仕事・キャリア

応募先がAIで書類を選ぶかもしれない。出す前に何を準備する?研究では、AIの採点は経歴が同じでも名前や並び順で動き、偏りへの対策を実際に確かめた研究は15〜20%だった

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わかっている度 ★★☆ 中研究3本・公的資料0件を整理出典照合済み(2026-10-25)
手書きの文字の上に置かれた万年筆
Photo: Petar Milošević / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(商品の紹介や法的な判断はしていません。出典は末尾)。

応募先の書類選考に、AIが使われているかもしれない。そう聞くと、自分の履歴書が人に読まれる前にふるい落とされないか、不安になります。研究では、AIによる履歴書の採点は、同じような経歴でも名前や並び順で動くことがわかっています。応募者が偏りそのものを消すことはできませんが、出す前に確かめること・書き方・記録の残し方は準備できます。

3行でわかる

  1. 米国で約36万1,000通の履歴書をAIに採点させた研究では、経歴が同じでも名前から読み取れる性別と人種で点が変わり、合格ラインでの採用確率に1〜3ポイントの差が出ました。
  2. 2通の履歴書を比べさせた研究では、AIは中身の差より「どちらが先に置かれたか」に強く左右されていました。偏りのリスクを扱った研究のうち、対策を実際に試して確かめた研究は15〜20%にとどまります。
  3. 出す前に、募集要項や個人情報の扱いでAIの使い方と人の確認があるかを見て、経歴は具体的な事実で書き、出した書類の控えを日付つきで残します。

01 結論から言うとAIの書類選考の前に、応募者は何を準備できる?

応募者が準備できるのは、AIの使い方を確かめること、経歴を具体的な事実で書くこと、出した書類を記録することの3つです。研究では、AIの採点は名前や並び順で動くため、1社の結果だけで自分の力を判断しないことも大切です。

AIの書類選考で気になるのは、「AIに好かれる書き方」があるかどうかかもしれません。ただ、そうした書き方の効果を確かめた研究は、今回調べた範囲では見つかりませんでした。

一方で、AIの採点が、能力と関係のないことで動く例は複数報告されています。そこでこの記事では、AIの仕組みをかいくぐる方法ではなく、どんな選考でも損をしにくい準備にしぼって紹介します。AIの選考で落ちたと感じたあとの確認や開示の請求については「AIの面接や書類選考で落とされたかもしれない」にまとめています。

02 研究とデータでわかっていることAIの履歴書の採点は、何で動く?

研究では、AIの採点は、経歴が同じでも名前から読み取れる性別や人種、履歴書が置かれた順番で動きました。偏りへの対策を提案する研究は多い一方、実際に試して確かめた研究は少数です。

約36万通米国の経験の浅い人向け(エントリーレベル)の20職種について、5種類のAIに採点させた履歴書の数(2025年発表)
1〜3ポイント経歴が同じでも、性別と人種の組み合わせによって生じた、合格ラインでの採用確率の差
92.8%男女の履歴書2通を比べさせたとき、GPT-4o miniが「有利な順番」に置かれた側を選んだ割合
15〜20%採用でのAIの偏りのリスクについて、対策を実際に試して確かめた研究の割合(2026年発表のレビュー)

Anら(2025)[1]

米国の経験の浅い人向け(エントリーレベル)の20職種について約36万1,000通の履歴書を作り、5種類のAIに採点させました。経歴・学歴・スキルは同じにして、名前から読み取れる性別と人種だけを入れ替えています。

AIは女性の名前の履歴書に高めの点をつけ、多くのAIが、黒人男性の名前の履歴書に白人男性より低めの点をつけていました。ある点数以上を合格とすると、こうした差によって、採用される確率が1〜3ポイント変わりうる計算でした。この傾向は、職種や応募者の州を分けても見られました。

対象: 米国のエントリーレベルの職と英語の履歴書 / 限界: 研究者が作った履歴書をAIに採点させた実験で、実際の企業の選考ではありません。著者らは、専門職や管理職の選考には当てはまらない可能性があるとしています。

Yinら(2026)[2]

質の近い履歴書を2通ずつAIに見せ、「最も強い候補者を選んで」と頼み、並べる順番を入れ替えて比べました。どちらも質が高いときは先に置かれた側を、質が低めのときは後に置かれた側を選びやすく、中身で劣る側を選ぶこともありました。

男女を並べた比較では、性別による差もありましたが、順番の影響のほうがずっと大きく出ました。GPT-4o miniでは、有利な順番に置かれた側が92.8%の割合で選ばれていました。民族や性別の印象をそろえた名前どうしでも、特定の名前が好まれる偏りが見つかっています。

対象: 機械技術者・看護師・記者・不動産仲介の4職種で、AIが作った英語の履歴書 / 限界: 2通・3通を比べる実験で、多数の応募を点数で並べる実際の選考とは形が違います。

Tripathiら(2026)[3]

採用にAI(大規模言語モデル)を使う研究を、2020〜2025年の論文から整理したレビューです。報告された使い方のうち、応募者の側に向けたものは約25〜30%で、多くは企業の側の使い方でした。

報告されたリスクで最も多かったのは偏りと差別で、全体の約35〜40%でした。偏りへの対策を提案した研究は約50〜55%ありましたが、実際に試して確かめた研究は15〜20%にとどまっていました。

対象: 1つの文献データベース(Scopus)で集めた学術論文 / 限界: 研究の数を整理したもので、どの対策が効くかを示したものではありません。

研究を、応募する側の疑問に当てはめると、次のとおりです。

気になること研究でわかったこと
経歴が同じなら、同じ点になる?名前から読み取れる性別・人種で点が変わった[1]
中身がよければ、必ず選ばれる?並び順の影響が大きく、劣る側が選ばれることもあった[2]
偏りはどのくらいの大きさ?合格ラインでの採用確率で1〜3ポイント[1]
企業の対策で偏りは防げる?実際に試して確かめた研究は15〜20%と少ない[3]

03 まだわかっていないこと日本の書類選考でも、AIは同じように偏る?

まだわかっていません。研究の多くは米国の英語の履歴書で、日本語の履歴書や日本の企業の選考で、AIの採点がどう偏るかを調べた研究は見つかりませんでした。

  • 日本語の履歴書やエントリーシートを、AIがどう採点するかを調べた研究は、今回調べた範囲では見つかりませんでした。
  • どんな書き方をすればAIの選考で不利になりにくいかを、確かめた研究も見つかりませんでした。
  • 実際の企業の選考で、AIの判断を人がどの程度見直しているかは、研究ではほとんど調べられていません。

04 今日からできること応募書類を出す前に、何をしておけばいい?

応募先の募集要項や個人情報の扱いで、AIの使い方と人の確認の有無を見ます。経歴は具体的な事実で書き、出した書類の控えを日付つきで残します。1社の結果で自分を判断せず、複数の応募先に分けます。

1

AIを使うか、人が確認するかを確かめる

募集要項や応募フォーム、個人情報の取り扱いの説明に、AIや自動の選考を使うと書かれていないかを読みます。わからなければ、採用の窓口に「書類選考で人も確認しますか」と聞いてかまいません。

目安 1社10分

2

経歴は、具体的な事実と数字で書く

「がんばった」より「月100件の問い合わせに対応した」のように、何をどれだけしたかを書きます。求人に書かれた仕事内容と、自分の経験の対応がわかる順に並べます。人が読む場合にも、内容が伝わりやすくなります。

目安 1回30分

3

出した書類の控えを、日付つきで残す

応募先ごとに、提出したファイル、応募した日、求人の画面を1つのフォルダに保存します。結果に疑問があるとき、確認や相談の材料になります。

目安 1社5分

4

1社の結果で、自分の力を決めない

研究では、AIの判断は名前や順番など能力と関係のないことで動きました。応募先を複数に分け、1社の不採用を「書類が悪い」と決めつけずに、何社かの結果を並べて見直します。

目安 応募のたびに

AI面接の準備は「AI面接の前に、何を準備すればいい?」、内定後の給料の交渉額をAIに聞くときの注意は「AIに給料の相場や交渉で言う額を聞いても大丈夫?」でも触れています。

05よくある質問

書類選考でAIを使っているか、企業に聞いてもいい?

聞いてかまいません。応募者として、選考の流れや人が確認する段階があるかを尋ねるのは自然なことです。答えてもらえない場合もありますが、聞いたことで不利になると決めつける根拠は、研究では見つかっていません。

AIに通りやすいキーワードを入れれば有利になる?

キーワードの入れ方で結果が変わるかを確かめた研究は、今回調べた範囲では見つかりませんでした。求人の仕事内容と自分の経験の対応を、具体的な事実で書くほうが、AIにも人にも伝わりやすい書き方です。

AIの書類選考で落ちたら、もう挽回できない?

1社の結果がすべてではありません。研究では、AIの判断は名前や並び順など、能力と関係のないことでも動きました。複数の応募先に分け、結果に疑問があれば、記録を持って確認や相談をする方法があります。

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出典

  1. An J, Huang D, Lin C, Tai M (2025). Measuring gender and racial biases in large language models: Intersectional evidence from automated resume evaluation. PNAS Nexus, 4(3), pgaf089. https://doi.org/10.1093/pnasnexus/pgaf089
  2. Yin H, Vardi S, Choudhary V (2026). Fragile preferences: A deep dive into order effects in large language models. PNAS Nexus, 5(8), pgag246. https://doi.org/10.1093/pnasnexus/pgag246
  3. Tripathi A, Tripathi A, Darena F, Mishra PK (2026). Mapping the use of large language models in hiring decisions: a scoping review. Frontiers in Artificial Intelligence, 9, 1798519. https://doi.org/10.3389/frai.2026.1798519