先生がAIで採点しているかもしれない。AIの点数は人と同じ?研究では平均の差は小さいが条件しだいで大きくずれ、内容や考え方の評価ほど一致しにくかった

先生がAIで採点しているらしい、と聞いて落ち着かない。自分の答案やレポートが、機械に正しく読まれているのか気になるのは当然です。研究では、AIと人の点数の差は平均すると小さいものの、条件によって大きくずれ、内容や考え方の評価ほど人と一致しにくいことがわかっています。点数を受け取ったときに確かめたいことも整理します。
3行でわかる
- 英語の作文と会話の試験21本の研究をまとめた分析では、AIと人の点数の平均の差ははっきりしませんでしたが、研究ごとのばらつきが非常に大きく、条件しだいでずれていました。
- 大学の生物学のレポート200本を3つのAIに採点させた研究では、文章の書き方の評価は人と84〜93%一致した一方、内容や考え方の評価では一致が下がりました。
- 研究のまとめは、AIの点数は人が確かめる使い方なら支持できるが、AIだけで成績を決める根拠はまだないとしています。気になる点数は、採点の基準を示して見直しを頼めます。
01 結論から言うとAIの採点は、人の先生と同じくらい正確?
平均すると人の点数と大きく違わない研究が多い一方、条件によって大きくずれます。文法や構成の評価は一致しやすく、内容や考え方の評価は一致しにくい傾向でした。AIだけで成績を決めてよいという根拠は、まだありません。
ここでの「AIの採点」は、作文やレポート、記述式の答えに、AIが点数やコメントをつけることです。選択式の問題を機械で読み取る採点とは別のものです。
人の先生どうしでも、同じ答案に違う点数をつけることはあります。だから研究では、AIの点数が人の点数とどれだけ一致するかを比べています。一致の度合いは、使うAI、採点の基準の細かさ、課題の種類で大きく変わっていました。
02 研究とデータでわかっていることAIの点数は、どんなときに人とずれやすい?
21本の研究のまとめでは、AIと人の点数の平均の差は小さく、統計的にはっきりしませんでした。ただし研究ごとのばらつきは非常に大きく、レポートの研究では内容や考え方の評価ほど人と一致しにくくなっていました。
Liら(2026) [1]
英語を学ぶ人の作文と会話の試験で、AIと人の採点を比べた21本の研究をまとめました。AIと人の点数の平均の差は小さく、統計的にはっきりした差はありませんでした。一方で、研究ごとのばらつきを表す値は99.95%と非常に高く、平均の数字だけでは条件による違いが見えないことがわかりました。差の大きさは、AIの種類や人の採点者の数、一致の測り方などで変わっていました。
対象: 21本の研究、合わせて401,698人分。そのうち1本が35万人を超える大きな研究 / 限界: 英語の試験の研究で、日本語の作文やほかの教科に当てはまるかはわかりません。
Naiduら(2026) [2]
米国の大学の生物学の授業で、200本のレポートを3つの対話型AIに同じ採点の基準で採点させ、教員から訓練を受けた採点担当者の点数と比べました。全体の一致はほどほどで、例を見せて採点させた条件の点数の相関は0.48〜0.54でした。文章の書き方の項目では人と84〜93%一致しましたが、内容や考え方の項目では一致が下がりました。例を見せて採点させた条件では、2つのAIが人より高い成績をつけた割合は51〜52%でした。3つのAIどうしより、それぞれのAIと人の採点者のほうが一致していました。
対象: 米国の1つの大学の授業のレポート200本 / 限界: 1つの授業で、人の採点者1人との比較です。AIの版が変わると結果も変わる可能性があります。
Alghamdi & Alghizzi(2026) [3]
2022〜2025年に発表された、第二言語の評価に対話型AIを使った52本の研究を整理しました。AIと人の点数の相関は、直接比べられた3本の研究で0.66と中くらいでした。AIのコメントを下書きの直しに使うと、14本の研究で文章の出来が少し上がっていました。研究者は、人が確かめる形の使い方は支持できるが、AIだけで重要な成績を決めることや、公平さを言い切る根拠はまだないとまとめています。
対象: 52本の研究 / 限界: 直接比べられる研究は少なく、まとめた結果も研究ごとのばらつきが大きいものでした。
Yildirim-Erbasliら(2026) [4]
カナダの大学生93人に、場面ごとに採点とコメントを人とAIのどちらにしてほしいかを聞きました。成績に大きく響く課題では84.9%が採点もコメントも人を選び、両方AIを選んだのは1.1%でした。成績への影響が小さい課題では、人を選んだのは53.8%で、AIのコメントを受け入れる人が増えました。学生が求めていたのは、AIを使うことの説明と、人が見直す機会でした。
対象: カナダの1つの大学の学生93人 / 限界: 人数が少なく、日本の学生の考えとは違うかもしれません。
03 まだわかっていないこと日本の学校のAI採点でも、同じことが言える?
日本語の作文やレポートで、AIの採点がどのくらい人と一致するかを調べた研究は、今回の調査では見つかりませんでした。ここでの研究は主に英語の試験と、海外の大学のものです。
- 日本語の作文や、小中高校の記述式の答えでAIの採点がどのくらい正確かは、まだわかっていません。
- AIの採点が、特定の書き方や、母語が違う生徒に不利になっていないかという公平さは、研究のまとめでも確かめが足りないとされていました。
- 同じAIでも、版や頼み方で点数が変わることがあります。ある時点の研究の結果が、そのまま今の採点に当てはまるとは限りません。
- AIの採点を受け続けることで、生徒の書き方や学び方がどう変わるかは、長く追った研究がほとんどありません。
04 今日からできること点数に納得できないとき、どうすればいい?
まず授業のルールで、採点にAIを使うか、人が確かめるかを確かめます。点数とコメントを採点の基準と照らし、ずれている項目を具体的に書き出してから、見直しを頼みます。AIのコメントは、書き方の確認には役立ちやすいものです。
採点にAIを使うか、人が確かめるかを聞く
シラバスや授業の案内を読み、書いていなければ先生に「採点やコメントにAIを使っていますか。最後は先生が確かめますか」と聞きます。責める聞き方でなく、確認として十分です。
目安 5分
点数を、採点の基準の項目ごとに照らす
研究では、文章の書き方より内容や考え方の評価のほうが人とずれやすいものでした。採点の基準の項目ごとに、自分の答えのどこが当てはまるかを書き出します。
目安 20分
ずれている項目だけを示して、見直しを頼む
「全体を見直してください」ではなく、「この項目は、答案のこの部分で満たしていると考えます」と具体的に書き、文字で頼みます。やりとりは残しておきます。
目安 15分
AIのコメントは、書き方の点検に使う
研究では、AIのコメントは下書きの直しで文章を少し良くしていました。誤字や構成の指摘は参考にし、内容や考え方の評価は先生のコメントを優先します。
目安 課題ごとに10分
逆に、自分の文章がAIで書いたと疑われたときは自分で書いたのに、AI判定ツールで「AIが書いた」と言われたで、先生との面談の準備はAIで書いたレポートで、先生から呼び出されたで整理しています。AIの評価で低い点がついて気持ちが落ち着かないときはAIの評価で低い点がつき、落ち込む・腹が立つも参考になります。
05よくある質問
先生がAIで採点するのは、正確なの?
英語の試験21本の研究のまとめでは、AIと人の点数の平均の差は小さく、統計的にはっきりしませんでした。ただし研究ごとのばらつきが非常に大きく、条件によってはずれていました。大学のレポートの研究では、文章の書き方より内容や考え方の評価のほうが人と一致しにくい傾向でした。
AIの採点に納得できないとき、見直しを頼んでいい?
頼んで構いません。まず授業のルールで、AIを採点に使うか、先生が最後に確かめるかを確かめます。そのうえで、採点の基準の項目ごとに、自分の答えのどこが当てはまるかを具体的に示して、文字で見直しを頼むと伝わりやすくなります。
AIの採点は、人より甘い?厳しい?
研究によって違います。米国の大学のレポートの研究では、例を見せて採点させた条件で、2つのAIが人より高い成績をつけた割合が51〜52%でした。一方で、低くつけやすいAIもありました。同じ答案でも、AIの種類や頼み方で点数が変わることがあります。
出典
- Li B, Qunhan X, Mao C (2026). Differences between human and AI scoring: A meta-analysis of english language assessments. Scientific Reports, 16, 17412. https://doi.org/10.1038/s41598-026-48053-w
- Naidu M, Montaquila NS, Roa JP, Achilli TM (2026). Evaluating large language models for rubric-based essay grading in an undergraduate biology course. Journal of Microbiology & Biology Education, 27(2), e00095-26. https://doi.org/10.1128/jmbe.00095-26
- Alghamdi LH, Alghizzi TM (2026). Conditional validity in LLM-mediated L2 assessment: an argument-based systematic review and meta-analysis. Frontiers in Research Metrics and Analytics, 11, 1908592. https://doi.org/10.3389/frma.2026.1908592
- Yildirim-Erbasli SN, Ilgun Dibek M, Thomas ML, Lesoway N (2026). When Do Undergraduate Students Prefer AI? Insights into AI Scoring and Feedback. Behavioral Sciences, 16(7), 1196. https://doi.org/10.3390/bs16071196


