プライバシー・個人情報

AIの議事録や文字起こしに、自分の発言が記録されていた。研究では文字起こしの誤りや抜けが残りやすく、直後は「誰が見るか・正しいか・いつ消すか」を確かめる

約8分で読めます

わかっている度 ★★☆ 中研究4本を整理出典照合済み(2026-10-17)
会議室の机と椅子
Photo: Breather breather / CC0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究をAIが調べて整理しました(法的な判断や商品の紹介はしていません。出典は末尾)。

会議のあとに届いたAIの議事録を開いたら、自分の発言がそのまま残っていた。録音されていると知らなかった、言っていないことが書かれている。そんなとき、ひやっとするのは当然です。研究では、音声の文字起こしやAIのまとめには誤りや抜けが残りやすいことがわかっています。直後に確かめる3つと、頼み方を整理します。

3行でわかる

  1. 直後に確かめるのは「誰が見られるか」「自分の発言が正しく書かれているか」「いつまで残るか」の3つです。
  2. 医療の現場の研究では、音声認識の文章に100語あたり7.4語の誤りがあり、人が確かめ直すと0.4語まで減りました。AIのまとめでは、言った内容の抜けが誤りの約4分の3でした。
  3. 違う部分は文字で訂正を頼み、残したくない発言は記録から外せるかを主催者に相談します。次の会議からは、最初に記録の有無を確かめます。

01 結論から言うとAIの議事録に自分の発言が残っていたら、まず何をする?

AIの議事録に自分の発言が残っていたら、まず主催者に、誰が見られるか、いつまで残すかを聞きます。次に自分の発言の部分を読み、違う所を文字で訂正してもらいます。AIの記録は、そのままでは正確とは限りません。

AIの議事録は、会議の音声を文字にする「文字起こし」と、それを短くまとめる「要約」の2段階で作られることが多いです。どちらの段階でも、言っていないことが入ったり、言ったことが抜けたりします。

記録が社内やチームで共有されると、その文章が「あなたの発言」として読まれます。だから、知らないうちに記録されていたと気づいた時点で、中身と共有の範囲を確かめる価値があります。

AIの議事録があるときに自分のメモをどう取るかは、AIが議事録をとってくれるなら、自分のメモはもういらない?で整理しています。

02 研究とデータでわかっていることAIの文字起こしや議事録は、どのくらい正確?

医療の現場の研究では、音声認識で作った文章に100語あたり7.4語の誤りがありました。AIが会話からまとめを作る仕組みでも、要点の平均26.3%に抜けや誤りがあり、誤りの約4分の3は抜けでした。

7.4語音声認識で作った医師の文書の、100語あたりの誤り(米国の2つの医療機関、2016年の217文書)
0.4語同じ文書を、専門の担当者が確かめ直したあとの100語あたりの誤り
26.3%会話からAIがまとめを作る5つの仕組みで、要点に抜けや誤りがあった割合(模擬の診察14件)
0.35と0.195つの音声認識システムの単語の誤り率。話し手のグループによって大きな差があった(米国の115人)

Zhouら(2018) [1]

医師が口述し、音声認識で文字にした文書217本を、元の録音と照らし合わせました。音声認識の段階では100語あたり7.4語の誤りがあり、96.3%の文書に誤りが含まれていました。専門の担当者が直すと0.4語、医師が署名した段階では0.3語に減りました。誤りで最も多かったのは、言った言葉が抜けることでした(34.7%)。

対象: 米国の2つの医療機関で、2016年に医師144人が口述した文書217本 / 限界: 1つの製品の、医療の文書の研究です。会議の議事録や日本語での誤りの多さはわかりません。

Andersonら(2025) [2]

診察の会話を聞き取り、AIがまとめの文書を作る5つの仕組みを、模擬の診察14件で比べました。文書では、決めておいた要点の平均26.3%が、抜けている、違う、一部だけ正しい、のどれかでした。誤りの平均76.3%は「言ったことが抜ける」ものでした。仕組みによって正確さに大きな差がありました。

対象: 録音を再生して作った模擬の診察14件と、5つの仕組み / 限界: 実際の会議や診察ではなく、英語の模擬の会話です。

Koeneckeら(2020) [3]

大手5社の音声認識システムで、インタビューの音声を文字にしました。単語の誤り率は、黒人の話し手で平均0.35、白人の話し手で平均0.19と、5つすべてで大きな差がありました。黒人と白人が同じ言い回しを話した部分でも差は同じくらい大きく、話し方や声によって誤りやすさが変わることが示されました。

対象: 米国の5都市の黒人73人と白人42人、合わせて19.8時間の音声 / 限界: 英語の研究で、日本語の会議で同じような差があるかはわかりません。

会話を聞き取って文書を作るAIについて、倫理の課題を整理した2026年の論文は、安全性、偏り、データの持ち主、公平さの4つを挙げています[4]。誰の発言が、誰のものとして、どこに残るのかは、医療に限らず会議の記録でも同じ問いになります。

03 まだわかっていないこと日本語の会議の議事録でも、同じくらい間違える?

日本語の会議で、AIの議事録がどのくらい間違えるかを測った査読つきの研究は、今回の調査では見つかりませんでした。ここで紹介した数字は、主に英語と医療の場面のものです。

  • 日本語の会議、とくに複数の人が同時に話す場面での誤りの多さは、研究ではまだ確かめられていません。
  • 音声認識の精度は年々変わります。ここでの数字は、調べた時点の製品のものです。
  • AIの議事録が共有されたことで、職場の評価や人間関係にどんな影響が出るのかを調べた研究は、ほとんどありません。
  • 記録を消してもらえるか、どのくらい残るかは、ツールの設定と組織のルールによって違い、一般的な答えはありません。

04 今日からできること記録に気づいた直後に、何を確かめればいい?

記録に気づいたら、主催者に共有の範囲と残す期間を聞き、自分の発言の部分を読み直して訂正を文字で頼みます。残したくない発言は外せるか相談し、次の会議から最初に記録の有無を確かめます。

1

主催者に「誰が見るか・いつまで残すか」を聞く

会議の主催者か記録の担当者に、どのツールで記録したか、議事録を誰と共有するか、録音と文字起こしをいつまで残すかを聞きます。責める言い方ではなく「確認させてください」で十分です。

目安 5分

2

自分の発言の部分を読み、違う所を書き出す

研究では、誤りの多くは「言ったことが抜ける」ものでした。自分の発言の部分だけを読み、抜けている点、言っていない点を、実際に言った内容と並べて書き出します。

目安 15分

3

訂正は文字で頼み、やりとりを残す

口頭ではなく、メールやチャットで「この部分は、実際にはこう話しました」と訂正を頼みます。研究では、人が確かめ直すと誤りは大きく減っていました。直した版が共有されたかも確かめます。

目安 10分

4

残したくない発言は、外せるか相談する

体調や家族のことなど、共有されたくない話が記録に入っていたら、その部分を議事録から外せるかを主催者に相談します。消せるかどうかは、組織のルールとツールの設定によります。

目安 5分

5

次の会議から、最初に記録の有無を確かめる

会議の始めに「今日は録音やAIの記録をしますか」と聞くのを習慣にします。大事な発言は、自分のメモにも要点を残しておくと、記録と照らし合わせられます。

目安 会議ごとに10秒

納得できないとき
職場の会議で、記録の扱いについての説明に納得できないときは、社内の個人情報の担当部署や人事の窓口に、記録のルールを確かめられます。

会社の情報をAIに入れてしまった側の対処は会社の情報や個人情報をAIに入力してしまったで、AIサービスの規約で入力の扱いを探す場所はAIサービスの利用規約が難しくて読めないで整理しています。

05よくある質問

AIの議事録に、自分の発言が間違って書かれていたらどうする?

間違っている部分と、実際に言った内容を書き出し、会議の主催者や記録の担当者に文字で訂正を頼みます。研究では、音声の文字起こしやAIのまとめには、誤りや抜けが残りやすいことがわかっています。人が確かめ直すことで、誤りの多くは減っていました。

知らないうちにAIで録音・文字起こしされていたら、消してもらえる?

消せるかどうかは、会社や団体のルールと、使ったツールの設定によって違います。まず主催者に、どのツールで記録したか、誰が見られるか、いつまで残すかを聞きます。体調や家族のことなど、残したくない発言があれば、その部分を記録から外せるかを相談します。

AIの文字起こしは、話し方によって間違いやすさが変わる?

変わることがあります。米国の研究では、5つの音声認識システムすべてで、話し手によって誤りの多さに大きな差がありました。日本語の会議で同じ差があるかは確かめられていないため、自分の発言の部分は自分で読み直すのが確実です。

「プライバシー・個人情報」を順に読む
知る → 備える → 起きたとき(この記事) → 立て直す
この悩みのガイドを見る

出典

  1. Zhou L, Blackley SV, Kowalski L, et al. (2018). Analysis of Errors in Dictated Clinical Documents Assisted by Speech Recognition Software and Professional Transcriptionists. JAMA Network Open, 1(3), e180530. https://doi.org/10.1001/jamanetworkopen.2018.0530
  2. Anderson TN, Mohan V, Dorr DA, Ratwani RM, Biro JM, Gold JA (2025). Evaluating the Quality and Safety of Ambient Digital Scribe Platforms Using Simulated Ambulatory Encounters. Mayo Clinic Proceedings: Digital Health, 3(4), 100292. https://doi.org/10.1016/j.mcpdig.2025.100292
  3. Koenecke A, Nam A, Lake E, et al. (2020). Racial disparities in automated speech recognition. Proceedings of the National Academy of Sciences, 117(14), 7684-7689. https://doi.org/10.1073/pnas.1915768117
  4. Anderson TN, Mohan V, Gold JA (2026). Ethical considerations for clinical adoption of ambient digital scribe technology. Journal of the American Medical Informatics Association, 33(3), 770-775. https://doi.org/10.1093/jamia/ocaf227