並べて、変わったところを1つ書きます。自分の中に残った力が目に見えると、続ける理由になります。

目安 月1回、10分

05よくある質問

AIで描けるなら、絵や文章の練習はもう無駄なの?

研究からは、無駄とは言えません。高校生約1,000人の数学の実験では、制限のないふつうの対話型AIで練習した生徒は、AIを外した試験で、AIを使わずに練習した生徒より17%低い結果でした。自分で考えて練習した力は、AIがない場面でも自分に残ります。ただし絵や文章で同じ結果になるかは、まだ確かめられていません。

練習にAIを使うのはやめたほうがいい?

やめなくてもよい可能性があります。同じ実験では、答えを出さずにヒントだけを出すように作ったAIで練習した生徒は、AIを外した試験でもAIなしで練習した生徒と差がありませんでした。完成品を出させるより、感想や改善点を聞く使い方のほうが、練習の力は残りやすいと考えられます。

絵が下手でも、描くことに意味はある?

美術の経験の多さに関係なく、作る時間にストレスの指標が下がったという研究があります。成人39人が45分間自由に作品を作った研究では、約75%の人でストレスに関わるホルモンが下がり、その変化は美術の経験の多さと関係がありませんでした。比較のグループがない研究なので、結果は控えめに受け取る必要があります。

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知る → 備える → 起きたとき → 立て直す(この記事)
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出典

  1. Bastani H, Bastani O, Sungu A, Ge H, Kabakcı Ö, Mariman R (2025). Generative AI without guardrails can harm learning: Evidence from high school mathematics. Proceedings of the National Academy of Sciences, 122(26), e2422633122. https://doi.org/10.1073/pnas.2422633122
  2. Kaimal G, Ray K, Muniz J (2016). Reduction of Cortisol Levels and Participants' Responses Following Art Making. Art Therapy, 33(2), 74-80. https://doi.org/10.1080/07421656.2016.1166832
  3. Horton CB, White MW, Iyengar SS (2023). Bias against AI art can enhance perceptions of human creativity. Scientific Reports, 13(1), 19001. https://doi.org/10.1038/s41598-023-45202-3