志望理由書や自己推薦書を、AIに手伝ってもらっていい?研究では、読む側はAIの文を見分けにくかったが、関心や志望の理由では本人の文章が上回っていた

志望理由書や自己推薦書を前に、何を書けばいいか手が止まる。AIに頼めばそれらしい文章がすぐにできそうで、使っていいのか、ばれたらどうなるのか、迷う人は少なくありません。大学や医学系の選考で、AIが書いた志望書と本人の志望書を比べた研究から、使う前に決めておくことを整理します。
3行でわかる
- 使ってよいかは、まず募集要項や大学の案内で確かめます。読む側の考えは分かれていて、米国の調査では選考の責任者の58.8%が、どの段階でもAIの利用は不適切と答えていました。
- 選考委員の教員は、2種類のAIのうち一方の志望書を44%しか見抜けませんでしたが、志望の理由、将来の目標、独自性などでは、本人の志望書のほうが高く評価されていました。
- 関心と理由は自分で先に書き、AIを使うなら範囲を決めて記録を残します。AI判定ツールは、AI以前の志望書の2.7%も疑わしい側に判定していました。
01 結論から言うと志望理由書にAIを使ってもいい?
使ってよいかは、大学や学校の募集要項・案内で決まります。使える場合も、自分の関心と志望の理由はAIに書かせず、自分で先に書くほうが確かです。研究では、その部分で本人の文章が高く評価されていました。
志望理由書は、試験の答案とは違い、その人がなぜそこで学びたいのかを読む書類です。AIは整った文章を作れますが、あなたが実際に経験したことや、そこから考えたことは知りません。
研究を見ると、AIの文章は読む側に見分けにくい一方で、個人の経験や理由が求められる部分では、本人の文章のほうが評価されていました。また、AIの使い方について読む側の考えは一致しておらず、ルールは募集ごとに違います。
学校の課題でAIを使える範囲の決まり方は、レポートや宿題にAIを使ったら不正?で整理しています。
02 研究とデータでわかっていることAIが書いた志望書は、読む人に見分けられる?
選考委員の教員は、2種類のAIのうち一方が書いた志望書を44%しか正しく見分けられませんでした(もう一方は90%)。一方、志望の理由や将来の目標、独自性では本人の志望書が上回り、AI判定ツールは本人が書いた志望書を疑うこともありました。
Lumら(2024) [1]
本物の志望書15本をもとに、2種類のAIで志望書を作り、合わせて45本を、どれがどれかを伏せて選考委員の教員に読んでもらいました。本物の志望書は88%、片方のAIの志望書は90%が正しく見分けられましたが、もう片方のAIの志望書は44%しか見分けられませんでした。一方、見分けにくかったAIの志望書と本物を比べると、個人的な関心、その分野を選んだ理由、将来の目標、引きつける力と独自性では、本物のほうが高く評価されていました。
対象: 米国の整形外科の研修の選考委員 / 限界: 医師の研修の選考で、大学入試の志望理由書ではありません。使ったAIは調査時点のものです。
Choiら(2025) [2]
カナダの大学の学生と卒業生24人の小論文を、医学部志望者がAIを使って書いたもの、使わずに書いたもの、志望者以外がAIを使って書いたもの、AIだけで作ったものの4つに分け、8人が採点しました。4つの組の評価に、統計的にはっきりした差は見られませんでした。採点者どうしの評価の一致は低いものでした。
対象: カナダの24本の小論文と8人の採点者 / 限界: 本数が少なく、実際の選考ではありません。差がないことは、差が小さいことの証明にはなりません。
Patelら(2025) [3]
米国の形成外科の研修責任者に、志望書でのAIの利用について聞きました。85.3%は、AIが使われたかを見分ける自信がないと答えました。AIの利用を、すべての段階で適切と答えたのは8.8%で、アイデア出しだけ(11.8%)、文章の手直しだけ(14.7%)なら適切という人もいました。どの段階でも不適切と答えた人は58.8%でした。
対象: 回答した研修責任者34人(119人中、回答率28.6%) / 限界: 1つの分野の、回答した人だけの考えです。日本の大学の考え方はわかりません。
Spiesら(2026) [4]
米国の医学部に出された志望書6,000本を、AI判定ツールで調べました。そのうち主な志望書(各年1,000本)で、「AIの可能性が高い」側に判定されたのは、AIが広まった後の2023〜2024年は12.3%、広まる前の2021〜2022年は2.7%でした。AIがほぼなかった時期の志望書でも一部が疑わしい側に入っていたことになります。判定の数値は、面接への招待や合格とは関係していませんでした。
対象: 米国の1つの医学部の志願者2,364人の志望書 / 限界: 判定ツールの推定で、実際にAIを使ったかは確かめていません。
Duら(2026) [5]
大学教員に同じレポートを採点してもらい、添えたAI判定の結果だけを変えました。「AI 7%」の表示で強調なしの組は10点満点で平均6.83、「AI 87%」の表示で文章が赤く強調された組は平均4.26でした。中身が同じでも、判定の数字と見せ方で評価が下がっていました。
対象: 中国の大学教員214人 / 限界: 架空の判定結果を使った実験で、志望書ではなくレポートの採点です。
03 まだわかっていないこと日本の大学入試でも同じことが言える?
日本の大学入試の志望理由書で、AIの利用がどう評価されるかを調べた研究は、今回の調査では見つかりませんでした。ここでの研究は、主に米国とカナダの医学系の選考のものです。
- 日本の総合型選抜や学校推薦型選抜で、AIの利用を読む側がどう受け止めるかは、研究ではまだ確かめられていません。
- アイデア出しや言い回しの手直しなど、部分的にAIを使った場合の評価の違いは、ほとんど調べられていません。
- AIの性能は年々変わります。見分けやすさの数字は、調べた時点のAIのものです。
- 大学や学校ごとのAIのルールは変わり続けていて、一般的な答えはありません。
04 今日からできること志望理由書でAIを使う前に、何を決めておく?
まず募集要項でAIについての記載を確かめます。そのうえで、関心・理由・将来の3つは自分で先に書き、AIを使うなら範囲を決めて記録を残し、最後に自分の言葉で説明できるかを声に出して確かめます。
募集要項と大学の案内で、AIについての記載を探す
出願書類の注意書きや大学の案内に、AIや「本人が作成」についての記載がないかを確かめます。見つからなければ、入試の窓口に問い合わせるか、学校の先生に相談します。
目安 15分
関心・理由・将来の3つは、自分で先に書く
関心をもったきっかけ、そこで学びたい理由、学んだあとの目標を、箇条書きで自分の言葉にします。研究では、関心、選んだ理由、将来の目標で本人の文章が上回っていました。整った文より、具体的な出来事を1つ入れるほうが伝わります。
目安 30分
AIを使うなら、範囲を決めて記録を残す
使ってよい場合も、誤字の確認や読みにくい所の指摘など、使う範囲を先に決めます。下書き、メモ、書き直した日付を残しておくと、AI判定ツールで疑われたときに、自分で書いた過程を説明できます。
目安 書くたびに1分
声に出して、自分の言葉で説明できるか確かめる
書き上げた志望理由書を読み上げ、面接で聞かれそうな「なぜ」「たとえば」に自分の言葉で答えられるかを確かめます。答えにくい文があれば、自分の経験に合わせて書き直します。
目安 10分
AI判定ツールで自分の文章が疑われたときの対応は、自分で書いたのに、AI判定ツールで「AIが書いた」と言われたで整理しています。学校でAIを使う前の基本は、学校で生成AIを使う前に、生徒が知っておきたいことにまとめています。
05よくある質問
志望理由書をAIに書いてもらうのは、不正になる?
不正にあたるかどうかは、大学や学校の募集要項・案内で決まります。研究では、読む側の考えも分かれていて、米国の調査では選考の責任者の58.8%が、どの段階でもAIを使うのは不適切と答えました。まず募集要項を確かめ、書かれていなければ問い合わせるのが確実です。
AIで書いた志望理由書は、読む人にばれる?
研究では、選考委員の教員が、2種類のAIのうち一方の文章を正しく見抜けたのは44%でした(もう一方は90%)。ただし、ばれるかどうかより大事なのは、志望の理由や将来の目標といった部分で、本人の文章のほうが高く評価されていたことです。面接で自分の言葉として説明できるかも問われます。
自分で書いたのに、AI判定ツールで疑われたら?
AI判定ツールは誤ることがあります。米国の研究では、AIが広まる前に書かれた志望書でも2.7%が「AIが書いた可能性が高い」側に判定されていました。下書きやメモ、書き直しの記録を残しておくと、自分で書いた過程を説明する材料になります。
出典
- Lum ZC, Guntupalli L, Saiz AM, Leshikar H, Le HV, Meehan JP, Huish EG (2024). Can Artificial Intelligence Fool Residency Selection Committees? Analysis of Personal Statements by Real Applicants and Generative AI, a Randomized, Single-Blind Multicenter Study. JB & JS Open Access, 9(4), e24.00028. https://doi.org/10.2106/jbjs.oa.24.00028
- Choi J, Zhao J, Ngo TA, Grierson L (2025). Investigating the threat of AI to undergraduate medical school admissions: a study of its potential impact on the rating of applicant essays. Canadian Medical Education Journal, 16(6), 15-20. https://doi.org/10.36834/cmej.79690
- Patel KA, Suriano CJ, Janis JE (2025). The Role of ChatGPT in Personal Statements for Plastic Surgery Residency Applications: Program Directors' Perspective. Plastic and Reconstructive Surgery Global Open, 13(4), e6698. https://doi.org/10.1097/gox.0000000000006698
- Spies NC, Ratts VS, Hagemann IS (2026). Estimating the Prevalence of Generative AI Use in Medical School Application Essays: Cross-Sectional Study. JMIR Medical Education, 12, e96673. https://doi.org/10.2196/96673
- Du P, Liu T, Xian X (2026). Automation bias in teachers' evaluation of student writing: effects of algorithmic warnings and visual risk cues in AI detection reports. Frontiers in Psychology, 17, 1889402. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2026.1889402


