詐欺・なりすまし

マッチングアプリの相手の写真が、AIで作られた顔だった。実験では人はAIの顔を見分けられず、被害のあとは「お金を取り戻せます」という二度目の詐欺に狙われやすかった

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わかっている度 ★★☆ 中研究3本を整理出典照合済み(2026-10-17)
木の机に置かれたスマートフォンとノートパソコン、マウス
Photo: Enoch Leung / CC BY-SA 2.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(商品の紹介や診断はしていません。出典は末尾)。

マッチングアプリやSNSで親しくなった相手。写真も、ときどき届く動画も自然に見えていたのに、AIで作られた顔だとわかった。すでにお金を送っていた人も、まだ送っていない人もいると思います。研究では、AIで作られた顔は本物とほとんど見分けられず、見抜けなかったのはあなたの落ち度ではありません。そして被害のあとは、「お金を取り戻します」という二度目の詐欺に狙われやすいこともわかっています。直後にやることを順番に整理します。

3行でわかる

  1. 実験では、AIで作られた顔を本物と見分けられた割合は48.2%で、当てずっぽうと同じくらいでした。
  2. 50件の研究のまとめでは、被害のあとに「取り戻します」とかたる詐欺や、「本当に好きになった」と言って関係を続けようとする再接触がよく見られました。
  3. 直後は、送金を止めて記録を残し、金融機関と警察(#9110、急ぐときは110番)に連絡。アプリの運営にも通報します。

01 結論から言うと相手の顔がAIだった。まず何をする?

それ以上お金や個人情報を送らず、やりとりの記録を保存します。お金を送っていたら、振込先の金融機関と警察にすぐ連絡します。そのあとで来る「お金を取り戻せます」という連絡は、二度目の詐欺を疑ってください。

顔がAIで作られていたということは、相手が名乗っていた人物は実在しない可能性が高いということです。投資の話や、急な出費の相談、プレゼントの立て替えなど、お金の話が一度でも出ていたなら、詐欺を疑って動くのが安全です。

相手を問い詰めたり、真相を聞き出そうとしたりする必要はありません。やりとりが消される前に記録を残し、お金の流れを止めることが先です。自分を責める気持ちが出てくるのは自然ですが、次の02で見るように、AIの顔は注意していても見抜くのが難しいものです。

02 研究とデータでわかっていることAIの顔は、どのくらい見抜けない?

実験では、AIで作られた顔を見分けられた割合は48.2%で、偶然と変わりませんでした。見分け方の練習をしても59.0%でした。さらに、被害のあとは二度目の詐欺に狙われやすく、心の傷はお金の問題が片づいたあとも残りやすいとわかっています。

48.2%AIで作った顔と本物の顔を見分けられた割合(オンライン実験の参加者315人、2022年)
59.0%見分け方の説明と、1問ごとの正解の表示があった場合(別の219人)
50件ロマンス詐欺の手口を調べた研究のまとめ(2026年)
21件詐欺の被害のあとの心の影響を調べた研究のまとめ(2026年)

Nightingale, Farid / ランカスター大学・カリフォルニア大学バークレー校(2022年)[1]

AIで作った顔と本物の顔を見せて見分けてもらう実験で、正解の割合は平均48.2%と、偶然(50%)とほぼ同じでした。見分けるコツを説明し、1問ごとに正解を教えても59.0%にとどまりました。別の実験で「信頼できそうか」を7段階でたずねると、AIの顔は平均4.82、本物の顔は4.48で、AIの顔のほうが7.7%高く評価されていました。

対象: オンラインの実験参加者(実験ごとに315人・219人・223人)、静止画の顔400枚ずつ / 限界: 2022年時点の技術で作った顔写真の実験です。動画やビデオ通話を見分けられるかは調べていません。

Schokkenbroek, Snaphaan / デルフト工科大学ほか(2026年)[2]

ロマンス詐欺の手口を記述した研究50件をまとめ、準備から被害後までを9つの場面に整理しました。偽のプロフィールには、実在する人の写真に加えて、AIで作った画像が使われることが増えていると報告されています。被害のあとも、第三者を装って「お金を取り戻す手伝いをする」とかたる詐欺、「詐欺だったが本当に好きになった」と言って関係を続けようとする再接触、被害にあった人の連絡先の売買、脅しなどによって、くり返し狙われることがよくありました。

対象: 被害者への聞き取り、警察の記録、やりとりの分析などを使った研究50件 / 限界: AIを使った手口については、まだ実証研究が少ないと著者ら自身が述べています。届け出られない被害も多く、全体像はつかみきれていません。

Baiら / 中国・台湾の研究チーム(2026年)[3]

大人の詐欺被害者の心の状態を調べた研究21件をまとめたところ、被害は不安、落ち込み、心理的な苦しさ、恥ずかしさ、自分を責める気持ちと関連していました。心の傷は、お金の問題が片づいたあとも続くことが多く、失った金額の大きさよりも、気持ちを操られたことや裏切られた感覚と強く関連していました。

対象: さまざまな国・詐欺の種類の研究21件 / 限界: 研究の方法がばらばらで、数字をまとめた分析はしていません。AIを使った詐欺に限った結果ではありません。

つまり、AIの顔を見抜けなかったのは注意力の問題ではなく、今の人の目の限界です。そして、だまされた直後こそ、二度目の詐欺と心の負担の両方に気をつける時期だといえます。SNSの相手がAIかどうかを見分ける研究は、SNSの相手がAIかもしれないで整理しています。

03 まだわかっていないことビデオ通話なら見抜ける?

まだわかっていません。研究の多くは静止画の顔で、リアルタイムのビデオ通話で偽物をどのくらい見抜けるかは、十分に調べられていません。「ビデオで話したから本物」とは言い切れない、と考えておくのが安全です。

  • ビデオ通話や音声つきの動画で、人がAIの偽物をどのくらい見抜けるか。
  • 日本のマッチングアプリで、AIで作った顔がどのくらい使われているか。
  • 二度目の詐欺を防ぐのに、どんな声かけや支援が効くのか(研究はまだ少ない)。
  • 被害のあとの心の回復を助ける方法(長く追った研究や、支援を試した研究はほとんどない)。

04 今日からできることお金や心を守るために、何をする?

送金と個人情報の送付をやめ、記録を保存し、金融機関と警察に連絡します。アプリの運営に通報し、「取り戻せます」という連絡には応じない。そして1人で抱え込まないことです。

1

送るのをやめ、やりとりを保存する

相手のプロフィール画面、ID、やりとり、送られてきた写真や動画、振込先や送金の記録を、スクリーンショットで保存します。日時がわかるように撮ります。相手に「AIでしょう」と伝える必要はありません。

目安 20分

2

お金を送っていたら、金融機関と警察にすぐ連絡する

振込なら振込先の金融機関、カードならカード会社に連絡し、警察(#9110、急ぐときは110番)に相談します。振込の場合にお金が戻る可能性がある制度は、AIの声の電話で振り込んでしまったで整理しています。

目安 当日中

3

アプリやSNSの運営に通報する

アプリの通報機能で、相手のアカウントを報告します。同じ相手が別の人を狙うのを防ぐことにもつながります。通報の前に、手順1の保存を済ませておきます。

目安 5分

4

「お金を取り戻せます」には応じない

被害のあとに、弁護士や調査会社、公的機関を名乗って「手数料を払えば取り戻せる」と連絡が来たら、二度目の詐欺を疑います。相談先は、自分で調べた番号か、#9110・188を使います。

目安 連絡が来るたびに

5

信頼できる人に1人だけ話す

研究では、恥ずかしさから誰にも話せないことが、支えを得る壁になっていました。家族や友人に話しにくいときは、警察や消費生活センターの相談員でもかまいません。自分を責めてしまうときはAIを使った詐欺にだまされて、自分を責めてしまうも参考にしてください。

目安 1回15分

困ったときの相談先
警察相談専用電話(#9110): お金をだまし取られた、脅されているとき。身の危険があるときは110番。
消費者ホットライン(188): 「取り戻せる」という業者との契約や支払いのトラブルのとき。

05よくある質問

相手の写真がAIかどうか、自分で確かめる方法はある?

確実な方法はありません。実験では、人がAIの顔を見分けられた割合は偶然と同じくらいで、コツを教わっても6割ほどでした。写真の見た目で判断するより、「会ったことのない相手にお金を送らない」「お金の話が出たら誰かに相談する」という行動で身を守るほうが確かです。

まだお金は送っていない。それでも警察に相談したほうがいい?

相談できます。#9110は、犯罪かどうかわからない段階の相談も受け付けています。身分証の写真や住所など個人情報を送っていた場合は、悪用に備える手順を偽の求人に身分証を送ってしまったで整理しています。

「被害金を取り戻します」という広告や連絡は、本物もある?

見分けるのは難しいため、向こうから来た連絡には応じないのが安全です。研究のまとめでは、被害者を再び狙う手口として「お金を取り戻す手伝いをする」とかたる詐欺がよく見られました。相談先は、自分で調べた警察や消費生活センター、法テラス(0570-078374)を使ってください。

つらい状態が2週間以上続くときや、日常生活に支障があるときは、医療機関や、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)などの相談窓口に相談できます。

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出典

  1. Nightingale, S. J., & Farid, H. (2022). AI-synthesized faces are indistinguishable from real faces and more trustworthy. Proceedings of the National Academy of Sciences, 119(8), e2120481119. https://doi.org/10.1073/pnas.2120481119
  2. Schokkenbroek, J. M., & Snaphaan, T. (2026). Love as Bait: A Scoping Review and Crime Script Analysis of Online Romance Scams. Trauma, Violence, & Abuse, 27(4). https://doi.org/10.1177/15248380251361046
  3. Bai, J., Ho, M.-H., Sung, H.-T., Hung, C.-S., & Tsai, J.-H. (2026). Mental health and psychosocial sequelae of fraud victimization: a systematic review. Frontiers in Psychology, 17, 1805536. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2026.1805536