偽情報・ディープフェイク

ネットの記事は、AIが書いたものだらけ?研究では、新しい英語版ウィキペディア記事の約4%、英語の企業の発表文の約24%にAIの文章が見つかった

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わかっている度 ★★☆ 中研究5本を整理出典照合済み(2026-10-17)
積み重ねられた新聞
Photo: African Studies Centre Leiden / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品の紹介や診断はしていません。出典は末尾)。

検索して開いた記事が、どれもAIが書いたように見える。ネットはもうAIの文章だらけなのでは、と不安になるかもしれません。研究で測られた範囲では、AIの文章は「だらけ」ではなく、場所によって数%から約4分の1でした。ただし増え方は速く、ウィキペディアの研究では、AIと判定された記事は出典が少ない傾向がありました。

3行でわかる

  1. 2024年8月に新しく作られた英語版ウィキペディアの記事では、少なくとも約4%にAIの文章がかなり含まれていると推定されました。
  2. 英語の企業の発表文では約24%、米国の金融の苦情の文章では約18%にAIの手助けが見られ、2022年11月のChatGPT公開のあとに急に増え、2023年後半からはほぼ横ばいでした。
  3. 1本ずつ「AIが書いたか」を当てるのは今の判定ツールでは難しく、確かめるべきは書き手より「出典があるか」です。

01 結論から言うとネットの記事はAIが書いたものだらけ?

測られた範囲では「だらけ」ではありません。英語の文章で数%〜約4分の1でした。ただしChatGPTの公開後に急に増え、AIと判定された記事は出典が少なめでした。

「AIの文章がどのくらいあるか」は、1本ずつ見て数えることができません。そこで研究者は、AIが書いた文章に多い言葉の使われ方を、たくさんの文章の集まりで調べ、全体の中の割合を推定しています。

その方法で調べると、AIの文章が見つかる割合は、場所によって大きく違いました。百科事典のような場では数%、企業の発表文のように定型の文章では約4分の1です。ウィキペディアや企業の発表文などの研究では、著者自身が「実際より少なめに出る推定」だと書いています。

AIが書いた偽情報がどのくらい説得力を持つかはAIが書いた偽情報はだまされやすい?に、偽の口コミについてはAIで作られた偽の口コミや偽の専門家にまとめています。この記事は「どのくらい出回っているか」を扱います。

02 研究とデータでわかっていることAIの文章はどこに、どのくらいある?

新しい英語版ウィキペディアの記事で約4〜5%、英語の企業の発表文で約24%、英語の研究論文の一部の分野で最大22%と推定されました。どれも英語の文章が対象です。

4.36%2024年8月に作られた英語版ウィキペディアの記事2,909本のうち、AIの文章がかなり含まれると推定された割合(少なめに見た値)
約24%英語の企業の発表文(プレスリリース)で、2024年後半にAIの手助けが見られた割合
最大22%2020年1月〜2024年9月の論文など約112万本のうち、コンピュータ科学の論文でAIによる手直しがあると推定された割合
61.3%英語を母語としない人が書いた作文91本を、7つのAI判定ツールが誤って「AIが書いた」とした割合の平均(2023年)

Brooks, Eggert, Peskoff(2024)[1]

2024年8月に新しく作られた英語版ウィキペディアの記事2,909本を、2種類のAI判定ツールで調べました。ChatGPTのもとになったGPT-3.5の公開前(2022年3月より前)の記事が1%以下しか引っかからないように基準を厳しくしたうえで、5.36%が引っかかり、そこから1%を引いた4.36%を「少なくともこれだけはある」という推定にしました。ドイツ語・フランス語・イタリア語の記事では、割合はもっと低めでした。AIと判定された記事は、参考文献が少なく、ほかの記事へのリンクも少なく、ウィキペディアの中でのつながりが弱い傾向がありました。2つのツールがどちらも判定した45本のうち8本は、小さな会社や飲食店などを宣伝するために作られたものでした。

対象: 英語・ドイツ語・フランス語・イタリア語版のウィキペディアの新しい記事 / 限界: 1か月分の新しい記事だけで、ウィキペディア全体の割合ではありません。著者は、1本ずつの判定は決定的なものと考えるべきではないと書いています。

Liang ら(2025, Patterns)[2]

2022年1月〜2024年9月(求人票は2021年1月〜2023年10月)の、米国の金融の苦情68万7,241件、企業の発表文53万7,413件、求人票3億430万件、国連の発表文1万5,919件を調べました。2024年後半には、金融の苦情の約18%、企業の発表文の約24%、小さな会社の求人票の10%弱、国連の発表文の約14%にAIの手助けが見られました。どの分野でも、ChatGPTの公開から数か月で急に増え、2023年後半には増え方が落ち着き、2024年もほぼ横ばいでした。

対象: 英語の文章 / 限界: 1本ずつではなく全体の割合の推定です。人が大きく書き直した文章は見つけられないため、著者は「少なめの推定」と書いています。

Liang ら(2025, Nature Human Behaviour)[3]

2020年1月〜2024年9月の論文と、査読前の論文(プレプリント)合わせて112万1,912本を調べると、AIによる手直しがある文章は着実に増えていました。いちばん多く、速く増えたのはコンピュータ科学の論文で最大22%、数学や Nature 系の雑誌では最大9%でした。

対象: 英語の論文 / 限界: 言葉の使われ方から全体の割合を推定したもので、どの論文が該当するかはわかりません。手直しの程度も区別していません。

Thompson ら(2024)[4]

ネット上の文章を集めた大きなデータで、別の言語との対訳になっている文を調べました。3つ以上の言語に訳されている文が、対訳の文全体の57.1%を占めていました。多くの言語に訳されている文ほど訳の質が低く、機械翻訳で作られたと考えられました。中身にも偏りがあり、広告収入のために作られたとみられる質の低い英語の文章が、まとめて多くの言語に機械翻訳されていると著者は推測しています。

対象: ネットから集めた90言語の対訳データ / 限界: 生成AIではなく機械翻訳の研究です。57.1%は「ネット全体の57%」ではなく、対訳になっている文の中での割合です。

Liang ら(2023, Patterns)[5]

広く使われている7つのAI判定ツールに、人が書いた作文を判定させました。米国の中学2年生の作文88本はおおむね正しく「人」と判定されましたが、英語を母語としない人が書いた作文91本は、平均61.3%が誤って「AIが書いた」とされました。

対象: 英語の作文 / 限界: 2023年時点のツールと少ない作文での実験で、今のツールで同じ結果になるとは限りません。

まとめると、AIの文章は「どこにでも少しずつ」ではなく、定型の文章や宣伝の文章に多めに入っていました。そして、1本ずつ見分ける方法はまだ当てになりません。

03 まだわかっていないこと日本語のネットではどうなっている?

日本語のネット記事やニュースにAIの文章がどのくらいあるかを測った研究は、今回の調査では見つかりませんでした。英語の数字をそのまま日本に当てはめることはできません。

  • 紹介した研究は、どれも英語(ウィキペディアは一部ヨーロッパの言語も)の文章です。日本語のニュースサイトやブログ、SNSで同じ調べ方をした査読研究は、今回確認できませんでした。
  • SNSの投稿のうちAIが書いたものの割合を、査読を経た研究で示した数字も、今回の調査では確認できませんでした。
  • 「AIの手助けがある」には、人が書いた文をAIで整えただけのものも含まれます。AIの文章が多いことと、間違いや偽情報が多いことは別の問題で、両者の関係はまだ詳しく調べられていません。
  • AIはどんどん人の文章に近づいていて、今の推定方法が今後も通用するかはわかりません。

04 今日からできることAIが書いたかわからない記事はどう読む?

「AIが書いたか」を当てるより、出典・書き手・日付を確かめるほうが確実です。ウィキペディアの研究では、AIと判定された記事は出典が少ない傾向がありました。どれもお金はかかりません。

1

記事の「出典」を1つ開いてみる

数字や断定があったら、その根拠のリンクがあるか、開いた先に同じことが書いてあるかを見ます。ウィキペディアの研究では、AIと判定された記事は参考文献が少なめでした。根拠が見つからない数字は、いったん保留にします。

目安 大事な数字1つにつき1〜2分

2

運営者と日付があるかを見る

ページの下や「このサイトについて」に、運営者・問い合わせ先・更新日があるかを確かめます。宣伝のために作られたページは、紹介している会社や商品へのリンクばかりのことがあります。

目安 1ページ30秒

3

大事なことは、一次情報で確かめ直す

お金・健康・制度のように決める前に確かめたいことは、省庁や自治体、論文などの元の資料を検索して読みます。検索結果の上に出るAIの要約にも同じことが言えます(AIの要約は信じていい?)。

目安 決める前に1回

4

AI判定ツールで、人の文章を決めつけない

判定ツールは、人が書いた文章を「AIが書いた」と誤ることがあります。他人の投稿や記事をツールの結果だけで「AIが書いた」と広めないでください(AI判定ツールで濡れ衣を着せられたとき)。

目安 判定結果を見たら、他の根拠を1つ探す

05よくある質問

ネットの記事は、AIが書いたものだらけなの?

研究で測られた範囲では「だらけ」ではありません。2024年8月に新しく作られた英語版ウィキペディアの記事では少なくとも約4%、英語の企業の発表文では約24%でした。ただし、日本語のネット記事を測った研究は今回見つかりませんでした。

AIが書いた記事は、間違いが多いの?

そうとは言い切れません。ウィキペディアの研究では、AIと判定された記事は参考文献が少なく、宣伝目的のものも含まれていましたが、AIの文章と間違いの多さの関係は、まだ詳しく調べられていません。出典が確かめられるかで判断するのが確実です。

AIが書いた文章かどうか、見分ける方法はある?

今のところ、1本ずつ確実に見分ける方法はありません。2023年の実験では、7つの判定ツールが、英語を母語としない人の作文の平均61.3%を誤って「AIが書いた」としました。研究者も、1本ずつの判定は決定的ではないと書いています。

AIの文章はこれからもっと増えるの?

わかっていません。米国の苦情や企業の発表文などを調べた研究では、ChatGPTの公開後に急に増え、2023年後半からはほぼ横ばいでした。ただ、その後の変化や、日本語での変化はまだ調べられていません。

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出典

  1. Brooks C, Eggert S, Peskoff D (2024). The Rise of AI-Generated Content in Wikipedia. Proceedings of the First Workshop on Advancing Natural Language Processing for Wikipedia (WikiNLP 2024), 67–79. https://aclanthology.org/2024.wikinlp-1.12/
  2. Liang W, et al. (2025). The widespread adoption of large language model-assisted writing across society. Patterns, 6(12), 101366. https://doi.org/10.1016/j.patter.2025.101366
  3. Liang W, Zhang Y, Wu Z, et al. (2025). Quantifying large language model usage in scientific papers. Nature Human Behaviour, 9(12), 2599–2609. https://doi.org/10.1038/s41562-025-02273-8
  4. Thompson B, Dhaliwal MP, Frisch P, Domhan T, Federico M (2024). A Shocking Amount of the Web is Machine Translated: Insights from Multi-Way Parallelism. Findings of the Association for Computational Linguistics: ACL 2024, 1763–1775. https://doi.org/10.18653/v1/2024.findings-acl.103
  5. Liang W, Yuksekgonul M, Mao Y, Wu E, Zou J (2023). GPT detectors are biased against non-native English writers. Patterns, 4(7), 100779. https://doi.org/10.1016/j.patter.2023.100779