プライバシー・個人情報

AIの相談アプリに、心の悩みや体調を書いても大丈夫?心の健康アプリの研究では、規約にない送信が見つかった。書く前に3つを確かめる

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わかっている度 ★★☆ 中研究6本を整理出典照合済み(2026-10-17)
木の机に置かれたノート
Photo: Government of the United States Virgin Islands / Public domain / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(商品の紹介や診断はしていません。出典は末尾)。

眠れない夜に、AIの相談アプリやチャットへ悩みを打ち明けたくなる。そのとき「これ、どこに残るんだろう」と手が止まるのは、慎重さとして自然なことです。心の健康アプリの研究では、データを外部の会社に送るアプリが多く、その送り先を規約に書いていないものもありました。書く前に確かめる3つと、書かない項目の決め方を整理します。

3行でわかる

  1. 2018年に心の健康アプリ36本を調べた研究では、33本が外部の会社にデータを送り、広告や分析の会社への送信を規約に書いていないアプリも多くありました。
  2. 「個人情報を守ります」という短い表示だけで、守られていると感じる度合いは大きく上がりました。表示だけで決めないことが大切です。
  3. 書く前に「運営者とポリシー」「送り先と広告」「消し方」の3つを確かめ、名前・勤務先・通院先など、自分だとわかる情報は書かないと決めておきます。

01 結論から言うとAIの相談アプリに悩みを書いても大丈夫?

AIの相談アプリに悩みを書くこと自体は、本人が選んでよいことです。ただし、書いた内容がどこへ送られ、どう扱われるかはアプリごとに違います。書く前に運営者・送り先・消し方を確かめ、自分だとわかる情報は書かないのが安全です。

心の悩みや体調は、知られたくない情報の代表です。一方で、相談アプリの多くは無料で使え、運営の費用をどこかでまかなっています。研究では、広告や利用状況の分析のために、外部の会社へデータを送る仕組みがよく見つかっています。

ここで紹介する研究の多くは、生成AIが広まる前の「心の健康アプリ」を調べたものです。AIのチャット機能がついたアプリでも同じことが起きているかは、まだ十分に調べられていません。それでも、アプリを選ぶときの見るべき場所は共通しています。

AIサービス全般の規約の読み方はAIサービスの利用規約が難しくて読めないで、すでに話しすぎて不安になったときの立て直し方はAIに個人的なことを話しすぎて、後から怖くなったで整理しています。

02 研究とデータでわかっていること心の健康アプリのデータは、どこへ送られている?

2018年に心の健康アプリ36本を調べた研究では、92%にあたる33本で外部の会社へのデータ送信が見つかりました。広告や分析のための送信を、規約に書いていないアプリも少なくありませんでした。

33/36本外部の会社へのデータ送信が見つかった、うつと禁煙のアプリ(米国・豪州、2018年の調査)
12/28本Googleにデータを送っていたアプリのうち、そのことを規約などに書いていたもの(同じ調査)
24/27本大学程度の読解力がないと読めないプライバシーポリシー(上位の心の健康アプリ27本)
63.9%医療機関の患者向けチャットボットの利用者で、入力した情報のプライバシーを心配していた人(回答597人)

Huckvaleら(2019) [1]

うつと禁煙の人気アプリ36本で、規約の中身と、実際に送られたデータを比べました。規約があったのは25本でした。実際には33本が外部の会社にデータを送り、29本が広告・マーケティングや分析のためにGoogleかFacebookへ送っていました。Googleに送っていた28本のうち、それを書いていたのは12本、Facebookに送っていた12本のうち書いていたのは6本でした。

対象: 2018年1月に米国と豪州のアプリストアで上位だったAndroidとiOSのアプリ36本 / 限界: 1時点の調査で、生成AIのアプリは含まれていません。送られたデータが実際にどう使われたかまでは確かめていません。

Robillardら(2019) [2]

アプリストアで「気分の記録」に関する言葉で検索した心の健康アプリを調べると、プライバシーポリシーを見られたのはiOSで18%、Androidで4%でした。ポリシーがあったアプリでは、情報を第三者と共有することがあると書いたものが、iOSで71%、Androidで46%でした。

対象: 主要なアプリストアで検索した気分の記録アプリ / 限界: ポリシーの文面を調べた研究で、実際のデータの流れは測っていません。

Iwayaら(2023) [3]

Google Playで上位の心の健康アプリ27本を、通信やアプリの中身まで調べました。すべてのアプリが、Androidで「危険」に分類される権限を求めていました。手作業で確かめると、必要のない危険な権限が平均4つありました。27本中24本のポリシーは、大学程度の読解力がないと読めない難しさでした。

対象: Google Playの上位の心の健康アプリ27本 / 限界: Androidだけの調査で、アプリの更新により現在の状態は変わっている可能性があります。

Zhangら(2026) [4]

大学が心の悩みに答えるAIチャットを始めた、という場面を読んでもらう実験です。「個人情報の収集を最小限にし、心の健康に関するデータを守る」という説明を足すだけで、守られていると感じる度合いが大きく上がりました(効果量 d=0.91)。

対象: 1つの国の大学生768人(研究は中国の大学で倫理審査を受けたもの) / 限界: 文章の場面を読んで答える実験で、実際のアプリでの行動は測っていません。説明が実際の扱いと合っているかは調べていません。

Ellisら(2025) [5]

大きな医療機関の患者向けチャットボットの利用者に調査すると、回答597人のうち63.9%が、入力した情報のプライバシーを心配していました。65歳以上の人は18〜34歳の人より心配する割合が26ポイント低く、聞き取りでは、信頼する医療機関のチャットボットだから安心だと感じていました。

対象: 1つの医療機関のチャットボット利用者3,089人に調査し、617人が回答 / 限界: 回答率は20.0%で、利用者全体の考えを表しているとは限りません。

生成AIを使った心の健康のチャットボットについて、33本の研究をまとめた2026年のレビューでも、主な危険の1つに「心の状態などの敏感な個人情報が漏れること」が挙げられています。33本中26本は、攻撃を想定した試験などセキュリティの確かめ方が厳密でないと評価されました[6]。

03 まだわかっていないことAIのチャットがついたアプリでも同じ?

生成AIのチャットがついた相談アプリで、実際のデータの送り先を測った査読つきの研究は、今回の調査ではほとんど見つかりませんでした。ここでの数字は、主にAI以前のアプリのものです。

  • AIとの会話の文章そのものが、広告や分析の会社に送られているかを、多くのアプリで測った研究はまだ少ない状態です。
  • Huckvaleらの調査は2018年のもので、その後に各アプリやストアのルールが変わった影響はわかっていません。
  • 日本で配信されている相談アプリを対象にした、同じ方法の研究は今回の調査では見つかりませんでした。
  • 「守ります」という表示が、実際の扱いの良さとどのくらい一致するのかは、まだ確かめられていません。

04 今日からできること悩みを書く前に、何を確かめればいい?

悩みを書く前に、運営者とポリシー、送り先と広告、履歴とアカウントの消し方の3つを確かめます。あわせて、名前や勤務先など自分だとわかる情報は書かないと決め、不要な権限は許可しません。

1

運営者とプライバシーポリシーがあるかを見る

アプリの説明ページで、運営する会社や団体の名前と、プライバシーポリシーへのリンクを探します。研究では、ポリシーを見られないアプリが多くありました。見つからないアプリには、心の悩みを書かないと決めます。

目安 5分

2

「送り先・広告」と「消し方」の2か所を読む

ポリシーの中で「第三者」「広告」「分析」と書かれた部分と、会話の履歴やアカウントを消す方法を探します。全部を読む必要はありません。ただし、研究では規約と実際の送信が一致しない例があったので、読んでも安心しきらないことが大切です。

目安 10分

3

自分だとわかる情報は書かない

名前、勤務先や学校、住んでいる地域、通院先、薬の名前は、「職場」「病院」のように言い換えます。悩みの中身は伝わり、万一データが漏れても自分と結びつきにくくなります。

目安 書く前に1分

4

必要のない権限は許可しない

文字で相談するだけなら、連絡先や位置情報の権限は通常いりません。研究では、必要のない危険な権限が平均4つありました。許可を求められたら、相談に必要かを考えてから選びます。

目安 アプリを入れるとき1分

5

つらさが強いときは、人に相談する線を決めておく

AIは、気持ちを整理するための限られた道具として使います。眠れない日や落ち込みが長く続くときは、医療機関や自治体の相談窓口など、人に相談する先を先に決めておきます。

目安 一度決めておく

スマホのアプリ全体の権限の見直し方は、姉妹メディアBOHANのスマホのアプリの権限、どこまで許可している?で、ChatGPTの学習を止める設定はChatGPTに個人情報を入力しても大丈夫?で扱っています。

05よくある質問

AIの相談アプリに書いた悩みは、ほかの会社に送られる?

アプリによって違います。2018年に心の健康アプリ36本を調べた研究では、33本が外部の会社にデータを送っていました。広告や分析の会社への送信を、規約に書いていないアプリも多くありました。書く前に運営者とプライバシーポリシーを確かめ、名前や勤務先は書かないのが安全です。

「個人情報は守ります」と書いてあるアプリなら安心?

その表示だけでは判断できません。768人の大学生の実験では、守るという短い説明があるだけで、守られていると感じる度合いが大きく上がりました。一方、別の研究では、規約の内容と実際のデータの送信が一致しないアプリが見つかっています。表示よりも、運営者や送り先、消し方を確かめます。

心の悩みは、AIに相談しないほうがいい?

使うかどうかは本人が決めてよく、研究も禁止を勧めてはいません。ただし、個人が特定できる情報は書かない、つらさが強いときは医療機関や相談窓口など人に相談する、という線を先に決めておくと、使ったあとに不安になりにくくなります。

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出典

  1. Huckvale K, Torous J, Larsen ME (2019). Assessment of the Data Sharing and Privacy Practices of Smartphone Apps for Depression and Smoking Cessation. JAMA Network Open, 2(4), e192542. https://doi.org/10.1001/jamanetworkopen.2019.2542
  2. Robillard JM, Feng TL, Sporn AB, et al. (2019). Availability, readability, and content of privacy policies and terms of agreements of mental health apps. Internet Interventions, 17, 100243. https://doi.org/10.1016/j.invent.2019.100243
  3. Iwaya LH, Babar MA, Rashid A, Wijayarathna C (2023). On the privacy of mental health apps: An empirical investigation and its implications for app development. Empirical Software Engineering, 28(1), 2. https://doi.org/10.1007/s10664-022-10236-0
  4. Zhang Z, Lu X, Zhang Y, Zhang H, Zhang M (2026). Privacy assurances and professional-boundary warnings in generative AI mental health chatbots: a randomized vignette experiment. Frontiers in Psychology, 17, 1934264. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2026.1934264
  5. Ellis JR, Dellavalle NS, Hamer MK, et al. (2025). The Halo Effect: Perceptions of Information Privacy Among Healthcare Chatbot Users. Journal of the American Geriatrics Society, 73(5), 1472-1483. https://doi.org/10.1111/jgs.19393
  6. Sawesi S, Sabbineni H, Shagamreddy RR, Rashrash B (2026). Cybersecurity and Privacy Risks of Generative AI Mental-Health Chatbots: A Systematic Review and Regulatory Framework. Journal of Multidisciplinary Healthcare, 19. https://doi.org/10.2147/JMDH.S581251