家族がAIの話し相手にのめり込みそうで心配。時間と課金はスマホの標準設定で区切れ、決め方は本人と話し合う

子どもや親が、夜遅くまでAIの話し相手と話し込んでいる。このまま時間もお金も吸い込まれないか、心配になりますよね。先に決めておけることは2つです。スマホの標準設定で、使う時間と課金に「区切り」をつけること。そして、その区切りを本人と話し合って決めることです。
3行でわかる
- iPhoneは「スクリーンタイム」、Androidは「ファミリーリンク」と「Digital Wellbeing」で、1日の利用時間と購入の承認を設定できます。
- 研究のまとめでは、叱らずに使い方を話し合う関わりは問題を減らす方向、親が何もしない・家族の衝突が多い状態は悪化の方向に結びつく傾向でした。ただし結果は研究によって分かれます。
- AIの話し相手について、長く使うことが心に悪いのかは、まだわかっていません。高齢者では孤独感が少し下がったという報告もあり、「やめさせる」より「区切る」が現実的です。
01 結論から言うと家族がAIにのめり込む前に、できることはある?
あります。スマホの標準設定で1日の利用時間と課金の承認を決め、そのルールを本人と話し合って共有することです。設定は1台につき15分ほどが目安です。
AIの話し相手は、深夜でもすぐに返事が来ます。だからこそ、時間とお金に上限がないと使いすぎることがあります。
一方で、AIと話すこと自体が悪いとは決まっていません。この記事では「取り上げる」ではなく「区切りをつける」方法を、OSの標準設定と話し方に分けて整理します。
すでに課金しすぎてしまった場合の解約と返金は、AIの恋人・友だちアプリに課金しすぎたときにまとめています。AIと話すことと孤独の関係は、姉妹メディアのAIと話すと孤独はまぎれる?で扱っています。
02 研究とデータでわかっていること見守りや話し合いに、効果はある?
研究のまとめでは、叱らずに使い方を話し合う関わりは、ネットの使いすぎが少ない方向の結果が多めでした。ただし一貫してはいません。制限と使いすぎの関係は、研究によって逆向きでした。
こども家庭庁(2026)[10]
高校生は、親が思うほど「家のルールがある」とは感じていませんでした。ルールを決めていると答えたのは、高校生本人で44.3%、その保護者で58.3%です。学校段階が上がるほど、この認識のずれが広がる傾向でした。
対象: 10〜17歳の青少年3,060人と、同居する保護者3,158人(2025年11〜12月) / 限界: 生成AIの利用は2025年度から新しく聞いた項目で、AIの話し相手に絞った数字ではない。
Nielsenら(2019)[12]
親の関わり方とネットの使いすぎの関係を、27本の研究からまとめました。どの関わり方も、一貫して問題を減らすとは言えませんでした。それでも、親が何もしない状態は悪化の方向、批判せずに使い方を話す関わりは減らす方向の結果が見られました。家族のまとまりが強いと問題は少なく、家族の衝突が多いと多い関係もありました。
対象: 10代の若者。ネットの使いすぎの研究18本(81,002人)とゲームの研究9本(12,915人) / 限界: アンケート調査が中心で、因果はわからない。ゲームでは話し合いとの関係ははっきりしなかった。
Yuanら(2026)[14]
中国の大学生を約1か月おきに3回調べた研究です。退屈しやすい人ほど、のちにAIチャットを問題のある使い方をしやすい関係がありました。その一部は、孤独感や衝動的な傾向を通した関係でした。
対象: 中国の大学生551人(平均19歳) / 限界: すべて自己申告で、間隔は約30日と短い。10代や高齢者に当てはまるかはわからない。
Satakeら(2026)[15]
高齢者が会話するAI(ロボット、音声アシスタント、チャットボットなど)を使った17本の研究をまとめました。使う前と後を比べると、孤独感と抑うつは軽度から中程度に改善していました。悪化を報告した研究はありませんでした。
対象: 認知機能の低下がない高齢者。主に65歳以上(50〜98歳) / 限界: 比較する群のない前後比較が中心。生成AIの話し相手アプリに絞った結果ではない。
課金については、国民生活センターが子どもの無断課金への対策として、アカウント決済とキャリア決済の両方に承認(パスワードや指紋・顔の認証)を設定すること、キャリア決済の上限を低くすることを勧めています。あわせて、課金の仕組みを子どもと一緒に確かめ、ルールを決めることも挙げています。
03 まだわかっていないことAIの話し相手を長く使うと、心に悪い?
まだわかっていません。AIへの依存と孤独や気分の落ち込みが一緒に見られる研究はありますが、多くは1回きりの調査です。AIが原因なのか、もともとつらい人がAIを使うのかは区別できていません。
- 51本の文献(うち実証研究22本)を整理したレビューでは、AIへの強い依存と、孤独感・人づきあいの不安・気分の落ち込みなどが同時に見られる研究が中心でした。著者は、これらは原因や結果を示すものではないとしています[13]。
- OSの時間制限や購入の承認が、AIの話し相手の使いすぎを防ぐかを確かめた研究は見つかりませんでした。
- 高齢者の研究は、ロボットや音声アシスタントが中心で、生成AI(大規模言語モデル)を使ったものは17本中1本だけでした。今の話し相手アプリで同じ結果になるかはわかりません。
04 今日からできること使う時間と課金に、区切りをつけるには?
時間の上限、購入の承認、本人との話し合いの3つを、この順で整えます。18歳未満は保護者の端末から管理でき、大人の家族は本人の端末で本人と一緒に設定します。
2つのOSの公式ヘルプで、2026年10月に確認した設定の場所を表にまとめました。画面の名前はOSのバージョンで変わることがあります。
| iPhone | Android | |
|---|---|---|
| 子どもの1日の利用時間 | 保護者のiPhoneで「設定」→「ファミリー」→子どもの名前→「スクリーンタイム」。カテゴリごとの「許容時間」を決める | 保護者の「ファミリーリンク」アプリで子どもを選び、「利用時間の制限」の「1日の利用時間の上限」をオン |
| 子どもの購入 | 「設定」→「ファミリー」→子どもの名前→「アプリとウェブサイト」→「制限」→「承認と購入のリクエスト」で「購入の承認を必要にする」をオン | ファミリーリンクで「管理」→「Google Play」→「承認を必要とするアイテム」で「すべてのコンテンツ」などを選ぶ |
| 年齢に合わないアプリ | 「コンテンツとプライバシーの制限」の「コンテンツ制限」で、アプリを年齢区分で制限できる | — |
| 大人が自分の端末で | 「設定」→「スクリーンタイム」→「許容時間」で、カテゴリごとの1日の時間を決める(iOS 27以降) | 「設定」→「Digital Wellbeing」→「アプリタイマー」で、アプリごとの1日の上限を決める。上限に達するとアイコンが灰色になり、深夜0時にリセット |
| 大人の課金の確認 | (上の「承認と購入のリクエスト」は子ども向け) | Google Playのプロフィール→「お支払いと定期購入」→「購入の確認」で「毎回」を選ぶ |
注意点もあります。Google Playの購入の承認は、前払いでない定期購入には働きません。また、13歳以上の子どもはアカウントを更新できますが、18歳になるまで管理を止めるには保護者の承認が必要で、止めたときは保護者と子どもの両方に通知が届きます。
まず使い方を一緒に見る
いきなり設定を変えず、「最近どんな話をしてるの?」と聞きます。研究で問題を減らす方向だったのは、批判せずに使い方や内容を話す関わりでした。同じまとめでは、家族の衝突が多いほど使いすぎも多い関係がありました。
目安 10分
時間と課金の上限を、本人と決めて設定する
「夜は何時まで」「課金はこの額まで」を本人に提案してもらい、上の表の設定に落とし込みます。高校生では、本人と親で「ルールがある」という認識がずれやすいことがわかっています。決めた内容は紙かメモに残します。
目安 1台15分
AIの代わりではなく、AIの「となり」を増やす
退屈や孤独が、AIチャットの使いすぎと結びついていた研究があります。取り上げるより、一緒に食べる、電話する、出かけるなど、人と過ごす時間を週に1回でも足します。
目安 週1回
月に1回、明細と利用時間を一緒に見直す
ストアの購入履歴と利用時間の記録を本人と見て、合わなければ上限を相談して変えます。
目安 月1回10分
消費者ホットライン(188): 課金を止められない、返金を断られた、未成年の課金を取り消したいとき。近くの消費生活センターを案内してもらえます。
高齢の親の場合、相手は大人です。AIとの会話が、ひとり暮らしの寂しさを埋めていることもあります。設定は本人の端末で本人と一緒に行い、勝手に制限しないことが前提です。親の孤立と健康の関係は、親がひとり暮らし。孤立や孤独は健康にどれくらい影響する?で整理しています。子どもの場合は、子どもがAIを友達みたいに話し相手にしているときも参考になります。AIに話した内容の行き先が気になるときは、AIに入力したデータの行き先と設定を見てください。
05よくある質問
子どものAIチャットは、全部禁止したほうがいい?
研究のまとめでは、制限と使いすぎの関係は研究によって逆向きで、一貫していませんでした。批判せずに使い方を話す関わりのほうが、問題が少ない方向の結果が多めでした。禁止の前に、時間と課金の上限を本人と決める方法があります。
高齢の親がAIとばかり話していて心配。やめさせるべき?
高齢者が会話するAIを使った17本の研究のまとめでは、孤独感が軽度から中程度に改善し、悪化を報告した研究はありませんでした。ただし比較する群のない研究が中心です。やめさせるより、課金の確認の設定と、人と話す時間を増やすことを本人と相談します。
時間制限をかけても、子どもに外されない?
Googleの公式ヘルプでは、18歳になるまでは、子どもが管理機能を止めるには保護者の承認が必要とされています。止めたときは保護者と子どもの両方に通知が届きます。iPhoneでは、スクリーンタイムのパスコードを保護者の端末で設定するよう案内されています。
AIの話し相手への課金は、どこまで止められる?
iPhoneの「承認と購入のリクエスト」や、Google Playの購入の承認で、購入前に保護者の承認を求められます。ただしGoogle Playの承認は、前払いでない定期購入には働きません。すでに払ってしまった場合は、解約と返金の申請、188への相談の順に進めます。
出典
- Apple サポート. スクリーンタイムを使ってお子様のiPhoneやiPadを管理する. 2026年10月10日閲覧. https://support.apple.com/ja-jp/108806
- Apple サポート. 「承認と購入のリクエスト」でお子様の購入やダウンロードを承認する. 2026年10月10日閲覧. https://support.apple.com/ja-jp/105055
- Apple サポート. 「コンテンツとプライバシーの制限」内のペアレンタルコントロールの詳細情報. 2026年10月10日閲覧. https://support.apple.com/ja-jp/105121
- Apple. iPhoneユーザガイド: iPhoneのスクリーンタイムにスクリーンタイムのスケジュールと許容時間を設定する. 2026年10月10日閲覧. https://support.apple.com/ja-jp/guide/iphone/iphb0c7313c9/ios
- Google For Families ヘルプ. お子様の利用時間を管理する. 2026年10月10日閲覧. https://support.google.com/families/answer/7103340?hl=ja
- Google For Families ヘルプ. Google Play での購入の承認. 2026年10月10日閲覧. https://support.google.com/families/answer/7039872?hl=ja
- Google For Families ヘルプ. お子様が 13 歳(またはお住まいの国の該当する年齢)になったときの Google アカウントの管理について. 2026年10月10日閲覧. https://support.google.com/families/answer/7106787?hl=ja
- Android ヘルプ. Digital Wellbeing で Android スマートフォンの使用パターンを管理する. 2026年10月10日閲覧. https://support.google.com/android/answer/9346420?hl=ja
- Google Play ヘルプ. Google Play での購入の確認. 2026年10月10日閲覧. https://support.google.com/googleplay/answer/1626831?hl=ja
- こども家庭庁 (2026). 令和7年度 青少年のインターネット利用環境実態調査 調査結果(概要)(2026年3月). https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/9a55b57d-cd9d-4cf6-8ed4-3da8efa12d63/67f41585/20260327_policies_youth-kankyou_internet_research_results-etc_21.pdf
- 国民生活センター (2024). 子どものオンラインゲーム 無断課金につながるあぶない場面に注意!!(2024年3月13日公表). https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20240313_1.html
- Nielsen P, Favez N, Liddle H, Rigter H (2019). Linking parental mediation practices to adolescents' problematic online screen use: A systematic literature review. Journal of Behavioral Addictions, 8(4), 649-663. https://doi.org/10.1556/2006.8.2019.61
- Yan D (2026). A critical narrative synthesis of psychological correlates, measurement, and reported findings on conversational AI engagement and dependence-related constructs. Frontiers in Psychology, 17, 1827795. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2026.1827795
- Yuan J, Zhou K, Zhang C (2026). From boredom to problematic AI chatbot use: a three-wave half-longitudinal mediation study of loneliness and dual-system self-control. Australian Journal of Psychology, 78(1). https://doi.org/10.1080/00049530.2026.2737094
- Satake Y, Costello H, Naran N, Ishimaru D, Ikeda M, Howard R (2026). Autonomous conversational agents for loneliness, social isolation, depression, and anxiety in older people without cognitive impairment: Systematic review and meta-analysis. Psychological Medicine, 56, e27. https://doi.org/10.1017/s0033291725103073


