子ども・学校

生徒がAIを使った課題の採点に迷う。研究では、採点者はAIが書いた答案の94%に気づかず、見抜くより先に「使ってよい範囲」と「評価する過程」を決めて伝えるほうが確か

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わかっている度 ★★☆ 中研究4本(システマティックレビュー1本を含む)を整理出典照合済み(2026-10-15)
紙の上の蛍光ペン
Photo: Gausanchennai / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品の紹介や診断はしていません。出典は末尾)。

提出された課題を読みながら、「これはAIが書いたのでは」と手が止まる。どこまで使ってよかったのか、どう点をつければいいのか、迷う先生は少なくありません。研究からわかるのは、読んで見抜くことも、判定ツールに任せることも、思うほど確かではないということです。採点で迷わないための近道は、課題を出す前に「AIを使ってよい範囲」と「何を評価するか」を決めて、生徒に伝えておくことです。

3行でわかる

  1. 英国の大学の試験にAIだけで書いた答案をまぜた研究では、94%が採点者に気づかれず、成績は平均で本物の学生より高かった。
  2. AI判定ツールは、英語を母語としない人の作文の平均61.3%を誤って「AIが書いた」とした。判定結果だけで不正と決めるのは危うい。
  3. 19本の研究をまとめたレビューでは、不適切な使い方の背景に「ルールのあいまいさ」があった。使ってよい範囲を課題ごとに書き、下書きや口頭の説明など過程も評価に入れる形が勧められている。

01 結論から言うとAIを使った課題、採点の前に何を決めればいい?

採点の前に決めておくのは、AIを使ってよい範囲と、評価する中身の2つです。AIの使用は読んでも判定ツールでも確実には見抜けないため、後から疑うより、先にルールと評価の観点を示すほうが、生徒にも先生にも確かです。

生成AIは、人が書いたような文章を数秒で作ります。読み慣れた先生でも、AIの文章だと気づけないことが多いと、実際の試験を使った研究でわかってきました。

判定ツールにも限界があります。人が書いた文章を「AIが書いた」と誤って判定することがあり、その誤りは特定の書き手にかたよることがあります。

そこで研究が勧めているのは、「見抜く」ことに力を注ぐより、課題の作り方と評価の仕方を変えることです。どの使い方なら認めるかを先に書き、出来上がった文章だけでなく、考えた過程も評価に入れます。

02 研究とデータでわかっていることAIが書いた答案は、採点者に見抜ける?

見抜けるとは言えません。英国の大学の研究では、AIだけで書いた答案の94%が採点者に気づかれませんでした。判定ツールも、英語を母語としない人の作文を高い割合で誤ってAI判定していました。

94%採点者に気づかれなかったAIの答案の割合(英国の大学の心理学の試験、2023年夏、63本)
83.4%同じ研究で、同じ本数の本物の答案と比べてAIの答案の成績が上回る確率(5科目を通して。科目によって差があった)
61.3%英語を母語としない人の作文を、7つの判定ツールが誤ってAI判定した割合の平均(91本)
20%AIの文章を多く写していた学生の割合(サウジアラビアの大学の英作文、60人)

Scarfeら / 英国レディング大学(2024)[1]

心理学の5つの科目の、オンラインで提出する試験に、GPT-4だけで書いた答案63本を、本物の学生1,134本にまぜて提出した。94%は採点者に気づかれず、成績は平均すると本物の学生より半段階ほど高かった。

採点者は、この研究が行われていることを知らされていませんでした。当時、大学の規則では試験にAIを使うことは認められていませんでした。

対象: 英国の1大学の学部の試験(短い記述式と、1,500語の小論文) / 限界: 1つの大学・1つの学科で、AIの文章を探すよう求められていない状況での結果。

Liangら / 米国スタンフォード大学(2023)[2]

広く使われる7つの判定ツールに、中国の掲示板から集めたTOEFLの作文91本を入れると、平均61.3%が誤って「AIが書いた」とされた。米国の中学2年生の作文88本は、ほぼ正しく人の文章と判定された。

対象: 英語の作文 / 限界: 2023年時点のツールの結果で、日本語の文章や、その後のツールで同じになるかはわからない。

ルールのあいまいさが、使い方のかたよりにつながっている可能性も示されています。

Alsadoon / サウジアラビアのイマーム・ムハンマド・イブン・サウード・イスラム大学(2026)[3]

AIを使ってよい条件で英作文を書いた学生60人の画面を記録すると、42%はAIを主にアイデア出しや手直しに使って写す量は少なく、20%は文章の多くをAIに書かせて写していた。大学の方針をよく知っている学生ほど、誠実さへの意識が高い傾向があった。

教員20人と学生に、AIの8つの使い方を認めてよいか聞くと、教員は下書き・翻訳・言い換えを、学生よりはっきり「認めにくい」と答えていました。アイデア出しと構成づくりは、両者とも正当な使い方と見ていました。

対象: 英語を学ぶ女子大学生60人と女性の教員20人 / 限界: ある時点の関係を見た研究で、方針を知らせれば写す人が減るという因果は確かめていない。

Abdellatifら / サウジアラビアとエジプトの大学の研究者(2026)[4]

大学の文章課題の評価とAIについての19本の研究をまとめたレビュー。不適切な使い方の背景には、悪意よりも、時間の足りなさ・何が許されるかのあいまいさ・ルールの空白があったとした。

有望な方法として、下書きから仕上げまでの過程を見る評価、口頭で説明してもらう評価、AIとのつきあい方を教える授業が挙げられています。見抜くことを中心にした対策から、評価の作り直しへ移るよう求めています。

対象: 高等教育の研究19本 / 限界: 大学が対象で、小中高校にそのまま当てはまるとは限らない。

03 まだわかっていないことどの評価の方法なら公平に採点できる?

過程を見る評価や口頭の説明が有望とされていますが、どれが一番公平で、先生の負担に見合うかを比べた研究は、今回調べた範囲では見つかりませんでした。今回の研究は大学が中心です。

  • 過程を見る評価や口頭の説明で、AIの使い過ぎが実際に減るのか、学びが増えるのか(レビューでは有望とされているが、効果を比べた研究は少ない)
  • 日本語の文章で、先生や判定ツールがAIの文章をどのくらい見分けられるか
  • 小学校・中学校・高校の課題で、同じ結果になるか(判定ツールの研究を除き、今回の研究は大学が対象)
  • 使ってよい範囲を課題に書いておくと、写す使い方が減るか(サウジアラビアの研究は関係を見ただけで、因果はわかっていない)

04 今日からできること次の課題を出す前に、何を準備する?

次の課題を出す前に、AIを使ってよい範囲を1〜2行で書き、評価する観点に「過程」を入れ、使った場合の書き方を決めておきます。判定ツールの結果は、生徒と話すきっかけにとどめます。

1

使ってよい範囲を、課題の指示に1〜2行で書く

「アイデア出しと構成づくりは可。本文の下書き・翻訳・言い換えは不可」のように、使い方ごとに書きます。研究では、教員と学生で認識がずれやすかったのが下書き・翻訳・言い換えでした。学校の方針があれば、その範囲で決めます。

目安 課題1つにつき5分

2

評価の観点に「過程」を1つ入れる

完成した文章だけでなく、下書き、メモ、自分の経験とのつながりなど、考えた跡を観点に入れます。仕上がりの文章だけでは、AIの答案のほうが高い点になりうることが研究で示されています。

目安 評価表の見直し15分

3

AIを使ったときの書き方を決めておく

使ったツール、使った箇所、どう使ったかを、提出物の最後に数行で書いてもらいます。使ったことを正直に書いた生徒が損をしない仕組みにしておくと、話し合いがしやすくなります。

目安 指示文に3行

4

迷った答案は、判定ツールでなく本人の説明で確かめる

疑わしいと感じたら、まず生徒に、どう考えて書いたかを短く説明してもらいます。判定ツールは人の文章を誤ってAI判定することがあるため、その結果だけで点や処分を決めないようにします。

目安 1人5分ほど

生徒の側から見た判定ツールの誤りは自分で書いたのに、AI判定ツールで「AIが書いた」と言われたに、国の指針と大学の方針の中身はレポートや宿題にAIを使ったら不正?にまとめています。学校でAIを使い始める前に生徒と確かめたいことは学校で生成AIを使う前に、生徒が知っておきたいことにあります。

05よくある質問

AIで書いたレポートは、読めば見抜ける?

見抜けるとは言えません。英国の大学の試験にAIだけで書いた答案を63本まぜた研究では、94%が採点者に気づかれませんでした。採点者は研究のことを知らされておらず、AIの答案の成績は、平均すると本物の学生より半段階ほど高くなりました。

AI判定ツールの結果で、不正と判断していい?

判定ツールの結果だけで判断するのは避けたほうが安全です。7つの判定ツールを調べた研究では、英語を母語としない人が書いた作文の平均61.3%が誤って「AIが書いた」とされました。判定結果は、生徒と話すきっかけの一つにとどめ、下書きや本人の説明と合わせて考えます。

どこまでAIを使ってよいことにすればいい?

決まった正解はなく、授業の目的によって変わります。サウジアラビアの大学の研究では、教員は下書き・翻訳・言い換えにAIを使うことを学生より「認めにくい」と答えていた一方、アイデア出しと構成づくりは両者とも認めていました。迷いやすい使い方ほど、課題の指示に書いておくのが確実です。

小学校や中学校でも同じ考え方でいい?

判定ツールの研究を除くと、今回の研究は大学生の課題や試験を対象にしたものです。小中高校では、子どもの年齢や、学校・自治体の方針によって前提が変わります。学校で決まっている方針を先に確かめ、その範囲で課題ごとの指示を決めてください。

過程を評価すると、教員の負担が増えない?

増えることはあります。すべての課題で下書きを細かく見るのではなく、提出物に「AIを使った箇所と使い方」を数行書いてもらう、数人ずつ短く説明してもらうなど、課題の重さに合わせて選ぶ方法が考えられます。負担と効果を比べた研究は、まだ見つかっていません。

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出典

  1. Scarfe P, Watcham K, Clarke A, Roesch E (2024). A real-world test of artificial intelligence infiltration of a university examinations system: A "Turing Test" case study. PLOS ONE, 19, e0305354. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0305354
  2. Liang W, Yuksekgonul M, Mao Y, Wu E, Zou J (2023). GPT detectors are biased against non-native English writers. Patterns, 4, 100779. https://doi.org/10.1016/j.patter.2023.100779
  3. Alsadoon R (2026). Perceptions vs. practices: academic integrity and actual ChatGPT use among EFL students. Frontiers in Psychology, 17, 1796737. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2026.1796737
  4. Abdellatif MS, Alshehri MA, Lamouchi A, Rahmath M, Nemt-Allah MA (2026). Reimagining writing assessment for the AI era: a systematic review on balancing AI support and authentic skill growth. Frontiers in Psychology, 17, 1809174. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2026.1809174