プライバシー・個人情報

顔認証やAIカメラで自分の顔が登録されている?顔のデータは個人情報で、登録の有無は運営者に開示を求められる

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わかっている度 ★★☆ 中研究1本・公的資料8件を整理
電車の天井に取り付けられた「防犯カメラ作動中」の表示があるドーム型カメラ
Photo: Rsa / CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関の資料をAIが調べて整理しました(法的な判断や商品の紹介はしていません。出典は末尾)。

お店や駅で顔識別カメラの掲示を見て、自分の顔も登録されたのではと不安になった。そんな人に向けて整理します。顔から作ったデータは、個人情報保護法では個人情報にあたります。個人情報保護委員会の考え方では、防犯のために顔識別カメラを使う事業者は、そのことを利用目的として知らせる必要があります。登録されているかどうかは、運営者に問い合わせ、開示を求めることができます。

3行でわかる

  1. 顔の形や位置から作った「顔特徴データ」は、法律上の個人識別符号で、それだけで個人情報にあたります。
  2. 個人情報保護委員会は、防犯の顔識別カメラについて、顔識別を使うことを利用目的に書き、入口などに運営者や問合せ先を掲示することが望ましいとしています。
  3. 登録されているか知りたいときは、掲示やWebサイトの問合せ先に開示を求められます。誤って登録された場合は消去を求める手続もあります。

01結論から言うと

顔特徴データは個人情報です。防犯の顔識別カメラを使う事業者は、顔識別を使うことを含めて利用目的を知らせる必要があり、登録の有無は運営者への開示請求で確かめる仕組みがあります。

ふつうの防犯カメラは録画するだけです。顔識別機能付きカメラは、映った人の顔からデータを取り出し、登録した人のデータと自動で照らし合わせます。

見た目は同じカメラです。だから個人情報保護委員会は、「防犯のため」だけでなく、顔識別機能を使っていることも利用目的として明らかにする必要があるとしています。

ただし、あなたの顔が登録されているか、その扱いが法律に合っているかは、この記事では判断できません。

02研究とデータでわかっていること

顔特徴データは法律で個人識別符号と定められています。個人情報保護委員会は2023年に、防犯の顔識別カメラの掲示や登録基準、保存期間の考え方を示しました。精度に顔の属性で差が出ることも、米国の国立研究所の試験で確かめられています。

10〜100倍超別人を同じ人と判定する誤り(誤一致)の率の、属性グループ間の差としてよく見られた幅(米国NIST、2019年)
3倍未満本人を本人と判定できない誤り(見逃し)の差。こちらは多くの場合この範囲(同上)
189試験したアルゴリズムの数。99の開発者から集め、849万人の写真1,827万枚で評価(同上)
4項目顔識別カメラについて施設の入口などに掲示することが考えられる事項(個人情報保護委員会、2023年3月)

個人情報保護法は、身体の一部の特徴をコンピュータで扱えるように変換した符号で、特定の個人を識別できるものを「個人識別符号」としています。施行令はその一つに、顔の骨格や皮膚の色、目・鼻・口などの位置と形で決まる容貌を挙げています。名前がついていなくても、顔特徴データだけで個人情報にあたるということです。[4][5]

個人情報保護委員会の資料をもとに、似て見える3つの仕組みを表にまとめました。

仕組み何をするか委員会の考え方
従来型の防犯カメラ録画するだけ。顔特徴データは取り出さない防犯目的が明らかなら利用目的の通知・公表は不要。カメラとわかりにくいときは作動中の掲示などが必要
顔識別機能付きカメラ(防犯)映った大勢の顔を、登録された人のデータと自動で照合する顔識別を使うことを含めて利用目的を通知・公表する。運営者・利用目的・問合せ先などを入口に掲示することが望ましい
顔認証(本人確認)本人が求めたときに、その人かどうかを1対1で確かめる報告書は顔識別とは別の言葉として定義している

個人情報保護委員会 有識者検討会 報告書(2023年3月)[1]

駅や空港など、不特定多数が出入りする大きな施設で防犯の顔識別カメラを使う場合の考え方を整理しました。顔画像から顔特徴データを取り出すことは、すぐに画像を捨てても個人情報の取扱いにあたるとしています。登録の対象は、その犯罪をする可能性が高い人に厳しく限ることが望ましいとしています。照合して対象者ではなかった人の顔画像と顔特徴データは、遅滞なく消すよう努めなければならないとしています。

対象: 防犯・安全確保のために顔識別カメラを使う事業者 / 限界: 法律の義務と「望ましい対応」が混ざった整理で、個々の施設の運用を評価したものではない。

報告書は、入口に掲示することが考えられる事項として、運営主体、利用目的、問合せ先、WebサイトのURLやQRコードの4つを挙げています。Webサイトには、登録基準、保存期間、誤登録を防ぐ方法、開示などの請求の手続を載せることが考えられるとしています。保存期間は一律の日数ではなく、対象の犯罪の性質などを考えて事業者が決める形です。[1]

個人情報保護委員会 ガイドラインQ&A(Q1-14・Q9-13)[2]

店舗や駅・空港で防犯の顔識別カメラを使う場合、外からは顔識別を使っているとわからないため、利用目的を本人に通知または公表しなければならないとしています。登録された顔特徴データが「保有個人データ」にあたる場合、事業者は開示請求や、訂正・利用停止などの請求に法令に沿って対応しなければなりません。

対象: 個人情報を扱う事業者 / 限界: 報告書が示すとおり、存在が明らかになると犯罪予防に支障が出るおそれがあるデータなど、保有個人データにあたらない例外もある。

報告書は、本人ができる請求をわかりやすく示す例として、「自分のデータが照合用データベースに登録されているか確認することを請求できる」「誤って登録された自分のデータを消去することを請求できる」を挙げています。事業者が顔特徴データしか持っていない場合は、請求した人に顔画像を出してもらって照合する方法も考えられるとしています。[1]

Grotherら / 米国国立標準技術研究所(NIST)(2019年12月)[3]

189のアルゴリズムを、米国の行政で集めた写真で試しました。別人を同じ人と判定する誤りは、属性のグループの間で10倍から100倍を超える差がよく見られました。女性は男性より、高齢者と子どもは中年の大人より、この誤りが多い傾向でした。一方で、1人を大勢の中から探す方式では、誤一致の差が検出できないほど正確なアルゴリズムもありました。

対象: 米国の逮捕時の写真、ビザ申請、入国時の写真など4種類のデータ / 限界: 2019年時点の試作品を含むアルゴリズムの評価。日本の施設で使われている特定のシステムの精度を示すものではない。

Cavazosら(2021)[6]

4つのアルゴリズムで、東アジア系と白人の顔の精度を比べました。差の大きさは、照合の難しさや、一致と判定する基準(しきい値)で変わりました。誤一致の率をそろえるには、東アジア系の顔のほうが高い基準が必要でした。著者らは、偏りは使う場面ごとに測る必要があるとしています。

対象: 4つの顔認識アルゴリズム(従来型1つと深層学習3つ) / 限界: 比べた属性は2つだけで、実際の施設での誤りの数は調べていない。

報告書は、システムは同じ人である可能性を推測するものだとして、検知された人が本当に対象者か目で確かめるなど、慎重な対応が望ましいとしています。[1]

空港の顔認証ゲートは仕組みが違います。出入国在留管理庁によると、IC旅券内の顔画像とその場で撮った顔を照らし合わせ、撮影した顔写真は照合にだけ使われ保存されません。[7]

03まだわかっていないこと

国内で防犯の顔識別カメラがどれだけ使われ、どのくらい誤って登録・検知されているかを示す公的な統計は、今回の調査では見つかりませんでした。法改正の細かいルールも、これから決まります。

  • 国内で顔識別カメラを使う施設の数や、誤登録・誤検知の件数をまとめた公的な統計は、今回調べた範囲では見つかりませんでした。
  • NISTの試験は米国の写真での結果で、日本の施設のシステムでの差はわかりません。
  • 2026年に成立した改正法では、顔特徴データ等について、扱っていることや利用目的、利用停止の手続などの周知を義務にし、利用停止などの請求の要件を緩める方針が示されています。施行は原則として公布から2年以内で、具体的な範囲や周知の方法は今後の政令や委員会規則で決まります。[8]

04今日からできること

掲示を見たら、運営者と問合せ先を控え、Webサイトで利用目的と登録基準を確かめます。気になるときは問合せ先に開示を求め、扱いがわからなければ国の相談ダイヤルに聞けます。

1

掲示の写真を撮って、運営者と問合せ先を控える

入口の掲示に、運営主体、利用目的、問合せ先、QRコードがあるかを見ます。ほかの人は写さないようにします。

目安 1分

2

Webサイトで、登録基準と保存期間を読む

掲示のQRコードや運営者のサイトで、顔識別を使う理由、登録の基準、保存期間、開示などの請求の手続を探します。

目安 10分

3

気になるなら、問合せ先に開示を求める

「自分の顔のデータが登録されているか確認したい」と、手続に沿って伝えます。データを照らし合わせるため、顔画像の提出を求められることがあります。存在を答えられない例外もあるため、答えの内容は事業者の判断になります。

目安 30分(書類の準備を含む)

4

扱いがわからないときは、国の相談ダイヤルに聞く

事業者の対応に納得できないときは、個人情報保護委員会の相談ダイヤルが、ガイドラインやQ&Aに基づいて助言します。違法かどうかの判断を求める相談には応じていません。

目安 平日9:30〜17:30

困ったときの相談先
個人情報保護法相談ダイヤル(03-6457-9849): 事業者の個人情報の扱いへの苦情や、法律の考え方を聞きたいとき。
法テラス(0570-078374): 個別の事情で法律の相談先がわからないとき。

顔写真がAIで加工されて広まった場合は、ディープフェイク被害のあとは「証拠・報告・相談」の3つで手順を整理しています。AIに入力した個人情報の行き先は、ChatGPTに個人情報や会社の情報を入力しても大丈夫?にまとめています。

05よくある質問

顔の写真や顔のデータは個人情報になるの?

なります。個人情報保護法と施行令は、顔の骨格や目・鼻・口の位置と形などをコンピュータで扱えるように変換した符号で、特定の個人を識別できるものを個人識別符号としています。名前がなくても個人情報にあたります。

顔識別カメラがあるか、どうやってわかるの?

個人情報保護委員会は、顔識別機能を使っていることを利用目的として通知・公表する必要があるとし、運営者・利用目的・問合せ先・WebサイトのURLやQRコードを入口などに掲示することが望ましいとしています。掲示とWebサイトが手がかりです。

自分の顔が登録されているか、調べてもらえる?

個人情報保護委員会のQ&Aでは、登録されたデータが保有個人データにあたる場合、事業者は開示請求に法令に沿って対応しなければならないとしています。ただし報告書によると、存在が明らかになると犯罪予防に支障が出るおそれがあるなどの例外があります。結果は事業者の判断になります。

出典

  1. 個人情報保護委員会 (2023). 犯罪予防や安全確保のためのカメラ画像利用に関する有識者検討会 報告書. https://www.ppc.go.jp/files/pdf/cameragazou_yushikisyakentoukai_houkokusyo.pdf
  2. 個人情報保護委員会. 「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」に関するQ&A(Q1-13、Q1-14、Q9-13). https://www.ppc.go.jp/personalinfo/faq/APPI_QA/
  3. Grother P, Ngan M, Hanaoka K (2019). Face Recognition Vendor Test (FRVT) Part 3: Demographic Effects. NISTIR 8280. National Institute of Standards and Technology. https://doi.org/10.6028/NIST.IR.8280
  4. 個人情報の保護に関する法律(第2条). e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/415AC0000000057
  5. 個人情報の保護に関する法律施行令(第1条). e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/415CO0000000507
  6. Cavazos JG, Phillips PJ, Castillo CD, O'Toole AJ (2021). Accuracy comparison across face recognition algorithms: Where are we on measuring race bias? IEEE Transactions on Biometrics, Behavior, and Identity Science. https://doi.org/10.1109/TBIOM.2020.3027269
  7. 出入国在留管理庁. 顔認証ゲートの更なる活用について(お知らせ). https://www.moj.go.jp/isa/immigration/resources/nyuukokukanri07_00168.html
  8. 個人情報保護委員会事務局 (2026). 個人情報保護法等の一部を改正する法律について. https://www.ppc.go.jp/files/pdf/260717_kaiseihounitsuite.pdf
  9. 個人情報保護委員会. 個人情報保護法相談ダイヤル. https://www.ppc.go.jp/personalinfo/pipldial/