先生の採点やコメントがAIだったら、納得できない?研究では、同じ点数でも「AIが付けた」と聞いた中学生は公平さを低く感じ、理由の説明があると納得が上がっていた

返ってきたテストの点数やレポートのコメントが、先生ではなくAIの作ったものだとわかった。なんとなく納得できず、もやもやする。そう感じるのは、あなただけではありません。研究からは、そのもやもやがどこから来るのかと、受け取り方を整える手がかりが見えてきます。
3行でわかる
- 中国の中学1年生250人の実験では、同じ数学の宿題の採点(10点中6点)でも、「AIが付けた」と聞いた組は「先生が付けた」と聞いた組より、公平さと納得の評価が低かった。
- 同じ実験で、採点の理由を説明された組は、先生でもAIでも公平さと納得の評価が上がっていた。カナダの大学生93人の調査でも、成績に大きく効く課題ほど、人の採点を望む人が多かった。
- もやもやしたら、まず減点の理由を聞く。AIのコメントは「直す材料」として1つずつ使うかを決め、点数に納得できないときは人が見直す手続きがあるかを確かめる。
01 結論から言うとAIの採点に、もやもやするのはおかしい?
おかしくありません。実験では、同じ点数でも「AIが付けた」と聞くだけで公平さを低く感じる傾向が出ていました。ただし、理由の説明があると納得は上がっており、もやもやは確かめ方しだいで小さくできます。
ここで知っておきたいのは、研究の多くが「採点やコメントの中身」ではなく、「誰が付けたと思うか」で受け取り方が変わるかを調べている点です。まったく同じ点数や同じコメントでも、出どころがAIだと聞くと、低めに見積もる傾向が見られました。
つまり、もやもやの一部は「中身が悪いから」ではなく、「AIだから」という受け止め方から来ている可能性があります。逆に、AIだから正しいとも限りません。AIの採点の正確さそのものは、先生がAIで採点しているかもしれない。AIの点数は人と同じ?で整理しています。この記事では、受け取る側の気持ちと、その整え方を扱います。
02 研究とデータでわかっていること「AIが付けた」と聞くと、受け取り方は変わる?
変わる傾向があります。中学生の実験では、AIが付けたと聞いた組で公平さと納得が下がりました。一方、留学生の実験では、AIのコメントだと聞いた組のほうが語句をよく置き換えており、受け取り方と使い方は別でした。
Zhang・Fan・Qi(2026)[1]
中学1年生に「昨日の数学の宿題が10点中6点だった」という場面を読んでもらい、採点したのが先生かAIか、理由の説明があるかないかを変えて4組で比べました。AIが付けたと聞いた組は、公平さ(5段階で平均2.99)も、結果を受け入れる気持ち(7段階で平均3.47)も、先生の組(3.58と4.48)より低くなりました。
対象: 中国の中学校の1年生250人(4つの学級をそれぞれの条件に割り当て) / 限界: 読んで想像する実験で、点数は低めの6点だけ。著者らは、高い点数なら差は小さくなるかもしれないと述べている。
同じ実験では、採点の理由を説明された組で、公平さの評価が先生でもAIでも上がっていました(先生は3.17から3.99へ、AIは2.86から3.11へ)。ただし説明による上がり方は先生のほうが大きく、説明があると先生とAIの差はむしろ広がっていました。「理由がわかると納得しやすい」のは、採点した相手がAIでも同じだったと言えます。
Yu(2026)[2]
全員に同じAIのコメントを渡し、半分には「AIのコメント」、残り半分には「経験のある先生のコメント」と伝えました。先生と聞いた組は、正確さや役立ち度などを少し高めに評価しましたが、統計的にはっきりした差ではありませんでした。一方で、AIと聞いた組のほうが、語句の置き換えを多くしていました(平均11.0回と7.6回)。
対象: 中国の公立大学で中国語を学ぶ、上級の留学生52人(無作為に2組に分けた) / 限界: 人数が少なく、作文1本への1回のコメントだけを調べた。
著者は、AIのコメントには「先生にどう思われるか」を気にせず、気軽に手を入れやすい面があるのかもしれないと考えています。評価は低めでも、使う量は減っていなかったということです。
Yildirim-Erbasliら(2026)[3]
大学生93人に、いろいろな課題の場面で「点数とコメントを人とAIのどちらに付けてほしいか」を選んでもらいました。成績の40%を占める最終レポートでは81.7%が「どちらも人」を選び、「どちらもAI」は4.3%でした。一方、締め切り前に24時間以内で結果がもらえる選択肢では、37.6%が「どちらもAI」を選んでいました。
対象: カナダの大学の学部生93人(研究参加の登録制度から募集) / 限界: 1つの大学のアンケートで、実際の成績で比べたものではない。
大事な評価ほど人に見てほしく、急ぎの下書きや成績に関わらない練習ならAIでもよい。学生の好みは「AIか人か」の二択ではなく、場面によって変わっていました。この調査の学生は、人が見直す機会や、AIをどう使ったかの説明も求めていました。
Boies(2026)[4]
生物学の授業で、生成AI(ChatGPT)、同級生、先生のコメントを比べました。下書きの段階では、AIの評価は先生と中くらいに一致していましたが、書き直した後は、内容の正確さなど深い部分で先生とずれることが多くなりました。学生は、先生のコメントをAIや同級生のコメントより役立ち、信頼できると感じていました。
対象: 米国の大学の生物学の3つの授業の学生 / 限界: 探索的な研究で、授業や課題の種類によって結果が変わっていた。
03 まだわかっていないことAIの採点で、先生への信頼は下がる?
まだわかっていません。今回の研究は短い実験や1回のアンケートで、日本の学校や、実際の成績が長く続く場面を追ったものは見つかりませんでした。
- 日本の小中学生・高校生・大学生を対象に、AIの採点やコメントの受け止め方を調べた研究は見つからなかった。
- 先生が「AIを下書きに使い、最後は自分で確かめた」と伝えた場合に、受け止め方がどう変わるかは、まだはっきりしない。
- 点数が高いときや、何度もAIのコメントを受けたあとで、もやもやが小さくなるのかはわかっていない。
- AIと聞いた組のほうが多く書き直したという結果が、文章の上達につながったのかは、調べられていない。
04 今日からできることもやもやしたとき、何をすればいい?
理由を聞き、コメントを1つずつ使うか決め、納得できない点数は人が見直す手続きを確かめます。どれもお金はかからず、10分ほどで始められます。
点数の「理由」を聞く
「どこで何点引かれたか」「評価の基準(ルーブリック)はどれか」を先生に聞きます。研究では、説明があるとAIの採点でも公平さと納得の評価が上がっていました。
目安 質問1回・5分
AIのコメントは「直す材料」として仕分ける
コメントを1つずつ読み、「直す」「直さない」「先生に聞く」に分けます。出どころより中身で判断する練習になります。内容の正確さや考え方の部分は、AIと先生でずれやすいので、迷ったら先生に聞きます。
目安 コメント1つにつき1分
「AIだから低く見ていないか」を一度だけ確かめる
同じ内容でも、AIと聞くと低めに見えやすいことがわかっています。そのコメントが先生の名前で返ってきたとしたらどう感じるか、一度だけ想像してみます。
目安 30秒
人が見直す手続きがあるかを確かめる
点数に納得できないときは、先生が見直してくれるのか、学校の手続きがあるのかを確かめます。不正を疑われた場合の手続きはAIを使ったとされ、課題が0点や不合格になったにまとめています。
目安 シラバスや学校の案内を見る・10分
05よくある質問
先生がAIで採点やコメントを作るのは、ずるいの?
ずるいかどうかは、学校や授業でどう決めているかによります。AIを下書きに使い、先生が確かめてから返すやり方もあります。気になるときは「どこにAIを使っているか」「最後は誰が確かめているか」を聞いてかまいません。
AIのコメントと先生のコメント、どちらを信じればいい?
どちらかを丸ごと信じるより、1つずつ確かめるのが確かです。生物学の授業の研究では、下書きの段階ではAIと先生の評価が中くらいに一致していましたが、書き直した後の内容の正確さなどでは、ずれることが多くなっていました。迷うところは先生に聞きます。
「AIが付けた点数だから無効」と言える?
AIが付けたことだけを理由に、点数が無効になるとは限りません。まずは減点の理由と評価の基準を聞き、それでも納得できなければ、人が見直す手続きがあるかを確かめるのが現実的です。
AIのコメントのほうが気軽に直せるのは、悪いこと?
悪いことではありません。留学生の実験では、AIのコメントだと聞いた組のほうが語句をよく置き換えていました。人の目を気にせず手を入れられるのは利点になりえます。ただ、それで文章がうまくなったかは、まだ調べられていません。
出典
- Zhang Z, Fan S, Qi C (2026). Teacher or Artificial Intelligence? The Effect of Decision-Making Agent on Junior High School Students' Decision Acceptance: A Moderated Mediation Model. Behavioral Sciences, 16(7), 1227. https://doi.org/10.3390/bs16071227
- Yu H (2026). Students' psychological biases towards teacher and AI-generated feedback: an experimental study. BMC Psychology, 14, 818. https://doi.org/10.1186/s40359-026-04568-5
- Yildirim-Erbasli SN, Ilgun Dibek M, Thomas ML, Lesoway N (2026). When Do Undergraduate Students Prefer AI? Insights into AI Scoring and Feedback. Behavioral Sciences, 16(7), 1196. https://doi.org/10.3390/bs16071196
- Boies L (2026). Evaluating Artificial Intelligence, Peer, and Instructor Feedback Across Scientific Communication Assignments in Undergraduate Biology. Ecology and Evolution, 16(9), e74365. https://doi.org/10.1002/ece3.74365


