創作・著作権

AIで作った画像が、他人の作品に似ていると指摘された。直後は公開を止めて生成の記録を残し、文化庁の「類似」と「依拠」で整理する

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わかっている度 ★★☆ 中研究1本・公的資料4件を整理出典照合済み(2026-10-13)
Colouring pencils
Photo: MichaelMaggs / CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関の資料をAIが調べて整理しました(法律の判断や商品の紹介はしていません。出典は末尾)。

SNSに載せた画像や、仕事で使ったAIの画像に「これ、〇〇さんの作品のパクリでは」と言われると、頭が真っ白になります。わざとではないのに、と思うのは自然なことです。文化庁の考え方では、侵害かどうかは「似ているか(類似性)」と「もとにしたか(依拠性)」の2点で判断され、指摘だけで決まるものではありません。直後にするのは、言い返すことではなく、公開を止めて記録を残すことです。

3行でわかる

  1. 文化庁の考え方では、著作権の侵害は「類似性」と「依拠性」の両方がそろったときに問題になり、作風が似ているだけでは侵害にならないとされています。
  2. AIの画像は、学習データの画像に近いものが出ることがあると、画像生成AIを調べた研究で確かめられています。文化庁の考え方では、元の作品を知らなくても、学習に使われていれば依拠性が推認され得るとされています。
  3. 指摘された直後は、公開を一時止め、プロンプトなど生成の記録を保存し、判断の言葉は相談窓口で確かめてから伝えるのが落ち着いた順番です。

01 結論から言うと「パクリでは」と指摘されたら、まず何をする?

指摘された直後は、反論や謝罪の前に、①公開を一時止める ②生成の記録を保存する ③相手の作品と並べて確かめる、の3つを先にします。侵害かどうかは、文化庁の考え方では類似性と依拠性の両方で判断されます。

指摘の時点では、まだ何も決まっていません。文化庁の考え方では、似ているかどうかは「既存の作品の表現上の本質的な特徴を直接感じ取れるか」で判断されるとされています[1]。作風や画風といったアイデアが似ているだけで、表現が似ていなければ侵害にはならないとされています[1]。

一方で、AIならではの注意点もあります。文化庁の考え方では、使った人が元の作品を知らなくても、その作品がAIの学習に使われていた場合は、通常、依拠性があったと推認され得るとされています[1]。「知らなかった」だけでは答えにならない場面がある、ということです。

また、使うのをやめるよう求める「差止め」は、故意や過失がなくても請求できるとされています[1]。公開を止めるのは、非を認めることではありません。確かめる時間をつくるための一時停止です。

この記事は、AIで作ったものが「似ていると言われた側」の直後の対応です。使う前の確認はAIで作った文章や画像を仕事で使っても大丈夫?、自分の絵をまねされた側の話は自分の絵をAIにまねされたにまとめています。

02 研究とデータでわかっていることAIの画像が他人の作品に似ることは本当にある?

あります。2022年時点の画像生成AI(Stable Diffusion v1.4)を調べた研究では、作った画像の約1.88%が学習データの画像と高い類似度を示し、背景や物をそのまま使った例も見つかりました。

2つ侵害の判断で見られる点。類似性と依拠性(文化庁、2024年)
約1.88%学習データの画像との類似度が0.5を超えた生成画像(Stable Diffusion v1.4で9,000件を生成、2023年発表)
0.6%未満その研究が実際に照合できた学習データの割合。研究者は似た例の数を少なめに見積もっていると述べています

文化庁の考え方をもとに、「似ていると言われた側」が整理しておきたい点をまとめると次のとおりです[1][2]。

あなたの状況文化庁の考え方
作品名・キャラクター名・その画像を指示に入れた元の作品を認識していたと推認させる事情になり、依拠性が認められやすくなる[1][2]
元の作品を知らなかったが、AIの学習に使われていた通常、依拠性があったと推認され、侵害になりうる。ただし技術的な仕組みしだいで依拠性が否定される場合もあり得る[1]
元の作品を知らず、学習にも使われていなかった偶然の一致として、依拠性は認められないと考えられる[1]
作風や雰囲気が似ているだけアイデアが似ているだけで表現の類似性がなければ、侵害にはならない[1]

文化審議会 著作権分科会 法制度小委員会(2024)[1]

侵害が認められても、どんな措置を受け得るかは故意・過失の有無で変わるとされました。差止めは故意・過失を問わず可能で、損害賠償には故意か過失が、刑事罰には故意が必要とされています。

元の作品を知らず、故意・過失が認められない場合は、差止めにとどまると考えられています。それでも、使用料に相当する額などの返還(不当利得の返還)が認められることはあり得るとされています。

対象: 現行の著作権法の解釈(2024年3月15日公表) / 限界: 文書自体に法的な拘束力はなく、生成AIと著作権を直接扱った判例・裁判例は公表時点で乏しいとされています。

文化庁著作権課(2024)[2]

AIを使う人に向けて、依拠性がないことを説明できるよう、使ったプロンプトなど生成の過程を確認できる状態にしておくよう努めることが望まれるとしています。

さらに、仮に侵害が生じたときの対応(AIサービスの利用停止・再開、権利者への対応など)も、あらかじめ想定して検討しておくことが望まれるとしています。

対象: AIを業務で使う人・業務外で使う一般の人 / 限界: 望ましい取り組みの整理で、すべて実施すれば責任を問われないという意味ではないと資料自体に書かれています。

Somepalliら(2023, CVPR)[3]

画像生成AI(Stable Diffusion v1.4)に、学習データから取った9,000件の説明文を入れて画像を作り、学習データと照合しました。類似度が0.5を超えた画像は約1.88%(約170枚)で、この水準を超えると、物や背景をそのまま使ったコピーがかなり見られました。

データセットの中で何度も重複していた画像ほど、コピーされやすい傾向が見られました。

対象: 2022年時点の1つのモデルと、学習データのうち約1,200万枚の部分集合 / 限界: 照合できたのは学習データ全体の0.6%未満で、今のサービスでどのくらいの頻度で起きるかを測ったものではありません。

03 まだわかっていないことどこから「似すぎ」になるかは決まっている?

決まっていません。文化庁の考え方では、何が「表現上の本質的な特徴」に当たるかは個別の事例ごとに判断されるとされ、生成AIを直接扱った裁判例も公表時点で乏しいとされています。

  • 学習に使われていても、技術的な仕組みしだいで依拠性が否定される場合があり得るとされていますが、それでも依拠性は否定されないという意見もあったと記されています[1]。
  • 使ったAIの学習データに相手の作品が含まれていたかを、利用者が確かめる方法は限られます。文化庁の資料は、開発者の開示情報から確認できる場合や、訴訟上の手続で開示を求められる場合があるとしています[2]。
  • 今使われている画像生成サービスで、既存の作品にそっくりな画像がどのくらいの頻度で出るかを測った研究は、今回の調査では見つかりませんでした。

04 今日からできること指摘された当日に、できることは?

当日は、公開を一時止め、生成の記録を保存し、相手の作品と並べて確かめ、相手には事実と次の動きだけを伝えます。仕事で使った画像なら、依頼主や上司にも早めに共有します。

1

公開を一時止める(消す前に保存)

投稿は非公開や下書きに切り替えます。完全に消す前に、投稿の画面、指摘のコメント、日時をスクリーンショットで残します。

目安 5〜10分

2

生成の記録を1つのフォルダに集める

使ったサービス名、生成した日、プロンプト、入力した画像の有無、ほかの候補、自分で加えた編集を保存します。文化庁の資料は、依拠性がないことを説明できるよう、プロンプトなど生成の過程を確認できる状態にしておくことを挙げています。

目安 15〜30分

3

相手の作品と並べて、どこが似ているか書き出す

構図・描かれた物・背景など具体的な表現が一致しているのか、作風や雰囲気が近いだけなのかを分けてメモします。指示に作品名・作家名・キャラクター名・その画像を入れていなかったかも確かめます。

目安 15分

4

相手への最初の返事は、事実と次の動きだけにする

例:「ご指摘ありがとうございます。確認のため公開を止めました。確認できしだいご連絡します」。侵害かどうかを言い切る言葉は、相談窓口で確かめてからにします。

目安 5分

5

仕事で使った画像なら、当日中に共有する

依頼主や上司に、使った場所・指摘の内容・止めた対応を伝えます。印刷物など止めるのに時間がかかる使い道も先に洗い出します。

目安 当日中に1回

困ったときの相談先
文化庁「文化芸術活動に関する法律相談窓口」(Webフォーム): 芸術家以外のAI利用者も対象に、AIと著作権の相談を受け付けています。文化庁の資料では、AIと著作権に関する無料の弁護士相談を提供しているとされています[2][4]。
法テラス・サポートダイヤル(0570-078374、平日9〜21時・土曜9〜17時、祝日・年末年始を除く): どこに相談すればよいかわからないとき[5]。

自分で描いた絵が逆に「AIだ」と疑われたときの対応は、自分で描いた絵を「AIだ」と疑われたにまとめています。

05よくある質問

知らない作品に似てしまっただけでも、著作権侵害になるの?

文化庁の考え方では、AIの利用者が元の作品を知らなくても、その作品がAIの学習に使われていた場合は、通常、依拠性があったと推認され、侵害になりうるとされています。ただし、故意や過失がなければ損害賠償や刑事罰の対象にはならず、差止め(使うのをやめる請求)にとどまると考えられています。使用料に相当する額の返還が認められることはあり得るとされています。

「作風が似ている」と言われただけなら、問題ないの?

文化庁の考え方では、作風や画風といったアイデアが似ているだけで、既存の作品との類似性が認められない生成物は、著作権侵害にはならないとされています。ただし、どこまでがアイデアでどこからが表現かは、個別の事例ごとに判断されます。構図や描かれた物など具体的な表現が一致していないか、並べて確かめることが勧められます。

投稿を消せば、それで終わりになる?

それだけで終わるとは限りません。文化庁の考え方では、元の作品を知らなかった場合でも、使用料に相当する額の返還が認められることがあり得るとされています。消す場合も、消す前に投稿の画面や生成の記録を保存しておくと、あとで経緯を説明する材料になります。

AIのサービス会社には責任はないの?

文化庁の資料では、侵害の責任は原則として生成・利用した人が負うとされています。一方で、そのAIが侵害物を高い頻度で生成する場合など、一定の場合にはAIの開発者や提供者が責任を負う場合もあるとされています。どちらに当たるかは事情を総合して判断されます。

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出典

  1. 文化審議会著作権分科会法制度小委員会 (2024). AIと著作権に関する考え方について(令和6年3月15日). https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/chosakuken/pdf/94037901_01.pdf
  2. 文化庁著作権課 (2024). AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス(令和6年7月31日). https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/pdf/94097701_01.pdf
  3. Somepalli, G., Singla, V., Goldblum, M., Geiping, J., & Goldstein, T. (2023). Diffusion Art or Digital Forgery? Investigating Data Replication in Diffusion Models. Proceedings of the IEEE/CVF Conference on Computer Vision and Pattern Recognition (CVPR), 6048-6058. https://doi.org/10.1109/CVPR52729.2023.00586(公開版: https://arxiv.org/abs/2212.03860)
  4. 文化庁. 文化芸術活動に関する法律相談窓口. https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunka_gyosei/kibankyoka/madoguchi/index.html
  5. 日本司法支援センター(法テラス). 法テラス・サポートダイヤル. https://www.houterasu.or.jp/