創作・著作権

AIを使う絵描きは、作品が増えて評価も上がる?研究では投稿とお気に入りは伸びたが、題材や見た目の目新しさは平均で下がっていた

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わかっている度 ★★☆ 中研究4本を整理出典照合済み(2026-10-18)
絵筆
Photo: Hans Bernhard (Schnobby) / CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(法的な判断や商品の紹介はしていません。出典は末尾)。

周りの絵描きがAIを使い始め、投稿の数もお気に入りの数も伸びている。自分だけ取り残されるのでは、と焦る人は少なくありません。大きな作品投稿サイトのデータを使った研究では、AIを使い始めた人は作品の数と評価が伸びた一方、作品の題材や見た目の目新しさは平均で下がっていました。数字の中身と、まだわかっていないことを整理します。

3行でわかる

  1. 5万人以上の作品400万点超を調べた研究では、画像生成AIを使い始めた人は投稿が約25%増え、閲覧あたりのお気に入りは約50%増えていました。
  2. ただし、作品の題材と見た目の目新しさは平均で下がり、似た作品が増える傾向がありました。評価が伸びやすかったのは、新しい題材を探せていた人でした。
  3. 人が描いた絵とAIだけで作った絵を、作り手を伏せて比べた実験では、絵を学んだ人の絵が最も創造的と評価されました。AIの結果は、人が出した案を入れると良くなっていました。

01 結論から言うとAIを使う絵描きのほうが、評価で得をする?

作品投稿サイトの研究では、AIを使い始めた人は投稿の数とお気に入りが伸びました。ただし目新しさは平均で下がり、得をしたのは新しい題材を探せた人でした。AIを使えば誰でも伸びる、という結果ではありません。

ここでの「評価」は、同じサイトの利用者がつけたお気に入りの割合です。作品の芸術的な価値や、売り上げ、仕事の依頼を測ったものではありません。

研究からわかるのは、AIで作品を作る速さが上がると、数が増え、似たものも増えやすいということです。その中で目立つのは、何を描くかという題材を自分で広げられた人でした。

AIの絵と比べて自信をなくした気持ちの面は、姉妹メディアのAI時代のメンタルヘルスで扱っています。ここでは、作品と評価のデータに絞ります。

02 研究とデータでわかっていることAIを使うと、作品の数・評価・新しさはどう変わる?

AIを使い始めた人は、投稿が約25%、閲覧あたりのお気に入りが約50%増えました。一方で、題材と見た目の目新しさは平均で下がりました。新しい作品の数は増えましたが、作品1点あたりで新しいものが出る割合は下がっていました。

約25%画像生成AIを使い始めた人の投稿の増え方(作品投稿サイトの5万人以上・400万点超、2024年の論文)
2%→3%同じ人たちの、閲覧1回あたりお気に入りがつく割合。使い始めて6か月目まで
31,076人2021年8月〜2023年12月の作り手を追った続きの研究の人数
255人作り手を伏せて、人の絵とAIの絵1,000点の創造性を評価した人数(2026年の実験)

Zhou & Lee(2024) [1]

大きな作品投稿サイトで、画像生成AIを使い始めた人と使っていない人を比べました。使い始めた人は投稿が約25%増え、閲覧1回あたりお気に入りがつく割合は、使う前の平均2%から6か月目に3%へ、約50%上がりました。一方で、描かれた題材の目新しさと、色や形といった見た目の目新しさは、どちらも平均で下がっていました。題材の目新しさの最大値は上がっており、一部の作品は新しい領域に広がっていました。

対象: 5万人以上の作り手の作品400万点超。AIの利用は作品のタグなどから判定 / 限界: 1つのサイトのデータで、「評価」は利用者のお気に入りです。題材を探せた人ほど評価が伸びた、という部分は相関の分析です。

Zhou, Lee & Gu(2025) [2]

同じ種類のサイトで、AIを使う作り手と、条件をそろえた使っていない作り手を比べました。AIを使う側は、作品の数が増えたぶん、それまでにない新しい作品の数も多くなりました。ただし作品1点あたりで新しいものが出る割合は下がり、研究者はこれを「薄まる効果」と呼んでいます。数が増えたこと以上に、AIと人の組み合わせで新しさが上乗せされた証拠は見つかりませんでした。初めは一部の作り手に新しい作品が集中し、のちに多くの作り手に広がっていました。

対象: 31,076人の作り手、2021年8月〜2023年12月 / 限界: 新しさは作品から取り出した題材の言葉で測っています。見た目の美しさや技術は測っていません。

Rondiniら(2026) [3]

同じ12個の抽象的な図形を見て思い浮かんだ絵を、絵を学んだ人27人と学んでいない人26人が描き、画像生成AIにも2つの条件で作らせました。作り手を知らされない255人が創造性を評価すると、絵を学んだ人、学んでいない人、人の案を入れたAI、案を入れないAIの順でした。人の案を入れると、AIの絵は学んでいない人の絵に近い評価まで上がりました。

対象: スペインの研究機関の実験。描いた人53人と、1,000点の絵 / 限界: 1つの課題と1つの画像生成AIでの結果です。作品として仕上げた絵の比較ではありません。

文章でも似た結果があります。短い物語を書く実験では、AIの案を見られた人の物語は、読んだ人から少し新しいと評価されました。案を5つまで見られた組では、新しさの評価が8.1%高くなりました。ところが物語どうしは似たものになっていました[4]。一人ひとりは良くなっても、全体では似た作品が増えるという形は、絵の研究と重なります。アイデア出しで同じことが起きる話は、AIでアイデアを出すと、みんな似た案になる?でも整理しています。

03 まだわかっていないことAIを使わない絵描きは、この先不利になる?

AIを使わない人が将来どれだけ不利になるかを、直接調べた研究はまだ見つかりませんでした。研究の多くは1つのサイトの利用者のお気に入りで、売り上げや依頼、日本のサイトでの結果はわかっていません。

  • 研究のデータは主に海外の1つの作品投稿サイトのものです。日本の投稿サイトや、AI作品の表示のルールが違う場で同じ結果になるかはわかりません。
  • お気に入りの数は、作品の価値や、仕事の依頼・収入とは別のものです。AIを使うかどうかで依頼や収入がどう変わるかは、この研究からはわかりません。
  • 似た作品が増えたとき、見る人が「手で描いた作品」をより求めるようになるのか、逆に見つけにくくなるのかは、まだ結論が出ていません。
  • AIの性能は年々変わります。2021〜2023年のデータの傾向が、今後も同じとは限りません。

04 今日からできること焦ったとき、何から考えればいい?

焦ったときは、投稿の数ではなく題材の新しさで自分の作品を見直します。AIを使うかは自分で決めてよく、使う場合も題材を考えることと作品を選ぶことは手元に残します。比べる相手は、ほかの人より過去の自分にします。

1

数ではなく、題材の新しさで自分の作品を見直す

研究では、AIで数が増えても目新しさは平均で下がっていました。最近の作品の題材を10個書き出し、まだ描いていない組み合わせを1つ探します。

目安 15分

2

AIを使うなら、題材を考えることと選ぶことは自分でする

評価が伸びやすかったのは、新しい題材を探せていた人でした。人の案を入れたAIの絵のほうが評価も高く出ています。使う場合も、何を描くかを先に決めてから使います。

目安 作品ごとに5分

3

比べる相手を、ほかの人の数字から過去の自分にする

お気に入りの数は、作品の価値とは別のものです。半年前の自分の作品と今の作品を並べて、描けるようになったことを3つ書きます。

目安 月に1回・10分

AIで作った絵を自分の作品として出すときの考え方はAIで作った画像を「自分の作品」として投稿してもいい?で、AIがあっても練習を続ける意味はAIがあるのに練習する意味があるのかで整理しています。

05よくある質問

AIを使うと、絵のお気に入りや評価は増える?

大きな作品投稿サイトの研究では、画像生成AIを使い始めた人は投稿が約25%増え、閲覧1回あたりお気に入りがつく割合が2%から3%に上がりました。ただし作品の題材や見た目の目新しさは平均で下がっていました。評価が伸びやすかったのは、新しい題材を探せていた人でした。

AIを使った作品は、似たものばかりになる?

研究では、AIを使い始めた人の作品は、題材と見た目の目新しさが平均で下がり、似た作品が増える傾向がありました。一方で一部の作品は新しい題材に広がっていました。全部が似るわけではなく、何を描くかを自分で広げられるかで差が出ていました。

人が描いた絵とAIの絵、どちらが創造的と評価される?

作り手を伏せて255人が評価した2026年の実験では、絵を学んだ人の絵が最も創造的と評価され、案を入れないAIの絵が最も低い評価でした。人の案を入れるとAIの絵の評価は上がりましたが、1つの課題での結果です。

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出典

  1. Zhou E, Lee D (2024). Generative artificial intelligence, human creativity, and art. PNAS Nexus, 3(3), pgae052. https://doi.org/10.1093/pnasnexus/pgae052
  2. Zhou EB, Lee D, Gu B (2025). Who expands the human creative frontier with generative AI: Hive minds or masterminds? Science Advances, 11(36), eadu5800. https://doi.org/10.1126/sciadv.adu5800
  3. Rondini S, Alvarez-Martin C, Angermair-Barkai P, et al. (2026). Stable Diffusion Models Reveal a Persisting Human–AI Gap in Visual Creativity. Advanced Science, 13(27), e24142. https://doi.org/10.1002/advs.202524142
  4. Doshi AR, Hauser OP (2024). Generative AI enhances individual creativity but reduces the collective diversity of novel content. Science Advances, 10(28), eadn5290. https://doi.org/10.1126/sciadv.adn5290