創作・著作権

AIを使ったことを伏せて投稿した作品が知られ、批判された。研究では、自分で明かすより他人に暴かれたほうが信頼は下がり、直後は表示の追加と短い説明から始める

約10分で読めます

わかっている度 ★★☆ 中研究5本・公的資料0件を整理出典照合済み(2026-10-18)
スケッチブックに鉛筆で描かれた田舎の家
Photo: Members of the Lines family tbc / Public domain / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品の紹介や診断はしていません。出典は末尾)。

AIを使って作った絵や文章を、そのことを書かずに投稿していた。それが知られて、コメント欄やSNSで批判が続いている。そんなとき、怖さと後悔で、消して逃げたくなるのは自然なことです。研究では、AIを使ったと自分で明かしても信頼は下がりますが、他人に暴かれたときはもっと大きく下がっていました。直後にできるのは、言い返すことより、表示を足して、何をAIに任せたかを短く説明することです。

3行でわかる

  1. 13の実験を行った研究では、AIを使ったと明かした人は信頼されにくくなりましたが、他人に暴かれた場合のほうが信頼の下がり方は大きくなっていました。
  2. 同じAIの絵でも「AIが作った」と表示されるだけで、価値や深みの評価が下がりました。批判の一部は、作品の出来ではなく「AI」という表示そのものへの反応です。
  3. 直後にやることは3つです。作品にAIを使ったことを書き足すこと、何をAIに任せたかを短く説明して謝ること、言い返さずに記録を残して距離を置くことです。

01 結論から言うとAIを伏せた投稿が知られて批判されたら、まず何をする?

まず、作品にAIを使ったことを書き足し、何をAIに任せたかを短く説明します。研究では、AIの利用を他人に暴かれると、自分で明かしたときより信頼が大きく下がりました。これ以上「隠していた」と見られない形に早めに切りかえることが出発点です。

AIを使った作品の表示について、投稿サイトやコンテストが独自の決まりを設けていることがあります。まず、自分が投稿した場所の規約を確かめます。

研究では、絵を好きか、美しいと感じるかの評価が、作者の手間や作品の背後にある物語を感じるかどうかと関わっていました。だからこそ、AIを使ったことが後から知られると、「だまされた」と感じる人が出やすいと考えられます。

ここで消してしまうと、「やはり隠そうとした」と受け取られることがあります。まず表示と説明で事実をそろえ、作品を残すか消すかは、そのあとに落ち着いて決めます。

02 研究とデータでわかっていることAIの利用を他人に暴かれると、信頼はどう変わる?

自分で明かしても信頼は下がりますが、他人に暴かれたほうが下がり方は大きいと、13の実験を行った研究が示しています。AIの表示は絵の評価を下げ、謝罪は信頼を一部取り戻していました。

13の実験AIを使ったと明かした人の信頼を調べた実験の数(1本の論文、2025年発表)。他人に暴かれたほうが信頼の下がり方は大きかった
d=0.61同じAIの絵で「人が作った」と表示したときの「価値」の評価の上がり方(ネット調査の参加者150人、2023年発表)
7.4→11.7枚裏切りのあとに相手へ預けたトークン(20枚中)。謝罪なしと謝罪ありの平均(中国の大学生221人、2019年発表)
17.5→11.9時間Twitterで話題の上位50に入ったハッシュタグが、上位にとどまった平均の時間(2013年と2016年)

SchilkeとReimann(2025)[1]

仕事の連絡、データの分析、作品づくりなど、さまざまな場面で、AIを使ったと明かした人がどう見られるかを13の実験で調べました。13の実験で一貫して、AIを使ったと明かした人は、明かさなかった人より信頼されにくくなりました。

ただし、AIの利用が第三者に暴かれた場合は、自分で明かした場合よりも信頼の下がり方が大きくなっていました。明かすのが自分の意思でも、決まりで求められた場合でも、信頼は下がっていました。

対象: 13の実験の参加者(学生・採用担当者・投資家など、評価する側の立場を変えて調査) / 限界: SNSで作品が批判された場面そのものを調べたものではありません。

Bellaicheら(2023)[2]

実際にはすべてAIが作った絵に、「人が作った」か「AIが作った」の表示をランダムに付けて評価してもらいました。「人が作った」と表示された絵は、好き・美しさ・深み・価値のすべてで評価が高くなりました。差が大きかったのは価値(d=0.61)と深み(d=0.47)で、好き(d=0.17)や美しさ(d=0.22)は小さめでした。

2つ目の実験では、作品の背後にある物語や作者の手間を感じるかどうかが、好きと美しさの評価の差と関わっていました。価値と深みの差には、AIへの考え方が関わっていました。

対象: 1つ目の実験はネット調査サービスで集めた150人、2つ目は英語を母語とする151人 / 限界: 同じ絵の表示だけを変えた実験で、作者がAIの利用を伏せていた場面を調べたものではありません。

Maら(2019)[3]

トークンを相手に預けるゲームで、相手が1枚も返さない裏切りを経験させました。2回目に預けたトークン(20枚中)は、裏切りなしで平均16.4枚、裏切りのあと謝罪なしで7.4枚、謝罪の手紙を受け取った場合は11.7枚でした。謝罪は信頼を一部戻しましたが、元の水準には届いていません。

対象: 中国の大学生221人 / 限界: 実験室のゲームで、作品の公開をめぐる批判ではありません。否定的な気持ちが強かった人では、謝罪によって相手の印象はよくなっていませんでした。

Bradyら(2021)[4]

Twitterの7,331人、1,270万件の投稿を分析し、怒りを表す投稿に「いいね」や共有が多くつくと、その人は翌日も怒りの投稿をしやすくなることを示しました。反応が2倍になると、翌日の怒りの投稿が2〜3%増える計算です。

対象: Twitterの利用者の観察研究2つと、240人の実験2つ / 限界: 政治や社会の出来事への怒りを調べた研究で、作品への批判を直接扱ったものではありません。

Lorenz-Spreenら(2019)[5]

Twitterで1時間ごとの上位50に入ったハッシュタグが上位にとどまった時間は、2013年の平均17.5時間から、2016年には11.9時間に短くなっていました。書籍や映画など他のデータでも、話題が注目される期間は短くなる傾向でした。

対象: 2013〜2016年の世界のTwitterのハッシュタグなど / 限界: 世界で広く話題になった項目の平均で、一人の作者への批判がいつ収まるかを示すものではありません。

研究を、AIを伏せていたことが知られた場面に当てはめると、次のように整理できます。

起きていること研究でわかったこと
「隠していた」と強く責められる他人に暴かれたほうが、自分で明かすより信頼の下がり方が大きかった[1]
作品そのものの評価まで下がった同じ絵でも「AI」の表示だけで価値や深みの評価が下がった[2]
謝っても許されない気がする謝罪で信頼は一部戻ったが、元の水準には届かなかった[3]
反論するほど批判が増える怒りの投稿は「いいね」や共有がつくほど続きやすかった[4]

03 まだわかっていないこと説明や謝罪をすれば、作品の評価は戻る?

AIの利用を伏せていたことが知られたあと、説明や謝罪でどこまで信頼や作品の評価が戻るかを調べた研究は、今回調べた範囲では見つかりませんでした。謝罪の効果は、実験室のゲームでわかっていることです。

  • AIをどこまで使ったら表示すべきかは、投稿の場やコンテストごとに決まりが違い、研究でも見る人の受け止め方の基準ははっきりしていません。
  • 紹介した研究は米国・中国・世界のTwitterなどのものです。日本の創作コミュニティで同じ結果になるかはわかっていません。
  • 批判がどのくらいの期間で収まるかは、話題の広がり方や作者の対応で大きく変わると考えられ、個人の場面を予測する研究はありません。

04 今日からできること批判が続く直後に、何から手をつける?

直後にやるのは、AIを使ったことを作品に書き足すこと、何をAIに任せたかを短く説明して謝ること、言い返さずに記録を残して距離を置くことの3つです。どれもお金はかからず、最初の2つは今日のうちに30分ほどでできます。

1

作品の説明に、AIを使ったことを書き足す

投稿の説明文やタグに「AIを使って作成」と足します。投稿サイトやコンテストの規約に、AI作品の表示やタグの決まりがあれば、それに合わせます。表示の考え方は「AIで作った画像を「自分の作品」として投稿してもいい?」にまとめています。

目安 作品1点につき2〜3分、気づいたその日に

2

何をAIに任せたかを、言い訳なしで短く説明する

「下絵はAIで作り、色と仕上げを自分で描きました。表示していなかったのは私の判断の誤りです」のように、AIの使い方と伏せていたことを分けて書きます。依頼や応募にかかわる作品なら、その相手には個別に連絡します。研究では、謝罪は信頼を一部取り戻していました。

目安 20〜30分、1回だけ書く

3

言い返さず、ひどい書き込みは記録して距離を置く

研究では、怒りの投稿は反応がつくほど続きやすくなっていました。一つずつ言い返して話題が続くと、その反応を増やすことも考えられます。説明を出したあとは、通知を切るか見る時間を決めます。脅しや個人情報をさらす書き込みは、URLと日時がわかる画面を保存し、サイトの通報やブロックを使います。

目安 記録は1件1分、確認は1日1回まで

脅されている、住所や本名をさらされたなど、身の安全にかかわるときは、一人で抱えずに警察や公的な相談窓口に相談します。自分の絵を「AIだ」と誤って疑われた場合の対応は「自分で描いた絵を「AIでしょ」と疑われた」、仕事の場で信頼を失ったときの立て直しは「AIの間違いを仕事で出して、信頼を失った」も参考になります。

05よくある質問

AIを使ったことを隠して投稿していた作品は、全部消したほうがいい?

すぐに全部消すと「隠そうとした」と受け取られることがあります。まず作品の説明にAIを使ったことを書き足し、何をAIに任せたかを説明してから、残すか消すかを落ち着いて決めます。投稿サイトやコンテストの規約で表示や取り下げの決まりがあれば、それに従います。

謝ったら、かえって批判が増えない?

中国の大学生221人の実験では、裏切りのあと謝罪を受け取った人は、謝罪なしの人より相手に多くのトークンを預けました(20枚中、平均11.7枚と7.4枚)。ただし元の水準(16.4枚)には届きませんでした。謝罪は信頼を一部戻す手段で、すぐに全員が納得するものではありません。

最初からAIを使ったと書いていれば、批判されなかった?

批判されなかったとは言えません。13の実験を行った研究では、自分でAIの利用を明かした人も、明かさなかった人より信頼されにくくなりました。ただ、他人に暴かれた場合のほうが信頼の下がり方は大きかったので、これからは最初に表示しておくほうが傷は小さいと考えられます。

批判がいつまで続くか不安。

一人の作者への批判がいつ収まるかを予測した研究はありません。参考に、Twitterで話題の上位50に入ったハッシュタグが上位にとどまった時間は、2016年に平均11.9時間でした。説明を出したら、見る時間を決めて反応を追い続けないようにします。

「創作・著作権」を順に読む
知る → 備える → 起きたとき(この記事) → 立て直す
この悩みのガイドを見る

出典

  1. Schilke O, Reimann M (2025). The transparency dilemma: How AI disclosure erodes trust. Organizational Behavior and Human Decision Processes, 104405. https://doi.org/10.1016/j.obhdp.2025.104405
  2. Bellaiche L, Shahi R, Turpin MH, Ragnhildstveit A, Sprockett S, Barr N, Christensen A, Seli P (2023). Humans versus AI: whether and why we prefer human-created compared to AI-created artwork. Cognitive Research: Principles and Implications, 8, 42. https://doi.org/10.1186/s41235-023-00499-6
  3. Ma F, Wylie BE, Luo X, He Z, Jiang R, Zhang Y, Xu F, Evans AD (2019). Apologies Repair Trust via Perceived Trustworthiness and Negative Emotions. Frontiers in Psychology, 10, 758. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2019.00758
  4. Brady WJ, McLoughlin K, Doan TN, Crockett MJ (2021). How social learning amplifies moral outrage expression in online social networks. Science Advances, 7, eabe5641. https://doi.org/10.1126/sciadv.abe5641
  5. Lorenz-Spreen P, Mønsted BM, Hövel P, Lehmann S (2019). Accelerating dynamics of collective attention. Nature Communications, 10, 1759. https://doi.org/10.1038/s41467-019-09311-w