仕事・キャリア

パートや派遣など不安定な仕事ほど、AIで真っ先に奪われる?カナダの統計では、生成AIで時間を減らせる作業はむしろ安定した仕事に多かった

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わかっている度 ★☆☆ 低研究3本を整理出典照合済み(2026-10-20)
1918年の食料品店のレジカウンター
Photo: Poland, Clifford H., photographer / Public domain / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品の紹介や診断はしていません。出典は末尾)。

パートや派遣、契約社員として働いていると、「AIが入ったら、まず自分たちが切られるのでは」と不安になることがあります。けれど、生成AIについての研究を見ると、時間を大きく減らせる作業が多いのは、むしろ安定した仕事のほうでした。ただし、これは「AIで代わりやすい作業の多さ」を測った研究で、実際に誰が仕事を失ったかではありません。

3行でわかる

  1. カナダの約500職業を調べた研究(2021〜24年の統計)では、生成AIで時間を大きく減らせる作業の割合は、不安定さの少ない職業で平均約39%、とても不安定な職業で約21%だった。
  2. ロボットなど以前の機械化では、決まった手順の作業をする人ほど「機械に置きかえられる」不安が仕事の満足度を下げていた。生成AIでは、影響を受けやすい仕事の顔ぶれが変わっている。
  3. ただし「代わりやすさ」の目安で、実際の失業は測っていない。AIの便利さを受け取りにくい側に回らないよう、使える機会があるかを確かめておくことが手がかりになる。

01 結論から言うと不安定な仕事ほど、AIに奪われやすい?

今ある研究からは、そうとは言えません。カナダの統計では、生成AIで時間を減らせる作業は、正社員に近い安定した職業に多くありました。ただし実際に仕事がなくなるかを調べた研究ではなく、日本でも同じかは確かめられていません。

これまでの機械化では、工場の決まった手順の作業など、短い契約や低い賃金で働く人の多い仕事が影響を受けやすいとされてきました。そのため「AIも同じように、立場の弱い人から仕事を奪う」と考えるのは自然なことです。

ところが、文章を書く・まとめる・調べるといった作業を得意とする生成AIでは、話が少し違っていました。カナダの研究では、AIで時間を大きく減らせる作業は、勤務時間が安定し、契約期間の定めが少ない職業ほど多くなっていました。「不安定な仕事だから真っ先に」という見方は、少なくとも生成AIについては、データと合っていません。

02 研究とデータでわかっていることAIで代わりやすい作業は、どんな仕事に多い?

生成AIで時間を減らせる作業は、安定した職業に多く、勤務時間が週ごとに変わる職業では少なめでした。以前の機械化の研究とは、影響を受けやすい仕事の顔ぶれが違っていました。

約39%生成AIで時間を大きく減らせる作業の割合の平均(不安定さの少ない職業、カナダ・2021〜24年、他の条件をそろえた推計)
約21%同じ割合の平均(とても不安定な職業、同じ研究)
40%今の仕事の作業の一部は機械でもできると考えていた働く人(ノルウェー、2016〜19年の調査)
16ポイント仕事で対話型AIを使ったことがある割合の男女差(デンマーク・約1万8,000人、2023〜24年。女性が低い)

Jethaら(2026)[1]

カナダの労働力調査(2021〜2024年)を使い、512の職業について「不安定さ」とAIで時間を減らせる作業の割合を比べました。不安定さは、期間の決まった雇用、低い賃金、週ごとに変わる勤務時間、望まない短時間勤務の4つで測りました。4つのどれかが特に多い職業ほど、AIで時間を減らせる作業は少なめでした。男女や年齢、学歴、業種などをそろえた推計では、4つのどれも特に多くない職業で平均約39%、3つ以上が特に多い職業で約21%でした。

対象: カナダの雇われて働く人(毎月約10万人規模の国の調査)を職業ごとに集計 / 限界: 「AIで作業時間を半分にできる見込み」の目安で、実際の利用や失業は測っていない。目安はアメリカの職業データから作られている。

4つの物差しを1つずつ見ると、差がいちばん大きかったのは勤務時間の不安定さでした。勤務時間が週ごとに変わる人の少ない職業では平均約50%、多い職業では約20%でした(条件をそろえる前の値)。一方、低い賃金については、条件をそろえると、はっきりした差は残りませんでした。

研究者は、不安定な職業には、生成AIが得意な「手順を言葉にしやすい頭の作業」が少ないためではないかと考えています。生成AIは、人との直接のやりとりや、予測しにくい体の作業には使われにくいとされています。逆に言えば、これまで技術の変化から守られてきた安定した仕事が、生成AIでは影響を受けやすい側に入っています。

Schwabe・Castellacci(2020)[2]

ノルウェーの働く人数千人の調査では、40%が「今の仕事の作業の一部は、機械でもできるかもしれない」と答えていました。地域や業種に産業用ロボットが入るほど、こうした不安が強まり、その不安は今の仕事の満足度を下げていました。この結びつきは、決まった手順の作業が多い、技能の低いとされる働き手で主に見られました。

対象: ノルウェーの働く人(2016〜2019年の年1回の調査) / 限界: 調べたのは工場の産業用ロボットで、生成AIではない。不安の強さも本人の回答による。

以前の機械化では、決まった手順の作業をする人に不安とその影響が集まっていました。生成AIの研究と並べると、影響を受けやすい仕事の顔ぶれが入れ替わりつつあることがわかります。

Humlum・Vestergaard(2025)[3]

デンマークで、AIの影響を受けやすい11職種の約1万8,000人に聞いたところ、仕事で対話型AIを使った人は、AIが出てくる前から収入がやや高い傾向がありました。女性は同じ職種の男性より、仕事で使った割合が16ポイント低くなっていました。研究者は、使い始めの壁が、もともとある格差を広げていると指摘しています。

対象: デンマークの11職種の働く人(2023年11月〜2024年1月の調査を国の登録データと結合) / 限界: 調べたのは1つの対話型AIサービスの利用で、雇用の形(正社員かどうか)ごとの分析ではない。

3つの研究を合わせると、不安定な仕事の人にとっての心配は「真っ先に奪われる」ことより、AIで仕事が楽になる・速くなるといった便利さを受け取る側に入りにくいことかもしれません。Jethaらの研究者も、生産性の向上から取り残されるおそれを挙げています。仕事ごとの影響の全体像はAIに仕事を奪われるのは本当?で、職場でAIを使う人の割合は職場でAIを使っていないのは自分だけ?でまとめています。

03 まだわかっていないこと日本のパートや派遣でも同じ?

まだわかっていません。日本の雇用の形ごとに、生成AIで代わりやすい作業の割合や、実際に仕事が減ったかを調べた研究は、今回調べた範囲では確認できませんでした。

  • カナダの研究は「作業時間を減らせる見込み」の目安です。会社が実際にAIを入れたか、それで人を減らしたかは測っていません。
  • 研究は職業ごとの平均で、同じ職業の中でも、正社員と派遣で任される作業が違う場合の差はわかりません。
  • セルフレジや自動の受付機、ロボットなど、生成AI以外の自動化の影響は、この目安には入っていません。
  • AIで時間が減った分が、人を減らす方向に使われるのか、別の仕事に回されるのかを長く追った研究は、まだ少ない状態です。

04 今日からできること不安なとき、何から確かめればいい?

自分の仕事を作業に分けて、文章やデータを扱う作業がどれくらいあるかを書き出します。そのうえで契約の条件と、職場でAIを使える機会があるかを確かめておくと、漠然とした不安を具体的な確認に置きかえられます。

1

自分の仕事を作業に分けて書き出す

1日の仕事を「人と直接話す」「体を動かす」「文章やデータを扱う」「決まった連絡を送る」などに分け、それぞれのおおよその時間を書きます。研究で使われた目安も、職業を作業に分けて考えるものでした。

目安 15分、1回

2

契約の期間と更新の条件を書面で確かめる

手元の契約書や労働条件の書面で、契約の期間、更新の有無、更新するかを決める基準を確かめます。わからない点は、勤め先の担当者や派遣元の担当者に聞いておきます。

目安 10分

3

AIを使う研修や機会が自分にもあるか聞く

職場でAIの研修や試し使いがあるとき、雇用の形にかかわらず参加できるかを担当者に聞きます。研究では、使い始めの壁が、もともとある格差を広げていると指摘されていました。

目安 1回5分

4

「うわさ」と「決まったこと」を分けてメモする

「AIで人が減るらしい」と聞いたら、誰がいつ何を決めたのかを確かめ、決まったことだけをメモに残します。実際に契約や仕事が減ったときの動き方はAIの影響で仕事や契約を失ったにまとめています。

目安 気になったときに1回3分

05よくある質問

パートや派遣なら、AIで仕事がなくなる心配はない?

そうとも言い切れません。カナダの研究で不安定な職業ほど少なかったのは「生成AIで作業時間を減らせる見込み」で、実際に仕事がなくなるかは調べていません。セルフレジやロボットなど、ほかの自動化の影響もこの目安には入っていません。

正社員の事務職のほうが、AIで仕事を失いやすい?

失いやすいとまでは言えません。文章やデータを扱う作業が多い仕事ほど、生成AIで時間を減らせる作業は多くなります。ただ、それは仕事がなくなることと同じではなく、作業の中身が変わる場合もあります。研究者も、時間が空いた分を別の仕事に回せる可能性と、競争が強まる可能性の両方を挙げていました。

日本でも同じ結果になる?

確かめられていません。カナダの研究はカナダの統計とアメリカの職業データを使ったもので、日本の雇用の形ごとに同じ方法で調べた研究は、今回確認できませんでした。日本では正社員と非正規で任される作業が違う職場も多く、そのまま当てはまるとは限りません。

非正規だと、AIの研修を受けられないことがある?

職場によって違い、研究からは言えません。デンマークの調査では、使わない理由に「研修が必要」や「勤め先の制限」を挙げる人が多く、使い始めの壁が格差を広げていると指摘されていました。研修や試し使いがあるときは、自分も参加できるかを担当者に聞いてみる価値があります。

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出典

  1. Jetha, A., Liao, Q., Smith, P., Vu, V., Biswas, A., Smith, B., & Shahidi, F. V. (2026). Large language model exposure and precarious occupations: Unpacking relationships in the Canadian labor force. Scandinavian Journal of Work, Environment & Health, 52(5), 615–624. https://doi.org/10.5271/sjweh.4312
  2. Schwabe, H., & Castellacci, F. (2020). Automation, workers' skills and job satisfaction. PLOS ONE, 15(11), e0242929. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0242929
  3. Humlum, A., & Vestergaard, E. (2025). The unequal adoption of ChatGPT exacerbates existing inequalities among workers. Proceedings of the National Academy of Sciences, 122(1), e2414972121. https://doi.org/10.1073/pnas.2414972121