考える力・集中

AIでアイデアを出すと、みんな似た案になる?研究では一人ひとりの案は良くなっても、案どうしは似ていた。使う前に決めておく3つのこと

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わかっている度 ★★☆ 中研究4本を整理出典照合済み(2026-10-10)
木製の書き物机を描いた絵(1941年)
Photo: Herbert S. Frere / CC0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品の紹介や診断はしていません。出典は末尾)。

企画や文章のアイデアを、まずAIに出してもらう。手早く形になる一方で、「どこかで見たような案ばかり」「チームの案が似てきた」と感じる人もいます。研究では、AIの案は一人ひとりの出来を引き上げる一方、案どうしを似せる方向にも働いていました。何が起きているのかと、使い始める前に決めておきたいことを整理します。

3行でわかる

  1. 293人の実験では、AIの案を参考にした物語は「より創造的」と評価されましたが、物語どうしは人だけで書いたものより似ていました。
  2. 22種類のAIと102人を比べた研究では、AIの答えはAIどうしで、人どうしよりずっと似ていました。別のAIに替えても、似た案に寄りやすいということです。
  3. 備えとして、AIに聞く前に自分の案を書き出す、AIの案は最後に足す、AIの案と似ていないかを確かめる、の3つを決めておきます。

01 結論から言うとAIでアイデアを出すと、似た案ばかりになる?

なりやすいことが、研究で示されています。AIの案を使うと一人ひとりの案は良く評価されますが、多くの人が同じように使うと、全体としては似た案が増えます。

研究者はこれを、社会的なジレンマに似ていると説明しています。一人ひとりはAIを使ったほうが得をする。けれど皆が使うと、生まれる案の幅は狭くなる、という構図です[1]。

同じ実験では、AIの案を見られた人の物語は、そのAIの案そのものにも似ていく傾向がありました[1]。最初にAIの案を見ると、そこが出発点になり、そこから離れにくくなる。その結果として似てくる、と考えると対策が立てやすくなります。

02 研究とデータでわかっていることAIの案を使うと、何がどう変わる?

AIの案を参考にすると、案の評価は上がり、特にもともと発想が苦手な人で大きく上がりました。一方で、案どうしは似ていき、AIどうしの答えも互いによく似ていました。

+8.1%AIの案を最大5つ見られた人の物語の「新しさ」の評価(人だけで書いた物語との比較。英国在住者の実験)
88.4%AIの案を見られる条件で、実際に1回以上AIに案を求めた人の割合
22種類答えが互いに似ていたAIの数(人102人と比べた研究、2026年)

Doshi・Hauser(2024、Science Advances)[1]

8文の短い物語を書いてもらい、AIの案を見られない人、1つ見られる人、最大5つ見られる人に分けました。AIの案を最大5つ見られた人の物語は「新しさ」が8.1%高く評価されました。特に、もともと発想のテストの点が低かった人では10.7%上がっています。一方、発想の点が高かった人では、AIの案があってもなくても評価はほとんど変わりませんでした。そしてAIの案を見られる条件の人の物語どうしは、人だけで書いた物語どうしより似ていました。

対象: 英国在住の書き手293人と、どの条件で書かれたか知らされていない評価者600人(オンラインの事前登録実験) / 限界: 短い物語という1つの課題での結果で、仕事の企画で同じことが起きるかは直接は調べていません。

Wenger・Kenett(2026、PNAS Nexus)[2]

日用品の別の使い道を挙げるなど、創造性を測る3つの課題を、人とAIに解いてもらいました。1つずつの答えの独創性は、AIと人でほぼ同じ水準でした。ところが答えの「ばらつき」を比べると、AIの答えはAIどうしで、人の答えが人どうしで似るよりずっと似ていました。どのAIを使っても、使う人を似た案へ導く可能性がある、と著者らは述べています。

対象: 人102人とAI(大規模言語モデル)22種類 / 限界: 測ったのは意味の離れ具合という1つの指標です。公開サービスとして提供されているAIだけを調べています。

Lin・Xie(2026、Frontiers in Psychology)/ Lin(2026、PLOS One)[3][4]

デザインを学ぶ学生の2つの実験です。椅子のアイデアを出す課題では、AIを使わない方法(何も見ずに描く・ネットで調べる)のほうが発想の成績が高く、AIを使った方法は「助けられている」という実感を高めていました。もう1つの実験では、AIを使った案は問題の捉え方などで高く評価され、人だけの案は革新性と解決の方法で高く評価されました。

対象: 中国の製品デザイン専攻の2年生41人 / 台湾のデザイン専攻の大学生32人 / 限界: どちらも少人数の学生で、課題も1つです。

4つの研究を合わせると、AIは個人の出来や「助けられた感じ」を高めることはあっても、独創性や案の幅まで自動的に広げるとは言えない、ということです。

03 まだわかっていないこと先に自分で考えてからAIを使えば、似た案は防げる?

まだわかっていません。順番を変えて比べた研究は、今回調べた範囲では見当たりませんでした。04の工夫は、研究から考えた備えで、効果が確かめられたものではありません。

  • 自分の案を先に書いてからAIに聞く順番で、似かたが減るかどうかを直接比べた研究は、今回は見つかりませんでした。
  • 研究の多くは、短い物語や椅子のデザインのような1回きりの課題です。何か月もAIと一緒に企画を考え続けたとき、発想がどう変わるかはわかっていません。
  • AIへの頼み方(「ありきたりでない案を」など)で答えのばらつきがどこまで広がるかも、研究によって条件が違い、結論は出ていません。

04 今日からできることAIで企画を考える前に、何を決めておく?

AIに聞く前に自分の案を書き出すこと、AIの案は最後に足すこと、出てきた案が他の案やAIの案と似ていないか確かめることの3つです。どれも無料で、次の企画から試せます。

1

AIを開く前に、自分の案を3つ書く

最初に見たものが出発点になるのを避けるため、先に紙かメモに自分の案を書き出します。荒くてかまいません。

目安 10分

2

チームでは、各自が考えてからAIの案を足す

全員が同じAIに聞くと、似た案が集まりやすくなります。まず各自の案を出し合い、AIの案は最後に「抜けていた観点がないか」を探す使い方にします。

目安 会議の最初の10分

3

「AIが最初に出しそうな案」と比べる

決める前に、同じ質問をAIにそのまま投げた答えと見比べます。ほとんど同じなら、自分たちの事情や経験を足せないか考えます。

目安 5分

文章を書く力そのものを残す使い方はAIに頼りすぎて、文章が書けなくならないか心配にまとめています。AIなしで考える場面への備えはAIなしだと、考えたり書いたりする手が止まるで扱っています。AIで作った案を仕事で使うときは、既存の作品に似ていないかの確認も必要です。AIで作った文章や画像を仕事で使っても大丈夫?で整理しています。

05よくある質問

AIでアイデアを出すのは、やめたほうがいい?

やめる必要はありません。研究では、AIの案を参考にすると個人の案の評価は上がり、特に発想が苦手な人で大きく上がっていました。問題になりやすいのは、皆が同じようにAIの案から始めて、全体が似てしまうことです。使う順番と比べ方を決めておくのが現実的です。

別のAIに替えれば、違う案が出てくる?

期待しすぎないほうがよさそうです。22種類のAIを比べた研究では、AIの答えはAIどうしで、人どうしよりずっと似ていました。AIを替えるより、人の経験や現場の事情を足すほうが、案の幅を広げる手がかりになります。

AIの案のほうが良く見えて、自分の案を出しにくい。

研究でも、AIを使うと「助けられている」という実感は高まりましたが、独創性の評価が上がるとは限りませんでした。自分の案は、AIにない経験や事情を持ち込める点に価値があります。先に書き出しておくと、比べる材料にもなります。

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出典

  1. Doshi AR, Hauser OP (2024). Generative AI enhances individual creativity but reduces the collective diversity of novel content. Science Advances, 10(28), eadn5290. https://doi.org/10.1126/sciadv.adn5290
  2. Wenger E, Kenett YN (2026). Large language models are homogeneously creative. PNAS Nexus, 5(3), pgag042. https://doi.org/10.1093/pnasnexus/pgag042
  3. Lin H, Xie L (2026). Stimulating or constraining creativity? Traditional vs. generative AI on divergent thinking in product design. Frontiers in Psychology, 17, 1839565. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2026.1839565
  4. Lin YJ (2026). Generative AI as a cognitive support tool in early-stage design ideation: A human-AI co-ideation experiment. PLOS One, 21(9), e0358542. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0358542